「沖縄・復帰50年現代演劇集 in なはーと」キックオフミーティングで3劇団が意気込み

1

147

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 6 16
  • 125 シェア

5月4日から14日まで沖縄・那覇文化芸術劇場なはーと 小劇場で開催される「沖縄・復帰 50 年現代演劇集 in なはーと」のキックオフミーティングが、昨日3月1日に那覇文化芸術劇場なはーと 小劇場で行われた。

左から崎山敦彦、新井章仁、真栄平仁、当山彰一。

左から崎山敦彦、新井章仁、真栄平仁、当山彰一。

大きなサイズで見る(全6件)

左から崎山敦彦、新井章仁、真栄平仁、当山彰一。

左から崎山敦彦、新井章仁、真栄平仁、当山彰一。[拡大]

「沖縄・復帰 50 年現代演劇集 in なはーと」は今年、沖縄が復帰50年を迎えるにあたり開催される企画。沖縄の“復帰”をテーマにした舞台芸術を通して、土地の歴史を知り、考えることを目的に、3作品が連続上演される。キックオフミーティングには那覇文化芸術劇場なはーとの崎山敦彦、劇団ビーチロックの新井章仁、劇団O.Z.Eの真栄平仁、本企画の発案者で劇艶おとな団当山彰一が登壇した。

まずは企画の趣旨について発案者の当山が、「沖縄ではお芝居で『復帰とは何だったのか』『沖縄戦とは何だったのか』ということを世の中に問いかけてきました。登壇している3人(崎山を除く)は、それぞれの劇団で沖縄の復帰についての芝居を上演した経験があります。今回は3つの現代劇を通して、復帰を知らない若い世代が、知っている世代と共に考えられる機会になれば」と説明。50年前に沖縄復帰記念式典が行われた那覇市民会館を例に挙げ、新たに開場した那覇文化芸術劇場なはーとでの開催を「有意義」だと述べた。

崎山は「時代時代に、演劇を通して私たちの存在を確認しながら演劇文化が培われてきました。演劇体験がさらなる沖縄の発展、糧になるということを学習しながら、『沖縄・復帰50年現代演劇集』が成功するように力を合わせたい」と語る。

劇団ビーチロック「オキナワ・シンデレラ・ブルース」過去公演より。

劇団ビーチロック「オキナワ・シンデレラ・ブルース」過去公演より。[拡大]

続いて、上演作品が説明された。劇団ビーチロック「オキナワ・シンデレラ・ブルース」は本土復帰して1年の沖縄を舞台にした、ある少女のシンデレラストーリー。時代の波にのまれながらも強く生きる人間を描く。作・演出を手がける新井は「復帰がもたらした良い面、期待通りにならなかった面を、シンデレラの魔法が解けてしまう様になぞらえて描いています。当時の沖縄を彷彿とさせる舞台装置、劇中のブルースの生演奏が見どころ」と言い、「骨太なエンタテインメントになっているので、沖縄の歴史に詳しくない方でも入り口として楽しんでいただけるものになるはず」と自信をのぞかせた。

劇団O.Z.E「72'ライダー」過去公演より。

劇団O.Z.E「72'ライダー」過去公演より。[拡大]

劇団O.Z.E「72'ライダー」ではバイク屋を営む50歳のやーすーと友人たちが、復帰50年を迎える様子が描かれる。作・演出の真栄平は、「復帰したあとに沖縄の人が750ccのバイクで国会議事堂の鉄柵に突っ込んで亡くなったという事件があったんです。それがずっと頭の中にあって。そのシーンと、1972年に生まれた“復帰っ子”と呼ばれる人たちの姿を描いた場面が行ったり来たりするような構成になっています」と復帰40周年に上演された本作について語り、「できるだけ笑えるように作りたい。ラストシーンでバイクの音をめちゃくちゃうるさくしています。その音が皆さんの心に刺されば」と意気込んだ。

劇艶おとな団「9人の迷える沖縄人」過去公演より。

劇艶おとな団「9人の迷える沖縄人」過去公演より。[拡大]

本土復帰を前に1つの部屋に集められた人々の話し合いの様子をつづる劇艶おとな団「9人の迷える沖縄人」は、座付き作家の安和学治、国吉誠一郎による脚本を当山が演出する。当山は「『沖縄の現代演劇の方は沖縄戦を扱わないの?』と聞かれることがありますが、先輩方が作られた作品を観ていて、経験者ではない僕たちがそれを扱うのは時期尚早ではないかなと感じていました。でも“復帰”だったら、経験している劇団員もいる。さまざまな立場から復帰を問うたものであり、復帰を忘れてほしくないという思いのもと、上演を続けている作品です」と言う。

記者から今回の上演での変更点を聞かれると、真栄平は「笑いがすべったところは全部カット」と答え、会場の空気を和ませた。また、これまで3方向客席で上演されてきた「9人の迷える沖縄人」では、(プロセニアムアーチの劇場で)前から観やすくなるようなセットに変更される。当山は「復帰を体験した方の声が、より盛り込まれるような作りにしたい」と話す。

「沖縄・復帰50年現代演劇集 in なはーと」の様子。

「沖縄・復帰50年現代演劇集 in なはーと」の様子。[拡大]

最後に当山は、「同時代に沖縄で活躍する劇団が集まることで、(作品の)力をより伝えられるのではと思い、“演劇集”としました」と言い、20年以上前に東京・本多劇場で観た「広島に原爆を落とす日」のエピソードを披露。「当時活躍していた劇団の人気俳優たちが出てきて、自己紹介をするようなシーンがあって。こんな演劇のお祭りみたいなことをいつかやりたいと思っていた。それもあり、今回は沖縄で現代演劇をやっている劇団に集まってもらいました」と思いを明かした。

なお、「沖縄・復帰 50 年現代演劇集 in なはーと」では観客に3作品観劇してもらうことを目指しており、3作品セット購入で1000円割引となる“観劇パスポート”、1口につき中学生以上23歳以下を2名、対象公演に招待できる“みらいチケット(若者応援チケット)”が導入される。“みらいチケット(若者応援チケット)”提供者となる個人・団体・企業で、希望者は公式サイトと公演会場で名前を掲載することができる。チケットの一般販売は4月1日にスタート。“観劇パスポート”と“みらいチケット(若者応援チケット)”は昨日3月1日に受付が開始された。

この記事の画像(全6件)

「沖縄・復帰50年現代演劇集 in なはーと」

2022年5月4日(水・祝)~14日(土)
沖縄県 那覇文化芸術劇場なはーと 小劇場

劇団ビーチロック「オキナワ・シンデレラ・ブルース」

2022年5月4日(水・祝)・5日(木・祝)

作・演出:新井章仁
出演:ジョーイ大鵞、片山英紀、山内そうけん、大嶺佳奈、伊都、仲泊伽帆 ほか
ゲスト出演:仲間千尋、田島龍、東克明、古堅晋臣、岸本尚泰、Hitoshi&Arita

劇団O.Z.E「72'ライダー」

2022年5月7日(土)・8日(日)

作・演出:真栄平仁
出演:新垣晋也、平安信行、金城理恵、秋山ひとみ、渡嘉敷直貴 ほか

劇艶おとな団「9人の迷える沖縄人」

2022年5月13日(金)・14日(土)

作:安和学治、国吉誠一郎
演出:当山彰一
作曲:大司義人
出演:仲嶺優作、國仲正也、犬養憲子島袋寛之、宇座仁一、上門みき、伊禮門綾、与那嶺圭一、当山彰一

全文を表示

読者の反応

  • 1

ガ ッ パ イ や ー す ー(キ ョ ー ソ ク) @gappaiyasu

【会見レポート】「沖縄・復帰50年現代演劇集 in なはーと」キックオフミーティングで3劇団が意気込み #オキナワシンデレラブルース #72ライダー #9人の迷える沖縄人
https://t.co/7sJ3Srvu1G

コメントを読む(1件)

関連記事

リンク

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 真栄平仁 / 新垣晋也 / 秋山ひとみ / 劇艶おとな団 / 当山彰一 / 犬養憲子 / 島袋寛之 の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします