本作は、日本近代演劇の礎となった3作品を、30代の気鋭の演出家3人が連続で上演する「かさなる視点―日本戯曲の力―」シリーズの第1弾。今回は、谷が
「白蟻の巣」は、1955年に三島が青年座に書き下ろした戯曲。ブラジル・リンスにあるコーヒー農園を舞台に、農園の経営者である刈屋義郎・妙子夫妻、彼らの運転手を務める百島健次・啓子夫妻の4人に中に生じる奇妙な三角関係が描かれる。出演は
敗戦から10年後に書かれたこの戯曲を読んだ谷は「三島由紀夫に叱られている気持ちになる。そう長くない芝居だが、彼の魂がこもった本だ。全力で立ち向かい、その問い掛けに一矢報いてやりたい」とコメントしている。
谷賢一コメント
昭和30年(1955年)に書かれた「白蟻の巣」は、劇作家としての三島由紀夫のデビュー作であると同時に、三島が終生、まさに市ヶ谷駐屯地で腹かっさばく直前まで考え続けた問題をダイレクトに扱っている。──敗戦から10年、これから日本人はどう生きるべきか?
「もはや戦後ではない」という言葉が人口に膾炙したのは翌年、1956年のことだったが、敗戦から70年が経つ2016年の今でさえ、我々日本人はどうあるべきか、新しい答えを見出せていない。しばらくの間は金儲けに成功してチャラチャラしていられたが、その間、何一つ思想的な進歩はなかったように思う。
「白蟻の巣」を読むと、三島由紀夫に叱られている気持ちになる。そう長くない芝居だが、彼の魂がこもった本だ。全力で立ち向かい、その問い掛けに一矢報いてやりたい。
※初出時、本文に一部間違いがありました。訂正してお詫びいたします。
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