この酷い世界を生き抜くための支えに「ザ・ヒューマンズ」広田敦郎&桑原裕子コメント到着

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2024/2025シーズン シリーズ『光景-ここから先へと-』Vol.2『ザ・ヒューマンズ─人間たち』」の公演に向けて、翻訳の広田敦郎と、演出の桑原裕子のコメントが到着した。

2024/2025シーズン シリーズ「光景-ここから先へと-」Vol.2「ザ・ヒューマンズ─人間たち」チラシ

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スティーヴン・キャラムによる家族劇「ザ・ヒューマンズ─人間たち」は、2016年のトニー賞演劇部門で作品賞を受賞した戯曲。日本初演となる今回は、一家の長女で、ガールフレンドと別れたばかりの弁護士エイミー役を山崎静代、作曲家を目指す次女のブリジット役を青山美郷、ブリジットの恋人・リチャード役を細川岳、認知症により車椅子生活を送る祖母モモ役を稲川実代子、母ディアドラ役を増子倭文江、悪夢にうなされ不眠が続く父エリック役を平田満が演じる。

広田は「19世紀から20世紀の変わり目、チェーホフの新作劇を観た人々と同じような気持ちを味わえるお芝居、かもしれません。ニューヨーク、マンハッタンの片隅で感謝祭のディナーに集まった家族の抱える不安は、ポストコロナ時代の日本で生活するわたしたちにとっても他人事ではありません。劇場でひとよの不安を分かち合い、他者との緩やかな繋がりを感じることが、この酷い時代、酷い世界を生き抜くための支えになればと思っています」とコメント。桑原は「『ザ・ヒューマンズ―人間たち』は、ひとつの家族の、ほんの僅かな時間を切り取った作品です。あなたも私もよく知るような……けれど、我々が平気な顔をして日々を営みながらひた隠しにしてきた恐ろしい何か、が、不気味な軋みをあげて満ちてゆく恐怖劇でもあります。家族という小さな社会で蠢く人間たちを、私も足をすくませながら見届けます」と述べた。

本公演は、6月12日から29日まで東京・新国立劇場 小劇場、7月5・6日に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール、7月19日に大阪・茨木市文化・子育て複合施設おにクル ゴウダホールで行われる。東京公演のチケットの一般販売は4月12日10:00にスタート。

広田敦郎コメント

とても定義しがたい作品です。一見サイエンス・フィクションかと思わせるタイトルでもあるようですが、どんなお芝居かは想像しにくいでしょう。

一家が集まる感謝祭のディナー、夜更けとともに浮かび上がる不都合な真実、と、いかにも〈アメリカの家族劇〉らしくまとめることもできますが、それではあまりにも新しくないし……何も特別なところのない、ごく普通の家族の営みにほっこりしながら、そこはかとない不安にさいなまれ、「いま何を見せられたの?」と若干もやっとしながら劇場を後にする感じの、怪談じみたお芝居、でしょうか。

「ハミルトン」がトニー賞ベスト・ミュージカルとピュリッツァー賞に選ばれた2016年、トニー賞ベスト・プレイに選ばれ、ピュリッツァー賞ファイナリストまで残ったお芝居です。バラク・オバマ政権が終わりに近づくころ、そしてまもなくドナルド・トランプが大統領に選ばれることを大勢が予想していなかった(あるいは予想していたでしょうか?)ころ、初演されたお芝居です。

19世紀から20世紀の変わり目、チェーホフの新作劇を観た人々と同じような気持ちを味わえるお芝居、かもしれません。

ニューヨーク、マンハッタンの片隅で感謝祭のディナーに集まった家族の抱える不安は、ポストコロナ時代の日本で生活するわたしたちにとっても他人事ではありません。劇場でひとよの不安を分かち合い、他者との緩やかな繋がりを感じることが、この酷い時代、酷い世界を生き抜くための支えになればと思っています。

桑原裕子コメント

人が、不安を抱くのはどんなときだろう、と考えていました。

幼い頃は、そこにないはずの物がある、見えない者が見える、聞こえてはいけない音が……という、いわばゴーストのような未知なる存在に恐れ、何もない暗闇の奥に目をこらしていたものです。

けれどいつからか、不安はその逆にある、と感じるようになりました。

あるはずのものがない。見えていたことを見失う。信じていたものが失われてゆく。それは、信頼であるとか関係だとか絆だとか記憶だとか愛だとか、自分自身であるとか。あるいは文化だとか、社会だとか。私たちの暮らしている世界は、永遠に進化していくものだと思い込んでいたけれど、そうではなかったのだなと、ここ10年ほどの間で急速に感じるようにもなりました。以来ずっと、足下に不安が漂っています。

失われていく予感こそが、不安の正体なのかもしれません。

「ザ・ヒューマンズ―人間たち」は、ひとつの家族の、ほんの僅かな時間を切り取った作品です。あなたも私もよく知るような……けれど、我々が平気な顔をして日々を営みながらひた隠しにしてきた恐ろしい何か、が、不気味な軋みをあげて満ちてゆく恐怖劇でもあります。家族という小さな社会で蠢く人間たちを、私も足をすくませながら見届けます。

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2024/2025シーズン シリーズ「光景-ここから先へと-」Vol.2「ザ・ヒューマンズ─人間たち」

2025年6月12日(木)〜29日(日)
東京都 新国立劇場 小劇場

2025年7月5日(土)・6日(日)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

2025年7月19日(土)
大阪府 茨木市文化・子育て複合施設おにクル ゴウダホール

スタッフ

作:スティーヴン・キャラム
翻訳:広田敦郎
演出:桑原裕子

出演

山崎静代 / 青山美郷 / 細川岳 / 稲川実代子 / 増子倭文江 / 平田満

※目や耳に障がいのある人への観劇サポートあり。

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