スペインの小説「ドン・キホーテ」を原作とした「ラ・マンチャの男」は、1965年にアメリカ・ブロードウェイで初演され、翌66年のトニー賞ではミュージカル作品賞を含む計5部門を受賞したミュージカル。日本では69年の初演から松本白鸚(当時は市川染五郎)が主演し、翌70年にはブロードウェイのマーチンベック劇場にて現地の俳優と全編英語で60ステージを務めた。その後、今日までの上演回数は1265回を数える。
オーディエンス約200名が招かれた製作発表には、白鸚、
本作に初出演するアルドンザ役の瀬奈は「前回2015年の『ラ・マンチャ』を観劇したとき、心は舞台上にある気持ちでした。終演後は感動に涙が止まらず、心が震え、立ち上がれなかった」と振り返る。今回の出演にあたって瀬奈は「感動を皆様にお届けできるよう、魂を込めて演じたい。50年続く作品に自分が出演する意味を考えながら、私らしい風を吹かせていけたら」と意気込んだ。
本作ではこれまでにラバ追い役や床屋役を務め、2009年からは白鸚演じるドン・キホーテの従者サンチョ役を演じている駒田は、本作ついて「本、楽曲、旦那様(白鸚)の魅力がまずある。さらには1つひとつのセリフをお客様が人生に投影できるような深い作品だと思います」と魅力を分析。白鸚に視線を送ると、「10年前から幸四郎さんとは呼ばずに、旦那様と呼んできたので、名前が白鸚さんに変わられても、今後とも旦那様と呼ばせていただければと思います!」と笑顔を見せる。
また記者から演出家としての白鸚の印象について尋ねられた駒田は「きっちり俯瞰して、全体を見ていらっしゃる。すべてを把握し、考えながら演出していただいているので、そんな旦那様の姿を見るのも僕の楽しみの1つです」と答えた。
今回が初出演となるアントニア役の松原は、「前回『ラ・マンチャ』を観劇させていただいたときはまだ学生で、ミュージカルの舞台にも立ったことがなかった。夢を追いかけたいけれど、叶うはずがないのではないか、と迷っていた時期でした」と目を潤ませる。さらに「『ラ・マンチャ』は勇気をもらえて胸がいっぱいになる作品。50周年記念公演ということもあり、この作品の一部になれることがうれしい。稽古の時間を一瞬たりとも無駄にしないで食らいついていきたいです」と目標を掲げた。
前回の15年公演から本作に出演しているカラスコ役の宮川は「前回は迷いながら必死でもがき苦しんでいました。4年経って、自分自身がどれだけ成長できているか楽しみです」と真摯に語る。また「幸四郎さんから白鸚さんになられたことで、イニシャルがH.Mで、僕と同じになりました。ありがとうござます!(笑)」と述べ、会場を和ませた。
77年公演で本作に初出演している牢名主役の上條は「時代を超越したテーマを持っている作品」と本作を評し、「私は高麗屋さん(白鸚)より2歳年上。お互い年を取ったのは確実ですので、がんばろうと思います」と思いを述べる。
白鸚は65年に22歳で初めて出演したミュージカル作品「王様と私」のことを回想し、「当時は日本で上演されるミュージカル作品の数も少なく、菊田一夫先生から『日本にミュージカルが根付くまで続けよう』とおっしゃっていただいたんです。菊田先生と私の父・初代白鸚との出会いが『ラ・マンチャ』上演のきっかけにもなりました。私は『見果てぬ夢』を2人の男へのレクイエムのつもりで歌っています」と思いを明かす。白鸚は続けて「今年77歳を迎えるにしてはずいぶん無理をしておりますが、私はつねに前しか見ておりません。これから先、もし僕がいなくなったあとも『クリスマス・キャロル』のように、毎年必ず『ラ・マンチャ』の火が灯ってくれたらうれしい」と胸中を語った。
司会から最後の挨拶を求められた白鸚は「『ラ・マンチャ』50周年の製作発表は、締めません!」と宣言。また本作のチラシに書かれた“遍歴の旅はクライマックスへ”というキャッチコピーに触れると、「クライマックスでもございません! 私は人生のすべてがクライマックスのつもりでございます。人間は肉体的には限界がございますが、ドン・キホーテの精神だけはいつの時代にも生き続けてほしい。皆さんどうか劇場にお越しください」と観客にメッセージを送った。
ミュージカル「ラ・マンチャの男」の公演は9月7日から12日まで大阪・フェスティバルホール、9月21日から23日まで宮城・東京エレクトロンホール宮城、9月27日から29日まで愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、10月4日から27日まで東京・帝国劇場にて。チケットの一般前売は8月3日にスタート。
日本初演50周年記念公演 ミュージカル「ラ・マンチャの男」
2019年9月7日(土)~12日(木)
大阪府 フェスティバルホール
2019年9月21日(土)~23日(月)
宮城県 東京エレクトロンホール宮城
2019年9月27日(金)~29日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2019年10月4日(金)~27日(日)
東京都 帝国劇場
脚本:デール・ワッサーマン
作詞:ジョオ・ダリオン
音楽:ミッチ・リー
訳:森岩雄、高田蓉子
訳詞:福井崚
振付・演出:エディ・ロール(日本初演)
演出:
キャスト
セルバンテス / ドン・キホーテ: 松本白鸚
アルドンザ:
サンチョ:
アントニア:
神父:
家政婦:荒井洸子
床屋:祖父江進
ペドロ:大塚雅夫
マリア:白木美貴子
カラスコ:
牢名主:
隊長:鈴木良一
ギター弾き:ICCOU
ムーア人の娘:真田慶子
フェルミナ:
美濃良、山本真裕、小川善太郎、山本直輝、
※高田実那の「高」ははしご高が正式表記。
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