「喜劇 老後の資金がありません」に主演する
マギーが脚色・演出を手がける本作は、垣谷美雨の小説「老後の資金がありません」の舞台化作品。同作は昨年、渡辺えりと高畑淳子のW主演で上演された。劇中では主婦・後藤篤子(渡辺)、篤子の友人・神田サツキ(室井)を中心に、老後の資金問題をめぐる物語が展開する。
渡辺は初演を「歌って踊って、袖に掃けるたびに倒れ込んでしまうようなハードな作品でした(笑)。コロナ禍の上演でしたがカーテンコールが5・6回続いて、お客様に勇気を与えられたかなと。初演が終わってすぐに再演のお話をいただきうれしかった」と振り返る。
初参加の室井は「オファーをいただいたとき、事務所のスタッフが『室井さんは体力があるか』『歌えるか』と聞かれたらしい」と言い、オペラ歌手に歌を習っていることを明かして、「歌はまだサッパリ。がんばります(笑)」と語る。また自分自身の老後の備えについて尋ねられると、室井は記憶力を鍛えるために周囲の人々の電話番号を50件ほど覚えていると話し、渡辺を驚かせた。
渡辺は室井の印象について「感受性が強くてセンスを感じるような、“変化球”が面白い方という印象。私はストレートに演技をするタイプだから、漫才コンビのように楽しくやれるのでは」と口にする。室井は「えりさんは一見『任せておきなさい!』という雰囲気ですが、実際はとてもかわいらしい方だと思う。演出家でもあるので、修行のつもりでご一緒したい」と渡辺に信頼を寄せた。
自身の演じる役柄の印象を尋ねられた渡辺は「篤子はしっかりしているようでいて、実はちょっとおっちょこちょい。自分が管理していたお金が冠婚葬祭でどんどん減ったことで、実は自分が見栄を張っていたと気付く人物です」とコメントする。また室井はサツキを「夫が命の人かなと。夫に何かあれば意外ともろいかもしれないし、夫を支えるためならちょっと悪いこともやっちゃう人」と分析。これを聞いた渡辺は「なるほど、新しい解釈だ。実は『篤子の一家よりもサツキの一家のほうが幸せそう』とお客様に言われたことがあるんですよ。そういう対比を見せてもいいのかもしれない。これは面白くなるね!」と顔を輝かせた。
渡辺は本作について「八十代、九十代の人が観ても元気になるような作品だと思う」と話し、「例えば高価な認知症の薬ができたとき、ひと握りのお金持ちだけではなくみんなに薬が回るようにする。そういう世の中になるよう、私たち高齢者も(舞台を通じて)愛を与える活動をしたい」と言葉に力を込める。また室井は「コロナ禍でますます『年を取ったらどう暮らすのか』がはっきりした気がする」と言い、「私の友人はみんな『子供の荷物になりたくない』と思っているようです。私のように子供を持たない人もたくさんいますし、私もなるべく仕事を続けたい。この先は『本当の幸せとはなんだろう?』と、社会全体で考える必要があるんじゃないかな。このお芝居がそれを考えるきっかけになれば」と思いを述べた。
取材会では室井が、資産形成のために金を購入しようとしたものの、高価すぎたため断念したとエピソードを明かす場面も。これを聞いた渡辺は「なぜみんな金を買うの? ダイヤモンドは飾ったらきれいだからまだわかるんだけど……金は何に使って、最後は何の役に立つの? 金箔にするとか、そういうこと?」と室井を質問攻めにし、会見場を笑いで包む。室井は渡辺の勢いに笑いながら「今度ゆっくり説明しますね!」とリアクションし、取材会を締めくくった。
公演は来年1月14日から28日まで京都・南座、2月1日から19日まで東京・新橋演舞場で行われる。チケットの一般販売は11月27日10:00にスタート。
「喜劇 老後の資金がありません」
2023年1月14日(土)~28日(土)
京都府 南座
2023年2月1日(水)~19日(日)
東京都 新橋演舞場
原作:垣谷美雨(中公文庫)
脚色・演出:マギー
キャスト
後藤篤子:
後藤章:羽場裕一
後藤芳子:長谷川稀世
後藤勇人:原嘉孝
後藤さやか:多岐川華子
櫻堂志々子:一色采子
関根文乃:明星真由美
城ヶ崎快斗:松本幸大(ジャニーズJr.)
神田克也:宇梶剛士
神田サツキ:
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