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約9年ぶり再演の「BLUE/ORANGE」稽古、成河「構えず観ていただけたら」

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「BLUE/ORANGE」稽古場より。

「BLUE/ORANGE」稽古場より。

3月29日から4月28日に東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERにて上演される「BLUE/ORANGE」。ステージナタリーでは、本日3月12日の稽古場の様子をレポートする。

本日は、第1幕の通し稽古が行われた。境界性人格障害で入院していたアフリカ系青年クリス(章平)は、研修医ブルース(成河)による治療を終えて翌日に退院を控えている。しかしブルースには気がかりなことがあり、退院は危険だと主張していた。これに上司のロバート(千葉哲也)は強く反対するが、納得できないブルースはクリスへの査定を続け、器に入ったオレンジの色を問う。するとクリスはオレンジが「青い」と言い……。

成河は正義感にあふれた実直なブルースを力強いまなざしで演じ、千葉は何かと理由を付けてクリスを退院させようとするロバートをのらりくらりとした態度で表現。さらに情緒不安定で予想の付かない行動を見せるクリス役の章平は、緩急のある演技で魅せた。

稽古前には出演者たちの取材会が行われた。2010年の日本初演で演出とブルース役を務め、今回は演出とロバート役を担当する千葉は、約9年ぶりの再演に向け「今回は翻訳が違うこともあり、ほぼ新作」と話し、「お客さんは相当集中力がいると思いますが、退屈させずにやれたら」「会議をしているときって、みんな体は動かさなくてもじっと話を聞いていますよね。そんなふうに観客の方にも参加してほしい」と呼びかけた。

成河は千葉の言葉を受け、「面白く作れば、何時間でも観てもらえると思います(笑)。登場人物は何が狂っていて何が正常なのかを話し合いますが、彼らと一緒に考えてもらえたら」と真摯に述べる。また本作は中央の舞台を客席が挟む形で上演される。これについて成河は「医者と患者が観察し合うように、挟み舞台では客席と舞台、ときに客席どうしも観察し合います。観察はこのお芝居のテーマですし、素晴らしい選択ですね」と演出の千葉に視線を送った。

また昨年18年の「Take Me Out 2018」を観劇したことで章平にオファーしたと言う成河は、「こんな“ベテランさん”がいたんだ!と(笑)。彼が舞台に存在する“居方”が素敵でした」と当時を振り返る。成河の「章平を知らなかったら『BLUE/ORANGE』を再演していないと思う」というコメントを聞いた章平が、顔をほころばせて「奇跡みたいな巡り合わせですね」と述懐すると、千葉が「成河には一生頭が上がんないね」と笑顔を見せて報道陣を笑わせた。

章平は境界性人格障害の青年クリスを演じるにあたり、「俳優がすべきことをしてはいけないのが大変です。リアクションをとったり空気を読んだりできないので」と苦労を語る。初演でクリスを演じた成河は、「狂気のお芝居は表面的に演じても成立するので簡単だと言われますが、いい俳優さんほど動機や心を持とうとして結果的に狂気から外れる。僕は割と表現主義的な演技が好きだったので、初演では表面から作りました。でも章平くんは熱い心を持っていて、心ある俳優さんが今回のような狂気の演技に取り組むとすごい高みに登るんじゃないかと、最大限に期待しています!」と章平にエールを送った。

最後に3人は観客に向けてメッセージを送った。成河は「1つの場所でずっと話している作品で、演劇的な“飛躍”がない。なので『演劇とかよくわからない』という人のほうが理解できる話かも」と作品を分析し、「“演劇”として構えず観ていただけたら」と呼びかける。続く章平は「3人が生きているさまを目撃してほしい。きっとどこかで誰かに共感すると思います」とコメント。さらに千葉は「皆さんの足を引っ張らないようにしつつ、(演出家として)責任をとらなきゃいけないので……遠くの夕陽を見ています……」と苦笑いを浮かべ、「いいチームなので、最終的には助けてもらえると思います」と共演者たちに信頼を寄せた。

00年にイギリスで初演された本作は、Joe Penhallの作品。10年の日本初演には、成河、千葉のほかに中嶋しゅうが出演した。公演は3月29日から4月28日まで東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERにて。

「BLUE/ORANGE」

2019年3月29日(金)~4月28日(日)
東京都 DDD AOYAMA CROSS THEATER

作:Joe Penhall
翻訳:小川絵梨子
演出:千葉哲也
出演:成河、千葉哲也、章平

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