アーティストデビュー10周年を飾るアルバム「Ten to Bluer」を携えて、雨宮が全国4都市で全6公演を行ったこのツアー。彼女は青き民(雨宮のファンの呼称)が掲げるペンライトの青い光に照らされながら、バンドの生演奏に乗せて全21曲を披露した。
青い光が降ってくるような感じ
「10」の文字が刻まれた大きなカードに装飾されたステージに雨宮が登場。彼女はスタンドマイクの前に立ち、ソロアーティストとしての“始まりの歌”である「Skyreach」を高らかに歌い上げた。続いて雨宮は2人の女性ダンサーを引き連れ、デビュー10周年記念アルバムのリードトラック「JACKPOT JOKER」を披露。いたずらっぽい表情を浮かべ、ジャジーなサウンドに乗せて表現豊かに歌声を響かせた。「今日はみんなで最高の1日を作っていこうね!」と声を弾ませた雨宮は、「BLUE BLUES」をパワフルに歌唱。「この会場って高いところまでみんながいて、囲まれてるから、青い光が降ってくるような感じがあってとても心強くて。1曲目の『Skyreach』からニヤッとしちゃいました」と会場を見渡し、「アルバムを引っ提げたツアーでありながら、10周年記念ツアーでもあるということで。今まで私が10年間歌ってきた中で、節目節目で挑戦した曲だったり、思い入れの深い曲をめちゃくちゃ悩んで選んだので、みんなもきっと好きな曲があるんじゃないかなと思います」と期待を煽った。
「私にとって10年の中でも大きな挑戦であり、そしてみんなの大好きな曲を歌いたいと思います」と雨宮が告げ、歌い始めたのは彼女が氷室菖蒲役で出演するアニメ「理系が恋に落ちたので証明してみた。」のオープニングテーマ「PARADOX」。彼女はポップな方向性に振り切って作り上げた挑戦の1曲をキュートに届けたあと、同アニメ2期のオープニングテーマ「Love-Evidence」を続けて披露して会場を盛り上げた。その後、雨宮は一瞬にしてまとう空気を変え、スケール感のあるEDMナンバー「the Game of Life 」を力強い眼差しで歌い、ダンサーとともにキレのあるダンスも展開。雨宮が作詞作曲を手がけた「情熱のテ・アモ」では、ラテン調のサウンドをバックに情熱的な歌声が響き渡った。
青く青く突き進んでいく決意
白いドレスに衣装をチェンジした雨宮は、ステージの上段に座り込み、ピアノ1本の繊細な音色に乗せて「月灯り」を歌い始める。切なくも美しい歌声にオーディエンスはじっくりと聴き入っていた。ステージに座り込んだまま雨宮はワルツのリズムが印象的な「羽根輪舞」を優雅に歌唱。さらに2019年にライブで初めて発表した自身作詞作曲のナンバー「火花」を熱っぽく歌い、ステージに飾られたジャケット衣装に身を寄せ、まるで抱きしめられるように体に巻き付けた。
歌謡ジャズテイストの楽曲「irodori」を経て、青い衣装を羽織り、和風ロックナンバー「風燭のイデア」をコブシをきかせて伸びやかに歌った雨宮。「ここまで魅せるパートをやってきまして、静けさも盛り上がりもみんなが作ってくれて仕上がるんだなと思いました」と彼女はライブ前半を振り返り、「ここまでは私の圧でみんなを圧倒するパートだったんですけど、ここからはみんなの圧と私の圧をぶつけ合って、戦うパートが待っています!」と宣言した。「私、めちゃくちゃ声でかいですけど、みんな負けずに声出せますかー!」と雨宮が煽ると、青き民は一斉に拳を突き上げる。「OK、東京! 命燃やしていけ!」と雨宮は叫び、「Fireheart」を勢いよく放って熱いコールを巻き起こした。
さらに雨宮は“歌謡曲”のテイストを取り入れて自身の音楽性を確立させた楽曲「VIPER」を妖艶に歌い上げたあと、凛とした佇まいでシンフォニックなロックナンバー「Velvet Rays」を披露。強い信念を芯のある歌声に乗せて「Defiance」を届けたあと、ステージの上段に立ち「永遠のAria」を届けた。「このみんなが作ってくれた青い光とともにさらに青く青く突き進んでいく、その決意を込めて、残ってるものを全部出して歌います」と雨宮は言葉にし、最後に「衝天」を熱唱。この曲を通してさらなる未来に向けて突き進んでいく意思を示し、彼女はステージに去って行った。
大切な君に届けた言葉
アンコールを求める熱い声に呼ばれて再びステージに現れた雨宮は、オーディエンスに向かって大きくブンブンと手を振りながら「チョ・イ・ス」を歌唱。「mellow moment」ではカントリー調の軽やかなリズムに合わせてオーディエンスのクラップが鳴り響いた。「みんなの愛が伝わってきて、うるっときてしまいました。すごく幸せです」と雨宮は笑顔を浮かべ、「新しいテイストの曲が増えてきて、このライブでもいろんな曲を演じさせてもらってきたなと思います。私は声優というお仕事が日に日に年々すごく好きになっていって。今も昔もずっと一番憧れの職業。そんな私がアーティスト活動を始めることになったときに歌でも演じたいなと思ったんですよね。曲という舞台と、歌詞というセリフで」と話す。そして彼女は「それをずっと続けてきて、こうやって10年目を迎えられたんですけど、そういう私の演じたいという気持ちがあって、その時々で演じてみんなに届けて、それをみんなが受け取ってくれたから、私はアーティスト活動でもこうやって大好きな声優が、大好きなお芝居ができてるなと思います」と涙を流しながら言葉にした。
雨宮は「いろんなキャラクターを演じて、『この曲はこうやって表現したい』という強い気持ちがあるのに、全然理想に届かなかったりして。自分はなんてダメなんだろうと思ったときもあったし、泣いて泣いて心が折れそうになってきたんだけど、でも必ず立ち上がってきたの。立ち上がったら、その先でみんなが受け取ってくれて。だから、泣いても絶対に立ち上がって、ここまでやってきました。そしたら今ここに立ってる今、声優としてのアーティスト活動の歌の形を、私、確立できたなって1つ大きな自信を手に入れられたんです」と涙で声を詰まらせながら10年間を振り返り、「今では私じゃなきゃ表現できない歌もあるんじゃないかなと思っています。『変わらなきゃ』って焦っていたところを、『変わりたい』と思わせてくれてありがとう。そして、『私じゃダメだ』って思っていたところを、『私じゃなきゃダメだ』って思わせてくれて、本当にありがとう」と青き民に感謝の思いを伝えた。
「とても言葉では伝えきれないたくさんの気持ちを、次の曲に込めて歌いたいと思います。最後の曲です。大切な君へ」と雨宮が述べて歌い始めたのは、自身で作詞作曲を手がけた青き民への手紙とも言えるナンバー「Dear Blue」。雨宮は1人ひとりに語りかけるように、飾り気のないメロディに乗せて、愛おしい青き民への言葉を大切に紡ぎ上げた。楽曲を歌い終え、雨宮は客席に向かって深く一礼。青い光が輝く会場を見渡し、「ありがとうございましたー!」と両手で手を振ってステージをあとにした。
その後も「もう1回!」という青き民の声が止むことはなく、雨宮はステージへ。最後に雨宮は「パフォーマンスで全部出し尽くして、みんなに伝え切りました。だから歌わないんだけど、改めて言わせてください。本当にありがとうございました! それともう1つ言わせてください。これからもよろしくねー!」と弾けるような笑顔で述べ、ライブツアーを締めくくった。
セットリスト
雨宮天「LAWSON presents 雨宮天 Live Tour 2024 "Ten to Bluer Sky”」2024年6月23日 立川ステージガーデン
01. Skyreach
02. JACKPOT JOKER
03. BLUE BLUES
04. PARADOX
05. Love-Evidence
06. the Game of Life
07. 情熱のテ・アモ
08. 月灯り
09. 羽根輪舞
10. 火花
11. irodori
12. 風燭のイデア
13. Fireheart
14. VIPER
15. Velvet Rays
16. Defiance
17. 永遠のAria
18. 衝天
<アンコール>
19. チョ・イ・ス
20. mellow moment
21. Dear Blue
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【ライブレポート】雨宮天、“青い光”とともにアーティストデビュー10周年のその先へ(写真10枚) https://t.co/zynG4f5gN8