本作についての山本からのコメントは以下の通り。
山本卓卓コメント
実験演劇とか実験的演劇という言葉があまり好きではありません。完成形を提示するのだと考えて創作を行うからです。実験といえばまるで途中経過のようで、治験の段階といった耳障りがして、それは稽古場で終わらせるべきだとの思いがこれまでありました。だけれども、すくなくとも、経験則からいっても、良き途中経過に良き完成が待っていることを疑いはしません。また言うなれば人生など死に際まで限りなく途中経過の連続にすぎないのだという旅人のような心が、私の作品創作における姿勢にダブらないとも言えません。白状しますが、私は演劇創作において壮大な夢を描いています。それは例えていうなら世界一周を徒歩と手漕ぎボートで達成する、とでもいうような無茶な夢です。しかしそれをしてみたいという想いに駆られ続けている、駆られ続けてここまでやってきたことは確かなのです。そして私はいま“むこう側の演劇”というコンセプトのなかで、その壮大な完成形を提示するには、膨大な過程をも提示する必要があると思い立ちました。それゆえ、むこう側の演劇シリーズの第二弾として“旅の旅”という(あえてこういう言い方をしますが)「実験的な」作品群を発表してゆこうと決めました。壮大な夢の記録、旅の記録、途中経過をご覧ください。楽しんでいただけたら幸いです。それでは、ボン・ヴォヤージュ!
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さまざまな手法で“旅”を作り出す範宙遊泳の新シリーズ、1作目は「無音の旅」(コメントあり)
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