センチミリメンタルが全国ツアーファイナルで結んだ約束「音楽を集合場所に、寄り添って歩いていきましょう」

3

10

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 0 3
  • 7 シェア

センチミリメンタルの全国ツアー「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」が、11月9日に神奈川・KT Zepp Yokohamaにてファイナルを迎えた。

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」ファイナルの様子。(撮影:山川哲矢)

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」ファイナルの様子。(撮影:山川哲矢)

大きなサイズで見る(全8件)

今年8月に2ndアルバム「カフネ」をリリースしたセンチミリメンタル。同作を携えて行った今回のツアーは、自身最大規模となる全国6都市での開催となった。各地のオーディエンスから受け取ったエネルギーを胸にツアーファイナルにたどり着いたセンチミリメンタルは、「集大成にできたら」という思いでライブに臨んだ。

定刻になると、センチミリメンタルとバンドメンバーの村田隆嘉(G)、永見和也(B)、ナガシマタカト(Dr)が登場。アルバムの1曲目でもある「君想う夜」が鍵盤弾き語りによって情感豊かに届けられ、ライブが幕を開けた。一転、「ツキアカリ」の鋭い歌い出しで、場の空気が塗り替えられる。バンドの演奏も加わると、うねるようなグルーヴが観客の心を揺さぶり、フロアの高揚感を誘った。ツアーとアルバムのタイトルになった「カフネ」とは、ポルトガル語で「大切な人の髪にそっと指を通すしぐさ」や「頭を撫でて眠りにつかせる穏やかな動作」を表す言葉。この温かなモチーフには、センチミリメンタルが国内外でのライブを通じて「音楽は物理的な距離を超え、人に寄り添うことができる」と実感した経験が反映されている。そして今回のツアーでは、その思いをさらに深めるべく、SNSで各公演の来場者に「恋の話を聞かせてください」と呼びかけ、寄せられたエピソードをもとにMCを展開。そのうえで「いろいろな愛が今日ここに渦巻いてますから。僕はすべて抱えて歌に乗せたいと思います」という決意を「スーパーウルトラ I LOVE YOU」に込めた。

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」ファイナルの様子。(撮影:山川哲矢)

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」ファイナルの様子。(撮影:山川哲矢) [拡大]

観客とコミュニケーションを重ねながら、「これだけの人数がいると、それぞれの物語があるんだなと感じますね」と噛み締めたセンチミリメンタル。「光の中から伝えたいこと」を届けたあとのMCでは、ある来場者の恋の話と、そのメッセージにつづられていた「私の恋はセンチミリメンタルの音楽で始まって、温詞さんの声で終わりたい」という言葉が紹介された。「胸が苦しくなっちゃって」と感想を語ったセンチミリメンタルは、「(自分の心の中では)別に終わらせなくてもいいんじゃないかな」と持論を展開。その後、「伝えられずにいる思いも、終わった恋も、胸に留めてずっと生きていく覚悟の歌」として「冬のはなし」を披露した。来場者の抱える思いに寄り添うように歌われたこの曲では、心の奔流を体現する演奏が生々しい余韻を残した。

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」ファイナルの様子。(撮影:山川哲矢)

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」ファイナルの様子。(撮影:山川哲矢) [拡大]

続いてセンチミリメンタルは、アルバムの中でもシリアスな楽曲「死んだっていい」「正義のすみか」をパフォーマンス。ハイトーンボイスが鮮烈な「正義のすみか」では、ライブならではのアレンジとしてアウトロが追加され、激しい感情が表現された。ライブが後半に差し掛かったところで演奏されたのは、アルバムのカラーを象徴するハートウォーミングな楽曲たち。「ひとりごと」で観客の合唱とともに和やかなムードが生み出されると、「ゆう」ではアコースティックギターを基調とした素朴なサウンドに乗せて、「生きていてくれてありがとう」というフレーズが届けられた。

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」ファイナルの様子。(撮影:山川哲矢)

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」ファイナルの様子。(撮影:山川哲矢) [拡大]

満員のフロアを見渡しながら、この日何度も「うれしい」「信じられない」と言葉を漏らしていたセンチミリメンタル。「出会ってくれてありがとうね」と観客に改めて感謝を伝えた本編ラストのMCでは、下積み時代に観客のいないライブハウスで歌った日々を振り返る。当時はたくさんの人に聴いてもらいたくて、“みんな”に向けて曲を書いていたが、結果が出なかった。しかしいつからか、「こんな人がいたな」「こんなことがあったな」「こんな話を聞いたな」と誰か1人に向けて曲を書くようになり、景色が変わり始めたという。「これからもよかったら一緒に。付いて来いとは言わないので、横に立っていてくれたら」という言葉でMCを締めくくった彼は、「みんなに向けて、いや、あなたたち1人ひとりに向けて、伝わるように歌います」と、本編ラストに「愛の証明」を披露。失恋してもなお「君を愛してるよ」と叫び続ける人の歌が、離れていてもなお音楽で結ばれるセンチミリメンタルとリスナーの関係を表すように響き渡った。

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」ファイナルの様子。(撮影:山川哲矢)

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」ファイナルの様子。(撮影:山川哲矢) [拡大]

アンコールは、アルバム収録曲「ミラーソング」でスタート。この日は温詞の母もライブを観に来ており、MCでは「授業中にじっとしていられず、教室を出ていき、1人でピアノを弾いているような子どもだった」というエピソードや、音楽の道を歩む自分を寛容に見守ってくれた家族のことが語られた。また彼は活動規模が大きくなっていく中でファンからよく言われる「遠くに行っちゃった」という言葉に対し、「遠くに行ってません。ずっとそばにいますので大丈夫です」と伝えた。そしてツアーファイナル当日に配信リリースされた新曲「星が降る」を初披露し、照れた様子を見せながら「僕のことを忘れないでほしいし、みんなのことも忘れずにいます。一緒に覚えていて、心の中で結ばれましょうよ。どうですか?」と呼びかける。ラストには「結言」が温かく歌い上げられ、「これからもセンチミリメンタルの音楽を集合場所にして、寄り添って歩いていきましょう」という約束とともに、ツアーが締めくくられた。

なおセンチミリメンタルは、11月21日から自身初のワールドツアー「Centimillimental WORLD TOUR 2025-2026 "Cafuné"」を実施。上海、広州、ソウル、マニラ、サンティアゴ、メキシコシティを巡ったのち、日本での追加公演を行う。

特集記事

セットリスト

「センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”」2025年11月9日 KT Zepp Yokohama

01. 君想う夜
02. ツキアカリ
03. 星のあいだ
04. スーパーウルトラ I LOVE YOU
05. トワイライト・ナイト
06. 光の中から伝えたいこと
07. 冬のはなし
08. 死んだっていい
09. 正義のすみか
10. ひとりごと
11. ゆう
12. ストレイト
13. パレイド
14. キヅアト
15. 僕らだけの主題歌
16. 愛の証明
<アンコール>
17. ミラーソング
18. 星が降る
19. 結言

公演情報

Centimillimental WORLD TOUR 2025-2026 "Cafuné"

2025年11月21日(金)上海 瓦肆 VAS ear
2025年11月22日(土)広州 SD LIVEHOUSE
2025年11月29日(土)マニラ Paco Arena Events and Sports Center
2025年12月6日(土)ソウル musinsa garage
2026年2月26日(木)サンティアゴ Teatro Cariola
2026年2月27日(金)サンティアゴ Teatro Cariola
2026年3月1日(日)メキシコシティ La Maraka
2026年3月2日(月)メキシコシティ La Maraka
2026年3月10日(火)神奈川県 KT Zepp Yokohama(追加公演)

この記事の画像(全8件)

読者の反応

  • 3

Prashant singh @RamHiSatya

@natalie_mu コンビニでおにぎりを買ったら、「温めますか?」って聞かれた。
えっ…おにぎりにそんな勇気あったの?🔥🍙😳

コメントを読む(3件)

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 センチミリメンタル の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。