新たな作り手が次々と頭角を表す演劇界。数ある劇団の中から、ジャケ買いならぬ“劇団名買い”で観劇に行った経験はないだろうか。チラシやニュース、SNSなどで目にする劇団名には、シンプルなものから不思議な音の響きを持つものまで、さまざまだが、それには名づけ主の希望や願い、さらには演劇的活動戦略が込められている。このコラムでは、多彩な個性を放つ若手劇団の名前の由来に迫る。
今回取り上げるのは、2016年に結成された
コンプソンズ
Q. 劇団名の由来、劇団名に込めた思いを教えてください。
ウィリアム・フォークナーという作家の「響きと怒り」という作品がアメリカ南部の“コンプソン家”の没落を描いた作品なのですが、大学生のときに読んで感銘を受けたので、そこから取りました。あと覚えやすさと検索のしやすさです。始めたときは大学を出たてだったので「イケてるオシャレな劇団にするぞ!」と意気込んでいましたが、そもそも劇団というものが「イケてる」「オシャレ」から一番遠いものであると気付くのに5年かかりました。
Q. 劇団の一番の特徴は?
一番の特徴は毎回作風が変わることかと思います。作演の私が飽きっぽいので。あとサブカル、文学からの引用が多いです。時事ネタなどの固有名詞も多いです。一応、出身が明治大学の実験劇場という唐十郎氏がいたところなので、唐十郎氏から受け継いだ“ロマン”を現代的センスで舞台上に現前させることを裏テーマにがんばっているような気がしますが、気がしているだけかもしれません。なにせ今初めてそんな気がしたので。
Q. 今後の目標や観客に向けたメッセージをお願いします。
演劇を辞めるために演劇を始めたのですが(演劇は先行投資と考えて、のちのちテレビや映画などの脚本を書きたかったのです)、最近は演劇文化に深い愛着を感じてきているので、がんばっていきたいです。この国は少子化で貧乏になって終わっていくので、目標は生存です。不経済で燃費の悪い“演劇”という活動を続けること自体が新自由主義への抵抗なのではないかと最近考えています。こういうことを書くと主張の激しい怖い集団なのかと思われそうですが、作品自体は誰が観ても楽しめる、笑って泣けるエンタテインメントを作っています。本当です。
プロフィール
2016年、明治大学の実験劇場を母体に発足した劇団。主宰を務める金子鈴幸、星野花菜里をはじめ、細井じゅん、大宮二郎、宝保里実、鈴木啓佑、金田陸が所属している。主に金子が脚本・演出を担うことが多いが、各劇団員による自主企画やプロデュース公演も積極的に実施しており、劇団「地蔵中毒」と定期的にコラボ公演を行っている。近年の作品に、別冊コンプソンズvol.1「ビニール」、コンプソンズ#10「われらの狂気を生き延びる道を教えてください」など。
コンプソンズ @compsons1206
ステージナタリー様の企画
『由来を教えて!劇団名50』にてコンプソンズの命名由来などを金子鈴幸が答えております🗣
#コンプソンズ
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