「まほうがつかえる」は、羊文学が2017年から不定期で行っているクリスマスライブ。今年はバンドにとって初のホールライブとなり、自身最大キャパとなる東京・中野サンプラザホール、大阪・フェスティバルホールの2カ所で開催されることとなった。東京公演のチケットは即日完売。羊文学は満員の中野サンプラザホールを舞台に、新旧の楽曲を織り交ぜた2部構成のパフォーマンスを届けた。
塩塚モエカ(Vo, G)、河西ゆりか(B)、フクダヒロア(Dr)は大きな拍手に迎えられてステージに登場すると、それぞれの感触を確かめるように静かに音を重ねていく。イントロで観客をグッと引きつけたところで、オープニングナンバーとして「あいまいでいいよ」を演奏。塩塚の「立ってもいいよ。今日は楽しもうね!」のひと言でオーディエンスは席を立ち、3人が奏でるエバーグリーンなメロディを体いっぱいに浴びて楽しんだ。羊文学はその後、歪んだギターの音色がエモーショナルなムードを演出するスローナンバー「おまじない」、盤石なバンドアンサンブルが聴く者の体を揺らす「踊らない」、儚げなボーカルと鬼気迫る演奏とが美しい調和を見せる「マフラー」など、メジャーデビューアルバム「POWERS」の収録曲やインディーズ時代の楽曲を中心に披露して第1部を終えた。
約15分の休憩を挟んだのち第2部が開演。羊文学はフクダを中心に向かい合わせに立つと、まずはセッションを繰り広げてじわじわと会場の熱気を高めていく。そして「パーティーはすぐそこ」や「光るとき」など、力強く開けたサウンドが印象的なナンバーを届けてオーディエンスを圧倒した。MCでは塩塚がオーディエンスに感謝を伝えたのち、「今日は12月11日なんですけどクリスマスですよね? 私たちがクリスマスだと言ったらここはクリスマスなんです」と話して場内の笑いを誘う。終盤にはそんな特別な日のために“1年に1回やるかやらないかの曲”“お客様投票第1位の曲”だというインディーズ時代のナンバー「恋なんて」をプレイ。その後も羊文学は初めてシンセサイザーを取り入れて制作した「OOPARTS」や、代表曲の1つであるクリスマスソング「1999」などキラーチューンを畳み掛け、会場に深い余韻を残してライブ本編を終えた。
羊文学は鳴り止まない拍手を受けて再びステージに登場。まずは羊文学のワンマンではお馴染みの河西によるグッズ紹介が行われ、演奏時とは打って変わって彼女のたどたどしい進行に場内は和やかなムードに。そして塩塚にライブの感想を求められたフクダが「中野サンプラザはすごく好きな会場なので演奏できてうれしいです」と、この日初めて口を開いた。アンコールでは塩塚が二十歳頃に制作し、ワンマンなどではたびたび披露されてきたが、リリースはなかった楽曲「生活」を披露。この曲について、塩塚から「会場にクリスマスツリーがあったと思うんですけど、そこに私たちのレコーディング風景の写真が貼ってあって、とういうことは……?」と含みを持たせた発言が飛び出すと客席からは大きな拍手が起こった。そして締めくくりに「最後にみんなで手を叩いたりしながら楽しみたいと思うんですけど、いいですか?」という呼びかけで「涙の行方」のパフォーマンスがスタート。3人の演奏にオーディエンスはハンドクラップで応えるなど、会場が大きな一体感に包まれる中、初の中野サンプラザホール公演は華やかに幕を閉じた。
なお羊文学はクリスマス当日である12月25日にフェスティバルホールで「まほうがつかえる2022」の大阪公演を開催する。
まほうがつかえる2022(※終了分は割愛)
2022年12月25日(日) 大阪府 フェスティバルホール
あんくる @Trk_milet
ネタバレだらけ。
大阪公演参加する方は見ない方が💦
#まほうかつかえる2022 https://t.co/L7y5HVTWlu