「夏のバカ騒ぎ」の開催は2022年以来3年ぶりで、メンバー4人中3人が神奈川県出身のももクロが横浜スタジアムでライブを行ったのは今回が初。台風9号が去り夏らしい晴天に恵まれたスタジアムで、4人はド派手な演出とパワフルなパフォーマンスを繰り広げ、集まったモノノフ(ももクロファンの呼称)を存分に楽しませた。この記事では初日2日の模様をレポートする。
世界のパワースポットがハマスタに集結
“世界のパワースポットがここに集結”をテーマにしたというステージに鎮座するのは百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにの顔に似せた高さ7mの”モモアイ像”やピラミッド。ステージ両端にはやぐらや鳥居が設置され、アリーナ中央に伸びたレールにはももクロのマスコットキャラクター・ももたんがスフィンクスに扮したトロッコ”ももたん列車”が、アリーナ後方のサブステージにはメンバーが描いたナスカの地上絵風のイラストがあしらわれるなど、盛り盛りのカオスなセットが約3万人のモノノフたちの期待を高めた。
先日亡くなったプロレスラーのハルク・ホーガンにオマージュを捧げたオープニング映像に続き、外野席スコアボードの上に現れたのは和太鼓奏者のヒダノ修一と一彩。モノノフがどよめきを上げる中、勇壮な和太鼓の音が夕方の横浜に鳴り響き「夏のバカ騒ぎ」の幕開けを告げた。バックバンドのダウンタウンももクロバンド、通称“DMB”による「OVERTURE」に乗せてウォーターキャノンが50mの高さまで打ち上がる中、せり上がりで登場したももクロの4人は1曲目「Re:volution」を力強く歌い上げる。スタジアムライブでのウォーターキャノンはアリーナから打ち上がるのが通例だが、このライブではスタンド席にもキャノンを設置。ハマスタ中のモノノフをずぶ濡れにし、1人も置いていかないという4人の心意気を感じさせた。
横浜DeNAベイスターズのお膝元という舞台にぴったりの「DNA狂詩曲」に続き、「ワニとシャンプー」のイントロが鳴らされるとモノノフからは特に大きな歓声が。この曲は今回のライブのために事前に行われた「ももクロ定番夏ソング総選挙」で3位を獲得した楽曲だ。ステージ上には12人のダンサーも登場し、4人のパフォーマンスを軽やかなダンスで彩る。MCで百田は「今日は頭のネジを外してゆるめて、楽しんでいただきたいです!」と笑顔で呼びかけ、それぞれが自己紹介。その後は読売ジャイアンツ・田中将大選手の登場曲としてもおなじみの新曲「Acceleration」を勇ましく熱唱した。
盆踊りではスタプラ研究生へサプライズ
日が傾き、ハマスタのウィング席レフト方向の陰に隠れた頃に披露されたのはももクロを代表する夏ソング「ココ☆ナツ」。ここで4人はステージを降り、アリーナ席のモノノフに水鉄砲を放ちながらスフィンクスに乗り込んだ。ステージには横浜DeNAベイスターズのオフィシャルパフォーマンスチーム・dianaも登場して華を添える。サブステージに移動した4人は「ROCK THE BOAT」をクールに歌い踊り、熱狂が渦巻いていたハマスタの空気をチェンジ。ライブではひさびさの披露となった「ももいろ太鼓どどんが節」ではひときわ大きな歓声が上がるも、主役の高城はウォーターキャノンでずぶ濡れになったステージで滑って転んでしまい、苦笑いを浮かべていた。
その後はももクロのボイストレーナーとしても知られる岡田実音とスタプラ研究生の歌唱、ももクロの振付を務めるAnna率いるダンサーチーム・UNNATURALSやキッズダンサー、dianaメンバーらによる踊りで「夏バカ盆踊り」へ突入。モノノフたちも楽しげに手拍子し、夏の夕暮れのひとときを楽しんだ。盆踊りが終わった瞬間、スコアボードのビジョンではステージでパフォーマンスしていた研究生7名による初の単独公演が行われることが本人たちへのサプライズとして明かされる。7人は驚いた表情を浮かべつつ「うれしいです!」と口々に喜んだ。
「Hanabi」を彩った本物の花火
エジプトのファラオに扮したホワイトマン(G)のギターソロで幕を開けた「stay gold」から、4人は百田いわく「“番長感”と“中華街”」をイメージしたというパンツルックの衣装にチェンジ。「行くぜっ!怪盗少女」が始まると、夕闇に包まれたハマスタには4色のサイリウムの光とモノノフのすさまじいコールが充満する。ここで4人はベイスターズ戦のイニング間イベントやヒーローインタビューでおなじみの青いステージカーに乗り込み、アリーナをぐるりと1周。会場後方のモノノフともアイコンタクトを取りながら伸びやかな歌声を届けた。続くMCでは「グループ応援エリア」チケットの特典として、購入したグループ名をメンバー4人が呼ぶコーナーへ。それぞれの個性あふれるグループ名や横断幕のデザインに、客席中から歓声や笑い声が起こった。
百田が「もっともっと声出して、最高の思い出作っていきましょう!」と叫んだあとはダンサブルなパーカッションのリズムが印象的なアレンジの「走れ!」へ。さらに美しいピアノイントロから「Hanabi」がしっとりと届けられ、壮大なサウンドがハマの夜風に乗って響く。大サビではスコアボードの後ろから花火が打ち上がり、曲の世界をリアルに再現するひとときとなった。4人の煽りでモノノフたちがタオルを振り回した「BLAST!」「GODSPEED」といったナンバーに続いては、12月20日と21日に埼玉・さいたまスーパーアリーナでクリスマスライブ「ももいろクリスマス」を行うことを発表。玉井は「ももクロと四季を感じていただけたら」と、冬のステージに思いを馳せた。
いよいよ終盤に差し掛かったところで、ももクロは7月23日にリリースされた最新シングル「Event Horizon」をライブ初披露。レーザー光線が飛び交う中、疾走感たっぷりのサウンドでスタジアムを熱狂させる。ラストナンバーは「Re:Story」。イントロで4人はステージ上の階段に腰を下ろし、笑顔を交わしながら柔らかな歌声を届ける。後半ではバンドのエモーショナルかつファンキーな演奏に乗せて4人が熱のこもったパフォーマンスを繰り広げ、温かな一体感で会場を包みこんだ。
「開催できたのは『天手力男』のおかげ」
アンコールでは4人がグッズの公式ユニフォームに身を包んで再登場し、総選挙1位に輝いた「天手力男」を披露。この曲は2014年の「夏のバカ騒ぎ」開催時、大雨で開演が1時間遅れたあとで披露された1曲目だった。玉井は台風に翻弄されながらも無事迎えたこの日について「今年も開催できたのも『天手力男』のおかげかもしれない」としみじみ語り、高城も「ダンサーさんが番傘を持った演出も、2014年とかぶったんじゃないでしょうか」と11年ぶりの演出を振り返った。
4人が着用しているユニフォームの背番号はそれぞれの現在の実年齢。最年長32歳の高城と、6月に30代に突入したばかりの玉井はそれぞれの背番号をモノノフに向けさせようと小競り合いを繰り広げて笑いを誘う。その傍らで最年少29歳の佐々木は2人の背番号に対して「カッコいい~」と棒読みで言い放ち、モノノフをさらなる爆笑に導いた。グッズにまつわるトークは“問題作”だという、4人の似顔絵を用いたお面についても及ぶ。玉井はお面を付けたモノノフたちを見渡し「けっこう恐怖かも!(笑)」という身も蓋もない感想を述べていた。
最愛のパートナーと作り上げた夏の思い出
再びお祭りムードを演出した「ニッポン笑顔百景」のあとはバンドメンバーを1人ずつ紹介し、さらにモノノフへの感謝を表すように「コノウタ」を熱唱。4人の歌声に応え、3万人の大きなコールがハマスタにこだまする。大サビではステージ上方に多数の花火が打ち上がり、夜空を美しく飾った。アンコールの最後に披露された曲は「やわく恋して~ずっと僕らでいられますように~」。甘くさわやかな歌声でライブが締めくくられた。全23曲を歌い終えた4人はバンドメンバーやダンサーをステージ中央に呼び込み、手をつないで挨拶。ステージを支えたメンバーに感謝を送った。
最後のMCで4人はそれぞれ、初日を終えた思いを語る。高城は「無事開催できたことが何よりも幸せです。生まれてこの方32年間、横浜でいろいろなお祭りに行ってきたんですが、このライブが最高で最強だったと思います!」と熱弁。佐々木も「神奈川県民としてはいつかやってみたい馴染みのあるスタジアムだったので、みんなで夢を叶えられて本当にうれしいです」と笑顔を見せた。玉井は「ここ数年、夏に何かをがんばりたいなと思っていたんですが、やっぱりライブだなと思いました。4人で見るこの景色が一番好きです」とモノノフに語りかける。百田は「『最愛のパートナー』としてモノノフの皆さんを紹介する、あの瞬間が本当に大好きです。とっても素敵な夏の思い出をありがとうございます!」と笑顔を浮かべ、4人でステージをあとにした。
なお本日3日の公演では、今回の「夏のバカ騒ぎ」の模様を収録したライブ映像作品が2026年3月4日にリリースされることが発表された。この作品には初日と2日目両方の映像を収録。舞台裏に迫るメイキング映像も収められる。YouTubeでは特報映像が公開中。
セットリスト
ももいろクローバーZ「ハマの夜祭り番長襲名記念 ももクロ夏のバカ騒ぎ2025 in 横浜スタジアム」2025年8月2日 横浜スタジアム
01. Re:volution
02. DNA狂詩曲
03. ワニとシャンプー
04. CONTRADICTION
05. BIONIC CHERRY
06. Acceleration
07. ココ☆ナツ
08. ROCK THE BOAT
09. ももいろ太鼓どどんが節 feat. KIDS DANCER
10. stay gold
11. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
12. 孤独の中で鳴るBeatっ!
13. 走れ! -ZZ ver.-
14. Hanabi
15. BLAST!
16. GODSPEED
17. ツヨクツヨク feat. KIDS DANCER
18. Event Horizon
19. Re:Story
<アンコール>
20. 天手力男
21. ニッポン笑顔百景 -ZZ ver.-
22. コノウタ
23. やわく恋して~ずっと僕らでいられますように~
Krishna Patel @Kisu_Patel_15
@natalie_mu セトリ神すぎたし、演出もずぶ濡れ演出も全部が“バカ騒ぎ”の真骨頂✨