麻実れい

ケイコレ〜稽古着ファッションをお届け〜 Vol.20 [バックナンバー]

麻実れいの役作りを邪魔しない稽古着

派手な色やデザインのものは身に着けない

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アーティストたちが稽古場での姿をダイアリー形式で紹介するファッションコラム「ケイコレ」。この連載では、稽古中のアーティストが数日間の稽古着姿と、密かに憧れる稽古場のファッションリーダー、使ってみたい稽古グッズ、作品の見どころをこっそりと教える。

第20回には、宝塚歌劇団の元雪組男役トップスターで、現在も舞台で華やかな姿を披露し、観客を魅了し続けている女優・麻実れいが登場する。ミュージカルや古典劇、翻訳劇などで人間が持つさまざまな側面を豊かに表現してきた麻実。ケイコレに寄せてくれた文章からも、オフステージでの彼女の素敵な素顔が垣間見える。現在は、2014年に初演された「炎 アンサンディ」から始まる劇作家ワジディ・ムワワドの“「約束の血」”4部作、第3弾「森 フォレ」の稽古中。自身は「炎 アンサンディ」のナワル役ほかで第42回菊田一夫演劇賞大賞を受賞している。思い入れのある作品シリーズの最新作に、どのような気持ちで臨んでいるのか。複数役を演じる今作の稽古場から、バラエティに富んだ稽古着を披露してくれたが、それらには、演技派たる“こだわり”が隠されていた。

Day1

すっきりとしたデニムパンツに、ブルー系でまとめて。ダンスシューズで足腰の負担を軽減。

すっきりとしたデニムパンツに、ブルー系でまとめて。ダンスシューズで足腰の負担を軽減。

この日は読み合わせでまだ動きがなかったこと、岡本健一さんと一緒の取材があったため、相談して服のテイストをそろえました。宝塚の男役を経ていることもあって、私のワードローブはパンツばかりなんですよ。デニムもよくはきます。

靴はダンスシューズ。ベルギーのメーカーのものなのですが、とても履き心地が良いんです。別のカンパニーでご一緒した出演者の方に教えてもらってから愛用しています。靴は大切ですね。特に今回は八百屋舞台(傾斜した舞台)なので、足腰への負担を少しでも軽減するよう心掛けています。中敷き1つでガラッと変わるんですよ。

Day2

ロングスカートにシンプルな黒Tシャツが、とてもスタイリッシュ。

ロングスカートにシンプルな黒Tシャツが、とてもスタイリッシュ。

「森 フォレ」では複数の役を演じるのですが、この日はそのうちの1役、パーティの客が演じるクリュタイムネストラをイメージ。クリュタイムネストラはギリシャ悲劇の登場人物なので、ギリシャ装束に近いかなと思ってロングスカートを選びました。

トップスは黒のTシャツ。稽古場では寝転がったり、汗をかいたりしますから、洗濯がしやすく、シワになりにくいカットソー素材のものが多いですね。

Day3

クローゼットで眠っていたステージ衣装が、稽古着として日の目を見た。

クローゼットで眠っていたステージ衣装が、稽古着として日の目を見た。

この日の稽古は公証人プティ役。フランスの国家公務を担当する事務員役です。かっちりしていて、家柄の良さを感じるようにという衣装イメージに合わせて、ジャケットとスカートを用意しました。

実はこのジャケット、ほかのステージで衣装として着用したものなのです。いただいて何年かクローゼットで眠っていたのですが、公証人役にぴったりかなと思って。裾がふわんと広がるデザインが素敵ですよね。ジャケットは裄が合うか、後ろのラインがきれいに出るかなどにこだわっています。

稽古着におけるこだわりは?

稽古着はなんと言っても着心地の良さと動きやすさが大切。色は黒やグレーなど、無彩色が多いです。稽古中はまだ役を構築していく段階ですから、役作りの邪魔にならないよう、派手な色やデザインのものは身に着けないようにしています。

スポーツウェアもよく着ますね。パンツのラインはストレートで、伸縮性がある薄手のものが好みです。

あと、欠かせないのはレッグウォーマー。空調で冷えないようにということと、温めることで足への負担を軽くすることも意識しています。

「稽古着おしゃれだな!」と思う共演者は誰ですか?

皆さんそれぞれ、役柄や周りとのバランスを考えていらっしゃるなあと感じています。特におしゃれだなと思うのは岡本健一さんかな。「そのパンツ素敵ね」と言ったら「これ、稽古着ですよ」って。健ちゃんが着ればどんなものでもカッコいいんですけれどね(笑)。

いつか手にしたい憧れの稽古アイテムは?

先日、撮影してくださったカメラマンさんがはいていたパンツ。ラインがきれいだったのと、動物のロゴが印象的で、どこのブランドのものか尋ねたんです。スイスのアウトドア用品ブランド、MAMMUT(マムート)のものですって。140年以上の歴史がある、老舗のブランドだそう。ロゴの動物はマンモスでした。

私好みのラインで、アウトドア用品ブランドのものだからきっと動きやすい。時間ができたら、お店に見に行きたいと思っています。

「森 フォレ」で特に注目してほしいのはどんなところ?

「約束の血」第1弾の「炎 アンサンディ」は私にとってかけがえのない作品でした。共演していた中嶋しゅうさんと「またやりたいね」って言っていたのですが亡くなって……。

しゅうがこのカンパニーにいないのは寂しい。でも、「炎 アンサンディ」に出ていた健ちゃんや(栗田)桃(子)、(小柳)友や、何度もご一緒していて安心できる大鷹(明良)さんもいる。成河くんや瀧本美織さんなど、若い才能ある皆さんからは刺激をいただく日々。素晴らしいカンパニーです。

同じワジディ・ムワワド作品でも、「炎」と「森」ではまた違う難しさを感じています。「炎」では1人の女性の一生を演じましたが、「森」では3役。時代も行き来します。それぞれの役を楽しみながら、そのときの気持ちで素直に演じたいですね。

「森 フォレ」は、家族のつながりを通して自分の置かれた価値を感じていただける作品だと思います。この素晴らしいカンパニーと、そしてお客様と、この大変豊かな作品の最後の着地点まで共に過ごせたら。そして、皆様ご自身のご家族の絆を改めて感じていただけたらうれしいです。

私にとって、忘れられない作品になると信じています。

よろしければ劇場へお運びいただけますと幸いです。

「森 フォレ」ビジュアル

「森 フォレ」ビジュアル

プロフィール

東京都生まれ。1968年、宝塚音楽学校入学。1970年、宝塚歌劇団に入団し、その後、雪組男役トップスターとして活躍。1985年の宝塚歌劇団退団以降、ミュージカルや古典、翻訳劇、など多くの話題作に出演する。また、海外公演にも多数参加。ディナーショーやリサイタルも積極的に行う。2006年に紫綬褒章、2020年秋の叙勲で旭日小綬章を受章した。近作に「MISHIMA2020『班女』近代能楽集より」「舞台『ドクター・ブルー』~いのちの距離~」「『麻実れい芸能生活 50周年記念コンサート』三重奏~Rei Asami Trio~」など。12月から1月にかけて「ガラスの動物園」が控える。

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