スペクタクルリーディング「バイオーム」が明日6月8日に東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)で開幕する。それに先駆け、本日7日に公開ゲネプロが行われた。
元宝塚歌劇団の
劇場に入ると、長いストリングカーテンの垂れた真っ白なステージが観客を迎えた。アクティングエリアを半円で囲むように一段高いスペースが設けられ、そこと、舞台中央に台本置きが設置されている。
劇中では政治家一族を軸に、その庭に植えられた植物たちの物語が展開する。8歳のルイ(勘九郎)は夜になると、フクロウの声を聞きに庭のクロマツの下に、家政婦の孫・ケイ(勘九郎)と共にやって来る。リコーダーの音色でフクロウに呼びかけるルイには、さまざまな音が聞こえていた。ルイの母・怜子(花總)は家庭を顧みない夫(成河)や、抑圧的な父(野添)との関係から心のバランスを失い、ともえ(安藤)が行う花療法にハマっていく。そんな彼らに、老家政婦・ふき(麻実)と、庭師として働くふきの息子(古川)も巻き込まれていくのだが……。
出演者は1人2役を演じ、植物を演じるときはカーテンをかき分け、舞台奥から姿を表す。植物は人間をけものと呼び、彼らを静観しながら、その悩みや行動にコメントしたり、影響を受けたりするのだ。
芸達者がそろうキャスティングの中でも勘九郎は、ルイの繊細さとケイの奔放さを、身を翻しながら巧みに演じ分け、観客の視線を引き寄せる。幼心に傷心するルイの姿はリアルで切ない。また、彼の問題行動に気付く余裕もなく、追い詰められていく怜子をヒリヒリとした演技で立ち上げた花總と、一歩引いた立場を守る家政婦役から一転、クロマツ役では“マザー”的なおおらかさと存在感を表出させる麻実の掛け合いも見どころだ。
舞台上では白いストリングカーテンに映し出されるアニメーションがカラフルで美しい。庭での時間の経過や天候、外界の風景、登場人物の心情などがその時々で映し出され、観客を劇世界へと誘う。また、出演者の歌や声で表現される“音”、シンプルな生演奏が作品の世界観をまとめた。植物と人間が交わる本作は不思議な様相だが、根底にあるのは、生命の巡りという大きなテーマ。観終えたあとには、庭先での植物と人間が織りなす物語から、さまざまな思いが膨らむだろう。
なお、6月11日17:00開演回では、Streaming+にて国内外で視聴できるライブ配信が行われる。ライブ配信では英語字幕の有無が選択でき、14日までアーカイブが残される。上演時間は約3時間で、公演は12日まで。
中村勘九郎コメント
最初は朗読劇として進めていたのですが、稽古を進めていくうちに作品がどんどん進化していき、ついていくのが大変でした(笑)。今でも難しく感じておりますが稽古中は皆様に助けていただきながら進められたので、短い期間で充実した稽古でした。本作は配信もございますので、映像ならではの美しさをおうちでも楽しんでいただけること間違いなしです。大変な状況下ではありますが、メッセージ性の強い作品になっておりますので、是非ご覧いただき、多くのものを感じ取っていただけたらと思います。
花總まりコメント
スペクタクル・リーディングって?と頭にはてなが飛んだ当初から気がつけば2週間余りのお稽古期間はアッという間に過ぎて、初日は目の前。まだ迷いや不安との闘いの中ですが、今までに経験したことのない2つの対照的な役に全力で立ち向かっております。素晴らしい共演者の方々と共に千穐楽まで全集中で駆け抜けたいと思っておりますので、ご覧になるお客様には濃密でセンシティブな舞台時間を共に味わっていただければと思っております。
古川雄大コメント
稽古の一瞬一瞬がとても刺激的で、あっという間に過ぎていきました。それと同時に、上田さん一色さんという最高のタッグに、尊敬する先輩方と共に過ごす時間は濃密に感じました。そして、わずかな時間で着実に出来上がっていく「スペクタクルリーディング」を目の当たりにし、震えました。
僕も野口・イングリッシュローズとしてこの世界に立てることを幸せに思いながら、これから千穐楽まで役を全う出来るように努めます。皆様、ご期待ください。
野添義弘コメント
スペクタクルリーディングという言葉は、今回初めて目にしました。スペクタクル? どうなるのか? 全く予想がつかなかったのですが稽古に参加する度に、なるほど! なるほど!と思えるようになりました。
まさにスペクタクルリーディングです。これがスペクタクルリーディングです。皆様同様、私も初めての体験です。
ドキドキワクワクしながら演じたいと思います。皆様もスペクタクルリーディングの世界にドップリと浸かって下さい。
安藤聖コメント
経験したことも目撃したこともない朗読劇に仕上がっています。タイトル通り、スペクタクルなリーディング劇です。なので稽古中は、これか? これか!!と、様々な課題に頭がフル回転していました、頭も身体も疲れ切っているはずなのに楽しんで稽古に参加できたのは、素晴らしい共演者の皆さま、スタッフの皆さまがいてくれてのことです。迎える本番では、ここまでのプロセスをしっかりお客さまに観ていただけるよう、そして作品を存分に楽しんでいただけるよう、思いを込めて舞台に立ちます。
成河コメント
試演としての朗読劇からは随分とはみ出して欲張ったものになっていると思います。3週間あるんだったら覚えませんか、などと焚き付けてしまった責任の一端も感じつつ、これは吉と出るか凶と出るか、ドキドキしております。ミクロな視点とマクロな視点を行き来する非常にダイナミックな戯曲です。この戯曲の持つスケールと繊細さを損なわないよう、細心の手付きと集中力で5日間、お客様と共に作品を育てて行ければと思います。よろしくお願いします。
麻実れいコメント
頂いた本に初めて目を通した時、私にはとても難解な作品と感じましたが読み込んでいくうちに、ふきと植物たちを通して、生きていく強さと温かさが私の中に広がり始めました。
この気持ちを最後まで育み、皆様にお渡しできたらと願っています。
スペクタクルリーディング「バイオーム」
2022年6月8日(水)~12日(日)
東京都 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
作:
演出:一色隆司
出演:
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野添 義弘 @73zoesan_set
押忍‼️明日から始まる
スペクタクルリーディング「バイオーム」の舞台稽古の様子がいくつか公開されています。こちらはステージナタリーさんです。ありがとうございます❗️ https://t.co/UqS6p2B2JB