「リンス・リピート」は、2019年にアメリカ・ニューヨークのオフブロードウェイで上演された作品。ドミニカ・フェローが脚本を手がけた本作では、娘が摂食障害を患ったことで浮き彫りになる家族のすれ違いや、母から娘に受け継がれる“愛と痛み”が描かれる。日本初演となる今回は、演出を
命が脅かされるほどの摂食障害を抱えていた大学生のレイチェル(吉柳)が、施設での治療を経て、4カ月ぶりに家族の元に帰ってきた。母・ジョーン(寺島)と父・ピーター(松尾)は愛する娘の帰宅を心から喜び、弟・ブロディ(富本)も交えて家族との平穏な時間を過ごすかのように思えた。しかしレイチェルは、セラピストであるブレンダ(名越)との会話を思い出しながら、次第に愛する母親からの愛情を苦痛に感じ、家族こそが自分を追い込んだ原因なのではないかと疑問を抱くようになる。
稲葉は「私たちは誰もが誰かのために必要な心を持って生まれてきた。この世界にあなたはいていいのだ。そんな物語になると思っています」と語った。
出演者と稲葉のコメント全文は以下の通り。チケットの一般販売は2月11日11:00にスタート。
寺島しのぶコメント
家族の形とは。
特に母と娘は自分でも実感がありますが特別な繋がりがあるように思います。
今の自分にあるものを精一杯生かしてお芝居しようと思います。
お客様に何か持ち帰っていただけたら幸いです。
吉柳咲良コメント
摂食障害をテーマに描かれた作品と最初に聞いたときは、正直なことを言うと少し驚きというか、構えた自分がいました。ですが遠くにありそうで意外とすぐそばにあるものだと思っています。そこから浮き出る人間のエゴや愛の形の違いで起こる小さな歪みを一つひとつ丁寧に解釈してお芝居ができたらなと思います。 “自分を愛せるのは自分”と私自身に日々言い聞かせてきた言葉を、この作品からも感じました。役から目を背けず真摯に向き合い、皆様に最大限のものをお届けできるように頑張ります。
富本惣昭コメント
どこかの家庭にも起こりえる、家族の物語。
母と娘の様々な葛藤の中で、息子ブロディはどう生きているのか。
家族が家族であるためにはどうあるべきか、悩みながら進んでいく姿を、演出家、キャストの皆さんに刺激を受けながら自分の感情に素直になって嘘なく表現を作り上げていきたいです。
名越志保コメント
人の心は何と複雑で繊細なのでしょう。この先いくら人工知能が発達しても、きっとそれはわからないのだと思います。
超アナログな演劇の力を思いっきり信じて、皆様の心に残る作品にしたいです。
松尾貴史コメント
私たちは、ともすれば表層的な現象にのみ関心を奪われ、情報の吟味をすることなく対処や方法を選択して納得しようとしますが、近年その傾向はますます強くなってきているように感じます。
独善や前例主義から抜け出せず解決を遠退かせる負のスパイラルから脱出するにはどうすればいいのでしょうか。
当事者としてどのような葛藤が表現できるか、取り組みます。
稲葉賀恵コメント
人の心とはどんなものでしょうか?
幾万年もの間、この正体の分からない心というものと共に私たちは生きています。
今の所地球では誰もが平等に母親の胎内から生まれるので、
私たちの心の出生地は母の胎内にあるのかもしれません。
でもこの世で目を開いた瞬間に、自分の心の現在地を図る過酷な旅が始まります。
誰かに認められ、誰かにとって価値のある人間に。善悪の分別をつけ、白か黒か、はっきり答えが出せる人間に。 複雑で繊細でグラデーションだったはずの心が現在地をすっかり見失ってしまった時、私はふと後ろを振り返り自分のこの身体を作った母の姿を探し、父の匂いを探します。私はこの世界にいていいのだろうか、と彼らに問います。
この物語はとある一つの家族を巡る物語です。
家族を一つ語ることで、私たちがなぜ今諍いを起こし、他人を疑い、愛し、傷つけ、抱きしめるのか、私は少しだけ分かると信じています。
そして烏滸がましい言い方ではありますが、
私たちは誰もが誰かのために必要な心を持って生まれてきた。
この世界にあなたはいていいのだ。そんな物語になると思っています。
舞台「リンス・リピート ―そして、再び繰り返す―」
2025年4月17日(木)〜5月6日(火・振休)
東京都 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
2025年5月10日(土)・11日(日)
京都府 京都劇場
スタッフ
脚本:ドミニカ・フェロー
翻訳:浦辺千鶴
演出:
出演
ジョーン:
レイチェル:
ブロディ:
ブレンダ:名越志保
ピーター:
※U-25、Yシートあり。
ステージナタリー @stage_natalie
「リンス・リピート」 稲葉賀恵演出で日本初演、寺島しのぶ・吉柳咲良ら出演(コメントあり)
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