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中川晃教と加藤和樹が火花散らし、大原櫻子は揺れる心歌う「怪人と探偵」

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新作ミュージカル「怪人と探偵」より。(撮影:岡千里)

新作ミュージカル「怪人と探偵」より。(撮影:岡千里)

白井晃演出による新作ミュージカル「怪人と探偵」が神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールで上演中だ。ステージナタリーでは、9月18日14:00開演回の様子をレポートする。

本作は江戸川乱歩の作品を原案に、森雪之丞が作・作詞・楽曲プロデュースを手がける新作ミュージカル。物語は、怪人二十面相(中川晃教)が犯行予告を出した博物館の場面に始まる。舞台中央には二十面相のターゲットである首飾りが入ったガラスケースが設置され、上手側には3:00少し前を示す柱時計の映像が大きく映し出された。首飾りを守る警官や探偵団の面々に扮した出演者たちは不穏なメロディを歌い、緊張感を煽る。ついに登場した二十面相は、探偵・明智小五郎(加藤和樹)と丁々発止のやりとりを繰り広げ、観客を一気に物語の世界へと引き込んだ。

ステージには斜めにカットされたパネルや傾いた街灯、パースがデフォルメされた三角形の本棚などが登場して観客の遠近感や平衡感覚を狂わせる。加えて花火やサーカス芸、大道具を用いたイリュージョンなどの華やかな演出も、物語のムードを高めた。東京スカパラダイスオーケストラによる軽快なジャズ調のテーマ曲「憂愁モダン」や、杉本雄治(WEAVER)作曲のレトロな雰囲気漂う楽曲群にも、ぜひ耳を傾けよう。

物語は中川演じる二十面相、加藤演じる明智、大原櫻子演じる令嬢・北小路リリカを中心に展開。二十面相とリリカのフィアンセ・竜太郎の2役を務める中川は、一途にリリカを愛する竜太郎をかわいらしく演じる。その一方で、“愛”に憧れる二十面相の熱情を突き抜けるような高音で表現し、観客を惹き付けた。明智役の加藤はグレーのスーツ姿で颯爽と姿を現し、華麗なアクションで魅せる。リリカを巡って明智が二十面相と対決する場面では熱い叫びを上げ、彼らのスリリングな関係性を描き出した。さらにリリカ役の大原は、中川や加藤と美しい三重唱を披露。明智と二十面相との間で揺れるリリカの思いを、繊細な歌声で表した。

劇中では権力に反発して財宝を奪おうとする二十面相が「蜜と謎」、それを阻止しようとする明智が「謎と蜜」を歌うなど、2人は火花を散らして対立しながらも、合わせ鏡のように似たところのあるキャラクターとして描かれる。またチラシ表に「すべての影は光が生み出す――」とキャッチコピーが記された本作には、竜太郎を装う二十面相、実は“田口慶子”として過去に明智と関わっていたリリカ、元華族でありながら裏で詐欺に手を染める北小路夫妻(今拓哉樹里咲穂)など、2つの顔を持つキャラクターが数多く登場。普段は明智探偵事務所の秘書として冷静に仕事をこなすマユミ(フランク莉奈)が、眠る明智に赤ちゃん言葉で語りかけ、彼への恋心をコミカルに歌い上げる場面では、客席から大きな笑いが起きた。

公演は9月29日までKAAT神奈川芸術劇場 ホール、10月3日から6日まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて。

新作ミュージカル「怪人と探偵」

2019年9月14日(土)~29日(日)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 ホール

2019年10月3日(木)~6日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

原案:江戸川乱歩
作・作詞・楽曲プロデュース:森雪之丞
テーマ音楽:東京スカパラダイスオーケストラ
作曲:杉本雄治(WEAVER
演出:白井晃
出演:中川晃教加藤和樹大原櫻子 / 水田航生フランク莉奈今拓哉樹里咲穂有川マコト山岸門人中山義紘石賀和輝 / 高橋由美子六角精児 / 齋藤桐人石井雅登碓井菜央、菅谷真理恵、大久保徹哉、咲良、清水錬、加藤梨里香

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