BUMP OF CHICKEN仙台で万感のツアーファイナル

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BUMP OF CHICKENの全国アリーナツアー「BUMP OF CHICKEN 2012 TOUR『GOLD GLIDER TOUR』」が7月14日に宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ公演で終幕。約7000人の観客と共に素晴らしいライブ空間を作り上げ、ライブハウスツアーから数えて6カ月半にわたったロングツアーを大成功のうちに終了させた。

7月14日に行われた「BUMP OF CHICKEN 2012 TOUR『GOLD GLIDER TOUR』」ツアーファイナルの様子。(Photo by 平間至)

7月14日に行われた「BUMP OF CHICKEN 2012 TOUR『GOLD GLIDER TOUR』」ツアーファイナルの様子。(Photo by 平間至)

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「Smile」を演奏するBUMP OF CHICKEN。後方スクリーンに映されているのが、井上雄彦による描き下ろしイラストを使った映像。(Photo by 平間至)

「Smile」を演奏するBUMP OF CHICKEN。後方スクリーンに映されているのが、井上雄彦による描き下ろしイラストを使った映像。(Photo by 平間至)

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通称「恥ずかし島」で演奏するメンバー4人。(Photo by 平間至)

通称「恥ずかし島」で演奏するメンバー4人。(Photo by 平間至)

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本編ラストの「天体観測」で場内に金色のラメが降り注がれた様子。(Photo by 平間至)

本編ラストの「天体観測」で場内に金色のラメが降り注がれた様子。(Photo by 平間至)

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アリーナツアーでは会場に足を踏み入れると、厳かに流れるモーリス・ラヴェル「ボレロ」が耳に入る作りに。開演前の影アナウンスが終了すると、「ボレロ」の音がだんだん大きくなり、観客の期待感を煽る。そして楽曲が壮大なエンディングを迎えると同時に場内の電気が一斉に落ちるという劇的な演出で、BUMP OF CHICKENのライブという空間へ誘われた。

直後に、前方ステージを覆い隠している紗幕に幻想的なアニメーションが映し出される。これは今年3月に逝去した、メビウスの名称で知られるバンド・デ・シネ作家のジャン・ジローがキャラクター原画を描き、映画監督の山崎貴がそれをCGにした映像。飛行船乗りの若者が飛空クジラと出会い、金色のグライダーを託されるというストーリーで、若者の手から放たれたグライダーは空を駆け、夜をすり抜け、朝を越え、最終的にその日の観客の顔が映し出されているスクリーンに到達し、会場の天井近くで光になって消える、という展開をみせた。ツアーのコンセプトを具現化し、なおかつオーディエンスに瞬時に一体感をもたらす導入となった。

ドラマチックな映像にため息をつくのもつかの間、紗幕に影絵のようにメンバーが映り始めると今度は大歓声が場内を包む。升秀夫(Dr)がリズミカルにドラムを叩き始め、続いて増川弘明(G)が舞台下手から姿を現す。直井由文(B)はツアータオルを両手でフラッグのように掲示し、藤原基央(Vo, G)は右手でギターを掲げ、左手で軽い敬礼の仕草をみせる。その都度大きくなる歓声を力に、メンバーが演奏し始めたのは最新アルバム「COSMONAUT」の1曲目「三ツ星カルテット」だ。変拍子で複雑な展開を持つこの曲も、ロングツアーを経た4人の手にかかると非常に軽やかでキャッチーな響きに変わる。

続く「宇宙飛行士への手紙」は、波間のような青いモザイク模様が紗幕に広がる中、増川の丁寧なトレモロからスタート。そして藤原が冒頭のAメロを歌い終えると同時に、ステージを隠していた幕が振り落とされ照明が明るくなり、金色のラメが特効でアリーナ上空に振りまかれる。アリーナクラスのライブらしいスペシャルな演出に、場内のあちこちから喝采が起こった。さらに心が浮き立つようなミドルナンバー「HAPPY」、一転してシリアスな世界観で魅せる「ゼロ」と、バンドの持つ多面性を楽しめる楽曲が惜しみなく演奏される。また「ゼロ」では、ステージ後方スクリーンにバレエダンサーと鳥、そして戦いをモチーフにした切り絵のような映像を投影。藤原の哀切な歌声と相まって、切ない雰囲気で会場を満たした。

最初のMCでは4人を代表して直井が挨拶。「会いたかったぜー!」と絶叫し、「ここに集まったメンバーは今日しかこの組み合わせで会えない人たちなんです」とこの日同じ空間を分け合える喜びを告白。「いつだって今日が初めてで、今日が最後という気持ちで(ライブを)やってます。だからみんな、最高のライブにしようぜ!」と再び絶叫すると、藤原も同感の意を表すように両腕を激しく上下に動かす。また直井は「チケットが取れなかった人もいると思います。だから外まで届けるようにやりますんで!」と言いつつ、「今日はツアーファイナルだからな! ここまで優しく言ったけど手を抜いたら承知しねーぞ!」とオーディエンスを煽る。怒号がそれに応じると、「秀ちゃんカモン!」と升に次の曲を促した。

そして始まったのは激しいリズムが心地良い「Stage of the ground」。間奏では増川が情熱的なギターソロを披露し、それに呼応するかのように藤原もラストのサビでガッツポーズを作るなど、熱い様子をみせる。続く「ギルド」では、ミドルテンポのリズムに乗せ柔らかい演奏を聴かせる。

中盤のハイライトとなったのは、次の「友達の唄」から「Smile」への流れだ。フロント3人が升の座るドラムセットの前方に集まり、お互いを確かめ合うように演奏し始めた「友達の唄」は、後半に進むにつれ徐々に熱量を増し、壮大なアンサンブルを響かせる。そしてアウトロでは藤原のかき鳴らすアコースティックギターのストロークのみで場内を掌握し、静かにエンディング。かと思えばラストノートが消えるか消えないかというタイミングで「Smile」バンドバージョンのイントロが鳴り、藤原が寄り添うような歌声で歌い始める。8小節をひとつの塊とするメロディが反復していくうちに表現力を増し雄大になっていく様子に、観客は息もできずに見入る。

さらに歌のパートが終わり、特徴的なギターリフが鳴り始めると、後方スクリーンに新たな映像が投影される。アリーナツアー序盤から中盤では花畑の映像が使われていたが、この日はマンガ家の井上雄彦が特別に描き下ろしたイラストをもとにした作品に。ペンで真っ白い画面を塗りつぶすように、人物がひとり描かれ、草が生まれ、地面が生まれ、高い草が生え揃い、足下は茂みになっていく。孤独だった人物と向かい合うように2人目が描かれる頃には、バンドの演奏もより激しさを増していく。ドラム台の前にフロント3人が集まり、お互いを見やりながら演奏を続ける。そのあいだにも画面の密度は増し、人物が3人、4人、5人と増え、女性や子供や老人と思われるシルエットが描き込まれ、ふと気付くと一番初めに描かれた中央の人物が隣に立っている子供と手をつないでいる。そしてさらに人が増え、画面前方から子供が元気よく駆け寄り、喜びが生まれていく。最後には多数の描き込みで塗りつぶされるかのように真っ黒になったキャンパスが一瞬映されると、ぷつっと映像が終わってしまう。命のはかなさと生きる喜びを表したかのような映像表現と演奏を前にして観客は絶句し、そしてすぐさま歓声で応えた。

多くのファンから飛び交う「ありがとうー!」というコールを受け、直井が「こちらこそありがとうだバカヤロ!(笑)」とおどけながらお礼を述べる。続いて「今の後ろの絵は井上雄彦先生でした、ありがとうございました」と感極まってか一度は噛みつつも告げる。また前回のツアーから約4年の歳月が経ったことを踏まえ、オーディエンスに「みんな4年間何してた?」と質問。さまざまな返答に応じながら「BUMP OF CHICKENはレコーディングしてました」と報告し「僕らの曲は、ここにいる人たちの耳に届いた時点で完成です。聴いてくれてありがとう、来てくれてありがとう」と改めて感謝した。そして一番新しいシングルを、という紹介で「グッドラック」への演奏につなげる。さらに「R.I.P.」では複雑なリズムを盤石のバンドサウンドで支え、観客を沸かせる。

ここで場内の照明が点灯し、ステージ上のメンバーは一息つくかのように楽器を置く。続けてステージ前方に準備された階段からアリーナへ4人が降りてくると、絶叫のような歓声が起こった。アリーナ中央の通路を歩きながら、オーディエンスと話したり握手したりするBUMP OF CHICKEN。そのままアリーナ上手側中央付近に設置されたサブステージに向かった。

「お客さんとの距離が近いということで生まれた名前『恥ずかし島』へようこそ!」と直井が話すと、残りの3人もはにかみながら拍手でそれに応える。さらに「その恥ずかしさを打破するために生まれたコーナー」として直井がメンバーに直近の出来事を思い出してもらう質問を投げかける。まずは“BUMP OF CHICKENの若頭”増川に、昨日4人で仙台で食事した際に一番美味しかった物は、と質問すると、ファンから「かいわれ!」「トマト!」とこのツアーの出来事やメンバーの好物に引っ掛けた声が飛ぶ。増川は「みんなヒントありがとう、かいわれしか聞こえてこなかったけど(笑)」と言い、続けて「牛タン」と答えると喝采が起こった。次に直井が「藤原くんにはトリッキーな質問をしたいと思います」と宣言し、温泉好きで有名な増川が昨日仙台市内で「天然温泉」と書かれているホテルを見てなんと言ったか、と質問。これに藤原が「天然ホテルのスーパー温泉(本来は天然温泉のスーパーホテル)、って言ってましたね、興奮して」と答えると、わあっと笑いが場内に響いた。

アコースティックセットで「fire sign」を演奏したあとに、再び質問コーナーがスタート。“BUMP OF CHICKENの夏男”升に用意されたのは「昨日食べたごはんの中で一番美味しかったのは?」。ところが升は、ライブではしゃべらないというキャラクター設定のため、藤原が通訳を買って出ることに。オフマイクで2人がニコニコしながら話し合い、出た結論は「テールスープだね」(藤原)。メンバーが仙台の名産を存分に楽しんだ様子が伝わってくるひとときとなった。

そして、イントロのギターフレーズから「おおっ!」と観客が唸った「embrace」でサブステージの時間は終了。藤原の「ありがとう」という一言を合図に場内の照明が全て落とされ、一瞬の静寂が訪れる。そしてメインステージ後方スクリーンに一定のリズムで明滅する波形と星空、現在の時刻を表すデジタル時計が表れ、「星の鳥」が聴こえ始める。曲にあわせて星空の光が集結し、超新星のように爆発した後にその光で“星の鳥”がかたどられると同時に「メーデー」の演奏がスタート。高揚感あふれるサウンドと共に、場内のあちこちからシンガロングが響く。そして次の「angel fall」では、クラップの音に合わせてスクリーンで光の粒がはじけ、ファンタジックな雰囲気を演出する。また歌詞に合わせ、藤原が両腕を羽のように伸ばしてみたり、間奏でスクリーンに金色の雪のような光が降ったりする様子に、オーディエンスはじっくりと見入る。

ライブもいよいよ終盤に差し掛かり、藤原がアリーナ前方の観客の負担を減らすために「1cmでも2cmでもいいので余裕があったら下がってみてください」と観客に促す。「ご協力ありがとう……スタンドの皆さんも見守ってくれてありがとう」とお礼を告げたあとに「楽しんでますか? 僕らもです」とうれしそうに口にする。「なんだろうね、薄っぺらい話はいっぱいあるんだけど、そんなことを話すより歌いたいです。歌っていいですか?」と声をかけ、照明が暗転すると「会いたかったです。……会いに来れて良かったです」とつぶやく。そこから「supernova」へ。升の振る正確なシェイカーの音にあわせ、アコギをつまびく藤原。「聴こえるか仙台!!」とシャウトし、感極まったような表情を見せる。さらにアウトロのコーラスでは自然と観客から「ラララ」の合唱が起こり、それを受け藤原が「歌えよみんな、歌おうぜ!」と絶叫。さらに大きくなる歌声を聴き、直井が「もっと出るだろ!」と煽った。

曲が終わると、オーディエンスが声を張り上げた合唱を讃えるようにステージ上のメンバーが長い拍手を捧げる。すると場内からいくつもの「ありがとう」の返答が。次いで藤原が「素敵な歌声をありがとう」と言い、アコギを弾き始める。優美な音色の合間で「調子悪い人いない? 大丈夫?」と声をかけながら「……ライブもうすぐ終わっちゃうんだ」と告げると、不満の声が観客から上がる。藤原は困ったような微笑みを浮かべつつ「会いに来れて良かった。ホントどうもありがとう」と口にし、へへへっと小さく笑ったあとに「みんなすっごい笑うのね、ニッコニコしてさ」と感慨深げにつぶやいた。

そして奏でられたのは「beautiful glider」。繊細なアルペジオが会場を貫くように響き、スクリーンにはライブ冒頭の映像で描かれた金色のグライダーの視点とも思えるような、空の映像が映される。「手を振ったあなたの無事が今でも気にかかる」という歌詞を歌いながら、観客に向かって小さく、大きく手を振る藤原。叙情的な楽曲を確かな表現力で演奏し、物悲しくも前向きな空気で会場を包んだ。

かと思えば、躍動的なサウンドの「カルマ」でオーディエンスを圧倒する。さらに「最後の曲、聴いてください」と告げられ演奏が始まったのは「天体観測」だ。ひとつひとつの言葉をかみしめるように歌う藤原、それを支えるように音を刻む増川、直井、升。ラストの大サビでは、ステージを囲む鉄骨の上から特効でラメが降り注ぎ、きらめく光とメンバーの奏でた音楽の残滓が漂う中、本編は幕を降ろした。

アンコールを求める代わりに「supernova」のコーラスを歌う観客。7000人の歌声がひとつになり大きな声になると間もなく、ツアーTシャツに身を包んだメンバーがステージ下手から登場した。直井の呼びかけで、カメラマンの平間至により観客とともに記念撮影が行われると、バンドを代表して直井がトークを始める。「ライブハウスで仙台やってから1周して帰ってきたよ、ただいま!」と大声で叫び「本当にこの場所はあたたかいです。でもツアーファイナルになっちゃった、寂しい!」と言うと、場内のあちこちから同意の声が飛び交う。そしてオープニング映像を制作した山崎、ライブ中にスクリーンで流された映像を手がけた番場秀一、「Smile」の映像にイラストを提供した井上、ツアースタッフ、プロデューサーのMOR、さらにこの日集まった観客と全国のBUMP OF CHICKENファンに感謝を告げ、最後に「僕らとみんなをつないでくれた“音楽”、ありがとうございます!」と感謝を表明した。

MCのバトンを渡された増川は「全国でもらってきた元気を全部出し切ろうと思ったら、逆に今日みんなからまた元気をもらっちゃって。これをどこで返せばいいんでしょう?(笑)」と笑わせつつ、「また来るし」と再開を誓う。そして「升くんも何か言いたいことがあるでしょうし」と振ると、場内から「秀ちゃん」コールが巻き起こる。その声で空気を吹き込まれたように椅子に立ち上がった升は、オフマイクで「本当に最高の時間でした、ありがとう!」と絶叫。

そして直井が「あえてこういう言い方をさせてもらいましょうか……僕らのデビューシングルをやります」と言い、「ダイヤモンド」につなげた。さらに藤原の「もう1曲つきあってください、心を込めて歌います」という言葉から「ガラスのブルース」が鳴らされると、喜びからくしゃくしゃの表情を浮かべる観客が続出した。

曲が終わるとメンバーが楽器を下ろし、これでライブは終了と思われたが、観客からはさらなる演奏を求める拍手が始まる。それに促され、再度楽器を抱えながら何を演奏するか協議する4人。そしてマイクに向き直った直井が「あっぶねえ、ピックあと1枚しかなかった。全部投げちゃうところだった(笑)」となごませたのに続き、藤原が歌い始めると、オーディエンスから驚喜の声が上がる。久しぶりに聴く「真っ赤な空を見ただろうか」を誰もが楽しみ、シンガロングでうれしさを表明する。さらに「DANNY」のイントロが鳴らされ、藤原が節をつけながら「仙台また来るね!」と叫ぶと同意するような声があちこちから飛び交った。

こうして全22曲が演奏されたツアーファイナル。全ての楽曲を演奏し終えると、メンバーはアリーナに降りてきてピックやタオル、リストバンドといったグッズをフロアにプレゼントする。そしてまず升が大きく手を振ってから袖に消え、続いて直井が「ツアーが終わっちゃって寂しい!」と嘆きつつ「レコーディングしてるときもみんなのことを忘れたことはないから。できればこれからも僕らの音楽をみんなのそばに置いてください」と口にする。さらに増川が「ツアー終わっちゃうの寂しいんだー。明日から何しよう?」となごませつつ「こんなにみんなのいい笑顔を見られるとは思わなかったから、来て良かった。もらったものは必ずお返しするから」と感慨深げに吐露。最後に藤原が「なんかいろいろさ、今日やる前にいっぱいいろんな気持ちがあったんですけど、幕がばーって落ちた瞬間にみんなの顔が見えてわーっとなって……」と言葉に詰まる。「……胸がいっぱいって、こういうことなんだろうなと」と続け「よく言われる言葉かもしれないけど、本気で言わせてください。本気で言うことです。……こんないい顔、するんだなと」と最高の笑顔でバンドを迎えた観客に賛辞の言葉を贈る。「家に帰っても、明日も、明後日も、その顔のままでいてくれたらいいなあと思います。ホントどうもありがとう!」と叫ぶと、万感極まった表情を浮かべ、名残惜しそうにステージ袖に姿を消した。

BUMP OF CHICKENはこのあと、9月12日にシングル「firefly」をリリース。この曲は毎週火曜日に放送のフジテレビ系ドラマ「息もできない夏」の主題歌として聴くことができるので、未聴のファンはまずオンエアでチェックしてみよう。

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