小沢道成(左)を撮影する竪山隼太。(撮影:平岩享)

隼太からHAYATAへ 第4回 [バックナンバー]

光も被写体の輝きも、直感で素早くキャッチ!

第4回の課題は「光を理解しよう」

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十代で「ライオンキング」ヤングシンバ役に抜擢、二十代を蜷川幸雄率いるさいたまネクスト・シアターで過ごし、32歳となった今年、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」のロン・ウィーズリー役で活躍中の俳優・竪山隼太が、もう1つの夢であるカメラマン・HAYATAを目指す本企画。舞台をはじめさまざまなメディアで活躍するプロのカメラマン・平岩享が先生となり、隼太は毎回多様な課題に取り組みながら、“隼太からHAYATAへ”の道を突き進む。

初回から第3回までは、那須凜をモデルに撮影の基本を体得した。第4回には、今年の岸田國士戯曲賞で最終候補作に選出されるなど劇作家、演出家、俳優として注目を集めるEPOCH MANの小沢道成が登場。「光を理解しよう!」をテーマに、今回は屋外に飛び出した。

構成 / 熊井玲 ヘアメイク / オオトウアキ

第4回の課題「光を理解しよう」

平岩「順光、斜光、逆光を理解することで写真の表現の幅が広がります。太陽の位置を見て、同じような構図で3種類の光を意識して撮影してもらいました。そして自分が表現したい写真のイメージはどの光を選んで撮るのが近いのか? そんなことを意識してもらいながら隼太くんに撮影してもらいました。被写体に合った光、自分が撮りたいイメージの組み合わせを実際に撮影することで感じてもらいたかったからです」

1st Trial

撮影日当日、実は朝から雨予報で、屋外の撮影は難しいのでは……と思われた。しかし、強運の持ち主・竪山隼太のこと、撮影が始まる少し前に雲間から太陽が顔を見せた。まずは屋上で撮影をスタート。

まずはラフに、竪山隼太が撮影した小沢道成。

まずはラフに、竪山隼太が撮影した小沢道成。

だんだん動きが出始めた、竪山隼太が撮影した小沢道成。

だんだん動きが出始めた、竪山隼太が撮影した小沢道成。

竪山「被写体のみっちーに太陽の光をどう反映させるのか、平岩さんにまず順光、斜光、逆光を学びました。みっちーは中性的なキャラクターが魅力的なので、画角全体が白っぽくなる逆光が合うんじゃないかなあと思い、最初撮影を始めました。場所はナタリーの屋上。奥の建物が立体的でみっちーの服の色合いが合っていたので、何枚か撮影しました。大都会とみっちーというそれだけで戯曲1本書けちゃうんじゃないの?と思いながら柵にもたれかかってもらったり、ちょこんと座ってもらったり、歩いてもらったりしてしばらく撮影をしていたそのときです。

みっちー『隼太君、ちょっと脱いでいいかなー』

とみっちーがシャツを脱ぎはじめ、くるくる回り出しました。

平岩さん「隼太君!!! 今!!! 今だよ!!! カメラで撮って!!!」

僕「!?!?!?」

そう、僕はテンパりました。相棒カメラもテンパってました。そしてみっちーがどんどんあれよあれよと素敵な表情を連発していました。逃すまいと必死で食らいつきました。

『これが……EPOCH MAN……ミチナリ……オザワか……』」

自ら上着を脱ぎ始めた、竪山隼太が撮影した小沢道成。

自ら上着を脱ぎ始めた、竪山隼太が撮影した小沢道成。

動きと共に表情も変化し始めた、竪山隼太が撮影した小沢道成。

動きと共に表情も変化し始めた、竪山隼太が撮影した小沢道成。

2nd Trial

撮影が進むにつれ、どんどん大胆な表情と動きを見せ始めた小沢。その様子に半ば押されるように、カメラマン・HAYATAもシャッターを押していく。

竪山「平岩さんはみっちーのキャラクターを見たうえで、この屋上で狙える画の限界を探し始めました。寄ってみる、引いてみる、室外機と鉄パイプの背景が面白いからここで撮ってみようと。確かにここなら室外機に挟まれ身体にいろいろな表情がつきました。カッコいいみっちー! また下から斜めにカメラを構えることでよりアーティスティックな写真になりました。ジャケ写みたい。そして屋上の上についている梯子に上り、屋上の床を背景にしてみっちーを上から狙い、踊ってもらいながら写真を撮りました。視野広すぎませんか。さすが師匠。みっちーもどんどん解放されてちょっとしたショーになってました」

どんどん動きが大きくなっていく、竪山隼太が撮影した小沢道成。

どんどん動きが大きくなっていく、竪山隼太が撮影した小沢道成。

最後はジャンプ!竪山隼太が撮影した小沢道成。

最後はジャンプ!竪山隼太が撮影した小沢道成。

Review

平岩「最初に小沢さんで3種類の光を意識した写真を撮ってもらいました。隼太くんは逆光の光で小沢さんを撮ってみたいと感じたようで、逆光の光を中心にした写真を撮りました。小沢さんの髪の色が金だったので逆光の光がとても似合っていました。また、屋上のシチュエーションを生かした撮影をしたり、自分が高い場所に上がることで面白い画角を見つけて撮影をしていたところにカメラマン隼太くんの成長が見えました」

小沢道成(奥)を撮影する竪山隼太。(撮影:平岩享)

小沢道成(奥)を撮影する竪山隼太。(撮影:平岩享)

モデル・小沢道成が語る、隼太とHAYATA

隼太くんが今、俳優以外にカメラにも興味を持っていると聞いていたので、いつか撮ってほしいなと思っていました。だから今回は、隼太くんのためになるなら全然使ってもらいたいと思って、フラッとやってきました。

写真を撮られるのは得意ではなくて……というのも、何か表現するものがあれば大丈夫なのですが、何の感情を持ってカメラの前に立っていれば良いんだろうってことがわからないからなんです。でもそれってカメラマンさんとの関係で変わるんだなと思いましたし、隼太くんが撮った写真もめちゃくちゃ素敵で。彼のもともとの人柄が出ているのか、センスなのか、すごいなと思いました。

竪山隼太が撮影した小沢道成。

竪山隼太が撮影した小沢道成。

第4回を終えて

竪山「ぶっちゃけると僕は飲まれちゃって、もっと良い表情があったのに、シャッター切れてなかったんじゃないかって今でも思い返す撮影になりました。それだけやっぱりみっちーは表現者だなあって。もちろん僕も俳優なんですが、みっちーは自分で戯曲を書いて、演出をして、プレーヤーとしてもできる人なんです。冷静に自分を客観視しながら今その場所で何を求められてるのか判断してどんどん提示してくれるんですよね。前に出すエネルギーがかっちょいい。そこを感じ取って平岩さんの判断も異常に早い。被写体の雰囲気に合う光の向き、背景を即断即決されるんです。この企画を通して、この人のここが好きなんだなあって言語化する作業は、俳優としてもありがたいし、その部分をカメラに収められたら最高だなって思います。その人の魅力が載った写真をもっともっとカメラに収めたいな」

プロフィール

竪山隼太(タテヤマハヤタ)

竪山隼太

竪山隼太

1990年、大阪府生まれ。2000年に劇団四季ミュージカル「ライオンキング」ヤングシンバ役でデビュー後、「天才てれびくんワイド」にレギュラー出演し子役として活動。2009年に蜷川幸雄率いる演劇集団さいたまネクスト・シアターで活動。最近の出演作に「Take Me Out 2018」「ガラスの動物園」(上村聡史演出)、さいたまネクスト・シアター最終公演「雨花のけもの」(細川洋平作、岩松了演出)など。7月から舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」に出演中。

平岩享(ヒライワトオル)

1974年、愛知県生まれ。フォトグラファー。時代の顔となるポートレートを数多く撮影。岩井秀人が代表を務める株式会社WAREのサポートメンバー。近年はドローンを使った動画など、新しい手法にも取り組んでいる。

小沢道成(オザワミチナリ)

1985年、京都府生まれ。劇作家、演出家、美術家、俳優。虚構の劇団所属、EPOCH MAN主宰。「オーレリアンの兄妹」が第66回岸田國士戯曲賞最終候補作にノミネートされた。9月に舞台「パタリロ!~ファントム~」、10月に虚構の劇団 活動休止公演「日本人のへそ」に出演。

バックナンバー

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読者の反応

小沢道成 @MichinariOzawa

【掲載情報】

俳優の竪山隼太くんに、いや、カメラマンのHAYATAくんに写真を撮ってもらいました。ステージナタリーさんのとても面白い企画。そしてそして、もの凄く楽しい写真の仕上がりに感動!好きなことに真剣に取り組む姿って、美しすぎる!

https://t.co/fTbcB7qdhX https://t.co/oml4d99Cqu

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