オオスカ(Vo, G)とマナミオーガキ(Vo, B)のロックバンド
開演前のサプライズ
メジャーデビュー作となる2ndアルバム「fragile Report」を携え、昨年10月から47都道府県ツアー「アウトストアで47」を敢行し、今年2月末からは2ndアルバムのリリースツアーとhitomiとのツーマンツアーを行ってきたNikoん。ワンマンライブは、これらすべてのツアーのファイナル公演として開催されたものだ。
ライブ前のインタビューで、オオスカはチケットの売れ行きは芳しくないと述べていたものの、ガムシャラなライブ本数がしっかりと実を結んだようで、当日はフロアを埋め尽くすほどの観客が来場。それを出迎えたのは、
神々のゴライコーズは、グレート橋本(Dr, Vo)、ガッツ aka こまけん(B)、藤原忠(G)の3人組。Nikoんのリリースツアーに帯同してきた盟友であり、こまけんはオーガキのベースの師匠でもある。そんなゴライコーズの3人は、開場から開演までサイドステージで熱演。かつてない大舞台に立つNikoんにエールを送った。
フロントマンとしての成長示したマナミオーガキ
ゴライコーズの演奏が終わると、すぐにNikoんのライブが始まり、オオスカとオーガキが広いステージへ。1曲目はオーガキがメインボーカルを務める2ndアルバムの表題曲「fragile report」だ。オオスカが演奏する浮遊感のあるフレーズに乗せて、オーガキが葛藤をつづった歌詞を淡々と歌い始め、2人を照らすスポットライトが暗いステージで交差する。
観客がじっと聴き入る中、その静かな空気をぶち壊す役割を担うのが、サポートドラマーの東克幸。彼が重厚なリズムを叩くと、オオスカも歪んだギターを刻みながら叫び、フロアは一気に波打ち始める。オーガキは、彼らに負けず劣らずパワフルなベースを鳴らしながら「私が決めたの 私の約束を」と決意をにじませた言葉を歌唱。その勢いのまま雪崩れ込んだ「bend」でも彼女のエモーショナルな歌声が爆音を貫き、続く「nai-わ」ではオーガキが手振りも交えながら弾むようにソウルフルに歌う。フロントマンとしてステージに立ち続けた彼女の成長が、今回のワンマンの大きな見どころだ。
3回くらい人格が変わったオオスカ
激しい音のぶつけ合いで会場に興奮が広がる中、「じゃあ始めようか!」とオオスカが叫ぶと「ghost」へ。彼がメインボーカルを担う1stアルバム「public melodies」の収録曲だ。重々しく不穏なサウンドの中、オオスカは独特な構えを取りながら客席と対峙し、荒々しく歌う。続く「Vision-2」では、声量を抑えて、より陰鬱な側面を見せつつ、後半でその衝動を開放。静と動の鮮やかなコントラストで観客を揺さぶってみせる。オオスカとオーガキ、2人の対照的なフロントマンが並び立つバンドがNikoんだ。
客席を眺めたオオガキは「想像以上の景色です。人の顔がいっぱいあると寂しくなくていいですね」と笑う一方、オオスカは「すごい。珍しく緊張しています」と吐露しつつ「それを上回るくらい楽しいです」と張り切る。hitomiへの提供曲「Tokey-Dokey」をオーガキがエネルギッシュに歌い上げたあと、オオスカは「sleepwell」「smile」を続けて歌唱。「sleepwell」ではその鋭さをむき出しにする一方、「smile」では内省的で寂しげな一面を垣間見せる。
昨年10月からのツアーについて「3回くらい人格が変わった気がします」と振り返ったオオスカは、2月末に自身の父親が亡くなったことを明かす。突然の告白に会場が静まり返る中、自身がバンドマンとして活動していることを意識のない父に伝えた場面も語ったオオスカ。その経験から「強い自分でいようとするのやめようと思った。求めていこうと思った」という彼は、観客の弱さも肯定する。そして「死にたいときにはライブハウスに来たらいい。Nikoんがいます」と言い切ると「step by step」へ。オオスカは「行儀いいのは飽きたな!」と笑い、感情を爆発させるようにギターをかき鳴らして熱唱した。
1人ではなく、Nikoんとしてがんばった手応え
一方、オーガキは、バンドを辞めるか悩んでいたタイミングなど、自身がターニングポイントに差しかかったときに連絡をくれるという友達について語った。彼女はその友人を今回のライブに誘ったものの、友人も恋人と親に会うという人生の岐路に直面していたため断られたのだという。珍しくターニングポイントの日がかぶったことがうれしいと笑う彼女は「その子と再会したときに今日のことを自慢できたらいいなと思ってやってきました。みんなも大事な人に自慢できる日にして帰りたいです」と意気込んだ。
そんなMCからNikoんは、オーガキがボーカルを務める2ndアルバム収録曲を連発。緊張感のある「dried」からキャッチーな「さまpake」につなげてボルテージを上昇させると、ストレートなロックチューン「とぅ~ばっど」でフロアを爆発させた。その盛り上がりを見て「ストレス溜まってるんだね」と笑ったオーガキは、ここでツアーを経た自身の変化について語り始める。
確かな成長を自覚しつつも、それはバンドメンバーやスタッフに支えられてきた結果であり、自分でがんばった気がしなかったというオーガキ。しかし、その中にどうにも他人事ではない手応えがあったという彼女は、思考を巡らせた結果、自分1人ではなく、Nikoんとしてがんばったんだという答えにたどり着く。1人称として“Nikoん”が出てきたことで何より成長を実感できたというオーガキは「Nikoんというバンド、めっちゃツアーがんばって帰ってきました!」と改めて報告した。
俺たちが生きやすいように世の中を変えていきたい
そしてライブ終盤、「ロックバンドの生きづらさ」をツアー中に感じたと語ったオオスカは、8月3、4日に東京・LIQUIDROOMで全国津々浦々から47バンドを集めたイベントを開催することを発表。「俺たちは俺たちが生きやすいように世の中を変えていきたい」と宣言し、“九段下で観たあるバンド”の「あきらめることをやめた」という言葉に勇気付けられたことを語る。この日、オオスカが着ていたのはそのバンドのTシャツだ。
彼はさらに言葉を続け、ライブの直前、バンドを辞めたいと思ってオーガキに電話したエピソードを告白。ここで話を振られたオーガキは、オオスカのMCを聞いてなかったと素直に答えて笑いを起こすが、オオスカはそんな彼女のあっけらかんとした態度に助けられたのだという。「こいつ育てるの大変だったんですよ!」と声を荒げたオオスカは、「でも、ずいぶんとカッコいい歌を歌うようになったんです」と彼女の成長を認め、「そして俺もずいぶんとカッコいい曲を作るし、カッコいい歌を歌うんです。それがNikoんなんです」と胸を張る。
高ぶったオオスカの「ぶちかましてくれよ、ペヤング(オーガキのニックネーム)!」の呼びかけから、オーガキが一際大きな声で歌い始めたのは「グバマイ!!」。オオスカとオーガキはツアーを一緒に駆け抜けてきた東とともに爆音を鳴らし、晴れやかな表情でステージを去っていった。
なおNikoんが去ったのち、ラッパーの€NELがステージに登場し、会場限定販売のライブCDやTシャツなどをラップで宣伝。ライブ後もしばらくパーティムードが続いた。
セットリスト
Nikoん単独公演「ふたり。」2026年3月21日 Spotify O-EAST
01. fragile report
02. bend
03. nai-わ
04. ghost
05. Vision-2
06. Tokey-Dokey
07. sleepwell
08. smile
09. step by step
10. 靴
11. doubt
12. dried
13. さまpake
14. とぅ~ばっど
15: (^。^)//ハイ
16. Fly,
17. public melodies
18. グバマイ!!
音楽ナタリー @natalie_mu
【ライブレポート】NikoんがO-EASTで見た想像以上の景色、確かな成長示して次のステージへ(写真22枚)
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