「悪魔城ドラキュラ」は、コナミデジタルエンタテインメントによる同名ゴシックホラーアクションゲームを、鈴木圭の脚本・演出でミュージカル化した舞台作品。ドラキュラとヴァンパイアハンターの一族の戦いを描いた原作ゲームをもとに、舞台版では、ドラキュラ伯爵と人間の母の間に生まれたアルカードを主人公にした物語が展開する。さらに、マクシミリアン・ロベスピエールが民衆を率いたフランス革命の様子など、宝塚歌劇ならではの要素を盛り込みながら、アルカードとその父であるドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ(
永久輝は、自身の出自とその運命に苦悩しながらも、ヴァンパイアハンターのマリア・ラーネッド(星空)と出会い、自らの道を進もうと決心するアルカードの心の変化を、繊細さを見せつつ丁寧に表現。一方で、長剣を操るダイナミックな殺陣で力強いパフォーマンスを披露した。マリア役の星空は、ヴァンパイアハンターでありながらアルカードに寄り添う芯が強いヒロイン像を体現した。劇中では、「失われた彩画」をはじめ、原作ゲームの楽曲やメロディが使用され、戦闘シーンでは速いBPMのナンバーが続くなど、ゲームの世界観を彷彿とさせるような疾走感にあふれた。また、LEDパネルに映像が投影され、演出面でも工夫が凝らされた。
岡田敬二の作・演出による「愛, Love Revue!」は、「ロマンチック・レビュー」シリーズの第23弾。愛と夢に満ちあふれたプロローグから、リスト「ため息」をモチーフにした楽曲、現代のアダムがリンゴを受け取り展開する「Bad Power」や「Gigolo」など、バラエティ豊かなナンバーとダンスシーンが繰り広げられる。
通し舞台稽古後に行われた囲み取材で、永久輝は「アルカードは、原作ファンの皆様の中でも人気があるキャラクター。ヴァンパイアと人間の血が流れている青年にはロマンが詰まっていますし、優しさと強さを併せ持つ人物なので魅力的」と役について説明し、「お芝居では、ゲームに描かれていない部分を作らなければならないので、どういう思いを抱えている人物なのか、なぜ悪魔城に向かい、どんな心境で父親と対峙しているのかなど、アルカードの内面的な部分を埋めることを意識しました。ヴァンパイアを描いた作品ですが、今回はその儚さや美しさよりも、人間対ヴァンパイアの戦いが描かれます。今まで宝塚歌劇で扱われてきたヴァンパイア作品とはまた違う面白さがあると感じています」とコメントした。
「原作がある作品の役を演じることが初めてで、化粧前にマリアのイラストを飾って、それを見ながらお化粧しています」と言う星空は、「マリアは明るく活発で、ヴァンパイアとのハーフであるアルカードに、人として接している心優しい女性。宝塚歌劇で上演され、私がマリアを演じさせていただく意味を考えながら、品や美しさがにじみ出るよう、娘役として、自分自身を磨いていけるよう取り組んでいます」と語った。
また、原作ゲームに男性のファンが多いことから、兵庫公演中は劇場の男性用トイレに行列ができたという。女性の観客が多い宝塚歌劇では珍しい現象に、2人は「驚いた」と顔を見合わせつつ、永久輝は「とてもうれしく思いました」と微笑んだ。さらに「2幕の『愛, Love Revue!』では、初めて宝塚歌劇をご覧になる方にも、宝塚歌劇がどういうものかを100%お伝えできる。男役はカッコよく、娘役は可憐に。宝塚歌劇の世界が表現されているこの2本立てが、私自身とても幸せです」と話した。
上演時間は休憩ありの約3時間5分。東京公演は9月28日まで。
宝塚歌劇花組「ミュージカル・ロマン『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~」「Romantic Revue『愛, Love Revue!』」
2025年6月7日(土)〜7月20日(日) ※公演終了
兵庫県 宝塚大劇場
2025年8月16日(土)〜9月28日(日)
東京都 東京宝塚劇場
スタッフ
「ミュージカル・ロマン『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~」
原作:株式会社コナミデジタルエンタテインメント 「悪魔城ドラキュラ」シリーズ
脚本・演出:鈴木圭
「Romantic Revue『愛, Love Revue!』」
作・演出:岡田敬二
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【公演 / 会見レポート】永久輝せあ「この2本立てが幸せ」、宝塚歌劇花組「悪魔城ドラキュラ」東京公演本日から(舞台写真あり) https://t.co/9OQt5OIHp0