今年9月にニューアルバム「Long Story Short」をリリースした古内。このツアーは同作の発売を機に開催されたもので、横浜、大阪、東京の3カ所で行われた。本稿では、佐野康夫（Dr）、松本圭司（Piano）、石成正人（G）、斎藤凜太郎（Tp）、鈴木圭（Sax）、小松秀行（B）とともに届けられた東京公演の1stステージの模様をレポートする。
艶やかなピンクのドレスに身を包んだ古内は、ニューアルバム「Long Story Short」の1曲目「ラジオ」でライブをスタート。大人っぽい洒脱さと軽快さが共存するこの曲に、さっそく観客は手拍子を打ち鳴らす。「夏の果て」ではしっとりした優雅な空気が流れ、オーディエンスはそのムードにひたるように古内の歌声に耳を傾けた。「No Coffee Day」では楽器隊のスキルフルな演奏が炸裂し、曲が終わるとともに温かな拍手がステージへと送られた。
その後も「予感」「思い出のカケラ」などを披露し、ビルボードライブという舞台にぴったりの洗練されたパフォーマンスを届けていく古内。「思い出のカケラ」「雪解け」とバラードナンバーが続くパートでは、情感たっぷりのボーカルで観客を魅了し、切ない空気に会場をひたし続ける。その後彼女は、これまでのキャリアをさかのぼるように過去の楽曲を披露し、歩みをともにしてきたファンと自身の歴史を踏みしめる。「かわいくなりたい」の演奏が始まるやいなや、これまでの大人っぽい空気とは異なるチアフルなムードが立ち上がり、続く「いつかきっと」「Strength」でも、アルバムの楽曲群とは異なるさわやかな世界がしばし広がった。そしてラストには、30年以上前にリリースされた3rdシングルの表題曲「Distance」が披露され、拍手と歓声の中でライブが締めくくられた。
しばらく続いたアンコールに応えて登場したのは、先ほどとは打って変わってシックな装いの古内。カーテンが開いた舞台で、六本木の街を背に「Long Story Short」を歌うその姿は、凛々しく、はかなく、美しい。そんな古内の歌を彩る演奏もまた、リッチな質感を携えつつも優しい感触を持って客席へと届いていく。最後に彼女は「皆さんの背中をさすりたいと思って作った曲です」という言葉に続けて、「満月のせいにして」を歌唱。ミラーボールがゆっくりと回転する中で、観客1人ひとりに語りかけるようにじっくりと歌声を聞かせ、ライブの幕を閉じた。
セットリスト
「Toko Furuuchi Long Story Short」10月21日 ビルボードライブ東京（1stステージ）
01. ラジオ
02. 夏の果て
03. No Coffee Day
04. 予感
05. 思い出のカケラ
06. 雪解け
07. かわいくなりたい
08. いつかきっと
09. Strength
10. Distance
＜アンコール＞
11. Long Story Short
12. 満月のせいにして
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音楽ナタリー @natalie_mu
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六本木の街を背にファンの背中を“さすった”夜
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