俺たちのことを愛してくれて本当にありがとう
今年結成25周年とデビュー20周年を迎えたUVERworld。彼らは2010年、2019年に続き、3度目となる東京ドーム公演を行い、2日間で約9万2000人を動員した。UVERworldは7月2日にリリースするニューアルバム「EPIPHANY」の収録曲もいち早く披露。バンド初期から現在の歴史をたどるようなセットリストでライブを繰り広げた。
ニューアルバムのオープニングを飾るインストゥルメンタルナンバー「WICKED boy」とともに、昇降式のステージに乗って東京ドームのステージに降り立ったUVERworldの6人。彼らはニューアルバム収録の「PHOENIX AX」でライブの口火を切り、地鳴りのようなコールを東京ドームに巻き起こした。ライブ序盤から全速力で駆け抜けていくように、彼らは疾走感あふれるナンバー「Don’t Think.Feel」をプレイ。そしてまだ見ぬ景色へとcrew(UVERworldファンの呼称)を誘うように「WE ARE GO」を熱唱した。「輝き続ける姿を見せてやるよ!」とTAKUYA∞(Vo)が言い放つと、新曲「NO MAP」の演奏がスタート。TAKUYA∞はハーモニカを吹き鳴らし、この場所で永遠に輝き続ける意思を高らかに歌い上げた。
TAKUYA∞は「結成25周年、デビュー20周年、メンバーチェンジなしで、なんなら幼稚園から一緒。バンドを組んで、25年間そりゃあ紆余曲折あったよ。でも、今日こうやって6人で25周年、20周年の記念として東京ドームにたどり着けた」と話を切り出し、「そんな俺たちが、たくさんの人の大きな期待と、もっと多くの人からの非難の言葉のすべてを乗り越えて、今あなたたちに一番伝えるべきこと……今日俺たちと過ごすことを選んでくれてありがとう。俺たちのことを愛してくれて本当にありがとう」と感謝の思いをまっすぐにcrewに伝える。そして彼らは「Eye's Sentry」でありのままの自分たちの姿をステージで示したあと、愛を込めて「THEORY」をcrewに贈った。
初めて手にした楽器で奏でた音
その後もUVERworldは25年間の歴史の中で生まれたさまざまな楽曲をパフォーマンス。ライブであまり披露されることのない「counting song‐H」では、みずみずしいサウンドが場内いっぱいに広がった。ここでTAKUYA∞が手に持ったのは、1本の有線マイク。彼は「これは25年前、UVERworldを結成したときに、ボーカルを始めた喜びを抑えきれずに自分のマイクが欲しくなって。スタジオに行けばマイクはいくらでもあるのに、マイマイクが欲しくて25年前に買ったマイクなんだよね。そんなに高いマイクではないんだけど、ずっと大事にしててさ。この間、実家に帰ったときにクローゼットを開けて、こいつがコロっと転がってるのを見て、使いてえと思って持ってきました」と愛おしそうに語った。克哉(G)は昔いとこにもらったという初めてのギター、信人(B)は学生の頃にがんばってアルバイトで稼いだお金で初めて買ったベースを手にする。真太郎(Dr)も中学生の頃にお父さんから受け継いだというドラム、誠果(Sax)も初めて買ったサックス、彰(G)も“ビンテージガムテープ”が貼られた最初のギターをそれぞれ準備した。
「よく似たものを楽器屋さんに行って買ってましたって言ってるわけじゃなくて、当時のそのものなんだよ。みんな高いチケットを買って遠くからやってきてくれるわけで、ほんの少しでもいい音をみんなに聴かせたくて、いつもは何十倍の値段もする高価な機材を使ってる。これから演奏する曲で使うのは、入門者が使うようなもの。これが何を意味するのか。きっと次の曲も、みんなは今までやった曲と同じように感動しちゃうんだよ。それはきっと高い楽器から出る音に感動するんじゃないんだよ。みんなは俺たちの絆、背景、歴史に恋しちゃってここにやってきてるんだよ!」と目を輝かせるTAKUYA∞。「それをまざまざと証明する! あなたたちはそれを感じるチャンスがここにある」という彼の言葉を経て、UVERworldは「CHANCE!」を演奏し、ほかのどこにもない、6人だけの魂のこもった音を東京ドームに響かせた。
柔らかなギターの音色に乗せて、TAKUYA∞が歌い始めたのは「君の好きなうた」。夕日を彷彿とさせるオレンジのライトに照らされながら、TAKUYA∞はじっくりと言葉を紡いでいく。さらに飾り気のないラブソング「言わなくても伝わる あれは少し嘘だ」をまっすぐに届けたあと、6人はトロッコに乗り込み、crewの近くでダンサブルなナンバー「UNKNOWN ORCHESTRA」をプレイ。会場後方にたどり着いた6人が衝動に身を任せるように「I LOVE THE WORLD」を勢いよく演奏すると、力強く愛を叫ぶようなcrewのシンガロングが会場に広がった。「最後尾を最前列にしに来たよ!」とTAKUYA∞はバックネット側のスタンド席のcrewに告げる。普段ライブであまり饒舌ではない彰が「メンバーブログくらいしか意思を示さない僕ですが、せっかくのチャンスなので、こんな大舞台で少ししゃべろうと思います。25年もUVERworldをやってきて、もう少し落ち着くかなとか、スマートになるかなと思ってたんですけど、この熱すぎていい意味でクサすぎるメンバー、そしてそれに真剣に付き合ってくれるスタッフの方々、時には僕よりUVERworldのことを考えてくれてるcrewのみんなのおかげで、毎日ドキドキワクワクさせてもらってます。本当にありがとう!」と思いを伝える場面もあった。
センターステージへと戻った彼らは「High Light!」をプレイ。胸が高鳴るようなビートと熱のこもったギターサウンドにオーディエンスのシンガロングが重なり、ドームは巨大なエネルギーに満たされた。さらにそのエネルギーは「MMH」「Touch off」で爆発するように一気に増幅。ステージではいくつもの火柱が吹き上がり続けた。
弱くてしょうもない俺たちは、もうこの世界にはいない
「2019年、東京ドームでライブをやったとき、あそこに集まったみんなが全員が感じたことだと思うんだけど、想像を遥かに超える素晴らしい空間だった。めちゃくちゃいいライブだったんだよ。これ以上はもうないなというくらい、最高のライブができた気がした。あの日から、あの瞬間を思い出すたびに、みんなの気持ちを真空パックしてあげたいなって本気で思ったんだよ。大事に思うからこそ、あれ以上のライブができないんだったら、もう俺、辞めるべきなのかなと思った」と話を切り出したTAKUYA∞。彼は「そんなときにちょうど『あなたにとってのUVERworldってなんですか?』というムービーをもらうイベントがあって。そこで全国のみんなからメッセージをもらって、みんなのUVERworldに対する気持ちをまざまざと目にした。そんなの知ってたつもりなのに、『本当にこの人、UVERworldしかいないんじゃないの?』って思わせてくれる人が何人もいた。俺、それを見た瞬間に、これは辞められるわけがねえ。辞めちゃダメだって本当に思ったんだよ」と当時を振り返った。「たった一度でも俺たちのことを好きになってくれたあなたに、今一度好きになってもらえるように自分自身を磨いていく。俺はそのための生活、食事、日々の習慣をやり続けて、今日以上の自分を目指す。その目標から俺は絶対に目を逸らさないって決めたんだよ! 離れていかれるのが怖いから先にさよならを言おうなんて、そんな弱くてしょうもない俺たちはもう明日にはこの世界にはいない!」とTAKUYA∞が言い切ると、6人は新曲「Bye-bye to you」を披露。爽快なサウンドに乗せて、弱い自分たちに別れを告げることをcrewに誓った。
「『いったい俺とあなたたち、俺とメンバーってどんな関係なんだ?』って思ったんだ。友達はもう超えちゃってる。家族でも恋人でもない。辞書を調べたんだよ。同じものを守りたくて、大切にしたくて、違う場所で別の思いを馳せる仲間たちのことを盟友って言うんだってさ!」というTAKUYA∞の言葉を経て、UVERworldが披露したのはニューアルバムのタイトルトラック「EPIPHANY」。TAKUYA∞は大切な人々との絆を感じさせるこの曲をまっすぐな眼差しで歌い上げた。
「とんでもなく最高だ! 俺はこんな時間が欲しかった! 俺はこんなバンドがしたかった!」と叫んだTAKUYA∞。彼は「俺は人の心に残りたい。あなたの心に残りたい。あなたの心に残ったという事実が欲しい。今日このライブが終わって夜眠りにつくときに、あなたはどうか大好きな人を思い浮かべてほしい。ただ時々、もしくはいつか、あるいは最後の日に『UVERworldというバンドがいて、好きとか嫌いとかそんなものを飛び越して、あいつらは本気で音楽を奏でてたな。そのうちの一小節にうっかり感動しちゃったな』って、そんな思いがあなたの心に一生残っていますように」と述べ、壮大なバラードソング「MEMORIES of the End」で切なる思いを歌い上げた。
東京ドーム公演2DAYSのラストを飾ったのは「AFTER LIFE」。宇宙にきらめく流星群のようにオーディエンスの腕でライトブレスが美しい輝きを放つ。「どうか自分が輝ける場所に行って、あなたのそのきらめく姿を俺たちは見つけたい!」とTAKUYA∞はその景色を見渡し、星型の紙吹雪が降り注ぐ中、ありったけの思いを歌に込めて届けた。
万雷の拍手を浴びながら、6人は愛おしそうにcrewを見つめて花道を歩き、誰も見たことのない新しい時代を目指して東京ドームをあとにした。
セットリスト
UVERworld「UVERworld LIVE "EPIPHANY" at TOKYO DOME」2025年6月15日 東京ドーム
01. PHOENIX AX
02. Don’t Think.Feel
03. WE ARE GO
04. NO MAP
05. Eye's Sentry
06. THEORY
07. 7th Trigger
08. counting song‐H
09. 一滴の影響
10. CHANCE!
11. NO.1
12. 君の好きなうた
13. 言わなくても伝わる あれは少し嘘だ
14. UNKNOWN ORCHESTRA
15. I LOVE THE WORLD
16. ビタースウィート
17. High Light!
18. MMH
19. Touch off
20. Bye-bye to you
21. IMPACT
22. EPIPHANY
23. EN
24. MEMORIES of the End
25. AFTER LIFE
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2日で9万人越えやばすぎる https://t.co/periNISb7k