振付家・ダンサーのダミアン・ジャレと彫刻家の名和晃平がコラボレートする新作「
ジャレと名和はこれまで、死と再生をテーマにした「VESSEL(ヴェッセル)」、霧を用いた「Mist(ミスト)」、さまようものたちを描く「Planet [wanderer](プラネット[ワンダラー])」と3つのコラボレーション作品を発表してきた。4作目となる新作「Mirage [transitory]」では、「Planet [wanderer]」において自分自身を探して砂漠をさまよっていた者たちが見る、“幻覚”や“蜃気楼”が描かれる。
振付をジャレ、舞台美術を名和、音楽を元ダフト・パンクのトーマ・バンガルテル、衣裳をANREALAGEが担当。ダンサーとして、エミリオス・アラポグル、
同作は、海外公演に先駆け、福岡公演で世界初公開される。開幕に際し、ダミアンは「本作は、ダンス、素材、そして人間の肉体を融合させたパフォーマンスとなっています。さまざまな方法と視点、 ダンサーの対立と融合を取り入れながら、現代の世相を反映しつつ、それの中で我々が一体何ものであるのか、どういう状況に置かれているのか、ということを表現しました」と説明。
名和は「THEATER 010という特殊な空間に対してどのようにアプローチするか、という点が最も挑戦的でした。ダミアンと協働した今までの会場と異なり、ステージは幅が狭いのですが、高さがあります。この高さが特徴の会場をどのように活かすかという点で、ダミアンとは議論を重ねましたし、今回はその部分をうまく活かせたのではないかと思います」と手応えを語った。
また、本作の音楽を担当するトーマは「お2人の非常に独特な芸術構成・アート構成、“ダンス×彫刻”という限界がある形式の限界をさらに超えていこうとする、その精神に大変賛同し、私も同じ精神を持って、そこにその音楽の限界を感じつつも、時間や動きの制約とテクスチャーを組み込んで融合させていく、ということに挑戦しました」と振り返った。
上演時間は約1時間10分。公演は10月6日まで。
森永邦彦(ANREALAGE)コメント
舞台の衣装制作において、大事にしていることは、「つくるものは服ではなく、第二の皮膚である」ことです。今回は、名和さん、ダミアンさんと対話を重ねて衣装をつくりました。《MIRAGE [transitory]》では、身体同士が混ざり合い、身体と身体の境界が消えるため、ひとりの身体に対しての衣装制作をすることと、ひとつの塊に対しての衣装制作をすることと、同時に成立する衣装を考える必要がありました。
実際は服を着ているが服を着ていないように見せる(服と身体の境界をシームレスにする)ための素材使いやシルエット、まるで彫像のように一つの塊として身体を見せることにこだわったので、ぜひ注目して見てほしいです。
湯浅永麻コメント
本作に臨む中では常に「挑戦と超越」を感じています。舞台芸術の既成概念を超え、誰もが限界だと思うことを覆す。それにはダミアンと名和さんはもちろん、トーマの音楽、ANREALAGE の衣装、吉本さんの照明、個性的なダンサーたちといった様々な要素が相互に共鳴しあうことが必要不可欠だと思っています。みなさんとの追求、研究、鍛錬の先にどんな風景が現れるのか、私自身も楽しみにしています。特に THEATER 010 は舞台と観客席が近いので、鑑賞者の方々も作品の中に入り込んだかのように楽しんでいただけると思っています。
Mirage [transitory]
2024年9月27日(金)〜10月6日(日) ※公演終了
福岡県 TEATER 010
スタッフ
振付:ダミアン・ジャレ
セノグラフィ・セットデザイン:名和晃平
出演
Aimilios Arapoglou /
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田口タカアキ|プランナー&コネクター @nova_forma
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