NEWSのメンバーとして活動しながら、2012年に「ピンクとグレー」で作家デビューした加藤。2021年には「オルタネート』で吉川英治文学新人賞、高校生直木賞を受賞し、同作と2023年に刊行の「なれのはて」で直木賞候補に選ばれた。
「ミアキス・シンフォニー」は雑誌「anan」で2018年から2022年まで全16回にわたって不定期で連載されていた小説に大幅な加筆・修正を加えた、愛をテーマにした作品。犬と猫の祖先と言われる動物・ミアキスからさまざまな生物が進化して分岐していくように、ぬいぐるみにしか本音を吐露できない少女、生真面目な大学教員、人付き合いに自信を持てない弁護士、謎に包まれた料理人などさまざまな登場人物たちの物語が描かれる。
本作について加藤は「作家人生で最も時間がかかった作品です。その間、世界も社会も、私に関しても個人としても作家としても、ありとあらゆることがありました。連載を終えてもなお改稿を続け、刊行までの時間をさらに要したのは、なにを書くべきか私が迷い続けたからです」と執筆を振り返り、「書き上げた今はすがすがしく、愛に満たされた気分です。最高のものができたと、空に向かって叫びたいほどです」とコメントしている。
加藤シゲアキ(NEWS) コメント
「ミアキス・シンフォニー」の連載が始まったのは2018年4月でした。あれから刊行まで7年弱。作家人生で最も時間がかかった作品です。その間、世界も社会も、私に関しても個人としても作家としても、ありとあらゆることがありました。連載を終えてもなお改稿を続け、刊行までの時間をさらに要したのは、なにを書くべきか私が迷い続けたからです。完成するのか不安でしたが、私はふと思いました。迷い続けたまま終わらせてもいいんじゃないか、と。小説とは常々、答えではなく問いだと考えています。そしてこの小説のテーマのひとつでもある「愛」もまた、問いなのではないかと、書きながら感じました。そう気付くとすらすらと書き進めることができ、私はついに「了」という文字を入力しました。書き上げた今はすがすがしく、愛に満たされた気分です。最高のものができたと、空に向かって叫びたいほどです。さまざまな人物が現れるこの群像劇が、読者にどう読まれるのか楽しみで仕方ありません。この作品は、私をまた新たな境地に連れていってくれました。どうか多くの方に手に取ってもらえることを願っています。
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