ヤバイTシャツ屋さん初武道館で限界突破の32曲を熱演、紅白出場への思い込めたサプライズ発表も

ヤバイTシャツ屋さんのライブツアー「ヤバイTシャツ屋さん “ぶどうかん” ツアー 2022」のファイナル公演が、昨日8月25日に東京・日本武道館で開催された。

全国の“ぶどうかん”を回るというコンセプトで、これまでに北海道のはこだてわいん葡萄館（ぶどうかん）本店前駐車場、愛知県の葡萄観（ぶどうかん）光農園 小林農園でライブを行ってきたヤバT。最終公演の会場となる日本武道館のチケットは完売し、座席はバンド初の武道館ライブに期待を高めた顧客（ヤバイTシャツ屋さんファンの呼称）たちで埋め尽くされた。

ヤバTのマスコットキャラクター“タンクトップくん”が公演中の注意事項を伝えるアナウンスが終わると、唐突に謎の覆面ユニット・Buyer Client（バイヤークライアント）のインタビュー映像が上映される。「結成のきっかけ」や「アーティスト名の由来」など定番の質問に独特な答えを返す様子が流れたのち、タンクトップを被ったメンバーがステージに登場。「最高にチルい夜にしていこうぜー」と、デビュー曲「dabscription」をおしゃれに歌い上げた。タンクトップの仮面を脱いでヤバTへと変貌を遂げた3人は、こやまたくや（G, Vo）の「うるさくて速い音楽をやりに来ました、ヤバイTシャツ屋さんがはーじまーるよー！」というひと言をきっかけに「Tank-top of the world」や「あつまれ！パーティーピーポー」などライブでは定番のアップテンポなナンバーを次々に披露していく。ひとしきり会場を盛り上げたのちのMCコーナーでは、こやまがついに「Buyer ClientはヤバイTシャツ屋さんだったんです」と暴露したほか、しばたありぼぼ（B, Vo）が「海に行きたいけど行けていない。だから後ろから前にする“わかめウエーブ”してみたい」と会場の顧客にリクエストし、わかめのように体を揺らした顧客が2階席の奥からステージまで波打つように見事なウエーブを描くひと幕もあった。

その後も、もりもりもと（Dr, Cho）がびっくりドンキーのハンバーグを食べる映像をバックに演奏された「まじで2分で作った曲」や、タオル回しが禁止のため代わりに手首を回すように促された「L・O・V・E タオル」、しばたのキレのあるベースラインが光るダンスチューン「DANCE ON TANSU」でフロアを踊らせたヤバT。ライブが中盤に差しかかったところでもりもとが「ゲストを呼んでセッションするやつがやりたい」とリクエストすると、“家族同然”のスペシャルゲストとしてもりもとの父と姉が呼び込まれ、もりもとがトランペットを演奏する「大人の事情」にコーラスで参加した。続けてしばたが「私のルーツとなったアーティスト」だと言うゲストを呼び込むと、琴を携えた女性と津軽三味線を持った男性が登場。しばたは「親」と手短に紹介した2人と「どすえ ～おこしやす京都～」をセッションした。最後のゲストとして登場したのはこやまの両親で、母はキーボード、父はコーラスで「眠いオブザイヤー受賞」のバンドパフォーマンスに溶け込んでいた。

「ここまでふざけてきましたが、ここからもふざけます」と宣言したこやまは、「肩幅が広いほうがいい」ということだけを歌った「肩 have a good day -2018 ver.-」をエモーショナルに熱唱。時折涙をぬぐう仕草をしながら最後の大サビをアカペラで歌い上げ、あたかも感動的であるかのような空気で会場を優しく包み込んだ。一方もりもとが主役の曲「げんきもりもり！モーリーファンタジー」では、もりもとがドラムセットごとリフトで高く上がるという大がかりな演出も飛び出し、観客を沸かせた。さらに「ウェイウェイ大学生」「鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック」とアッパーチューンを連投していったヤバT。熱狂する顧客たちにこやまが「コロナ禍のド平日にチケットが完売しまして。たくさんの人に観てほしかったのでこんなに来ていただいてホンマにうれしいです。ありがとうございます！」と感謝の気持ちを述べると、客席からは大きな拍手が沸き起こった。改めてコロナ禍に見舞われた数年を振り返り、さまざまな変化があったというこやまは「いろいろなことが変わってしまって、みんな大変なことも多いと思います。僕とかメンバーの身近にも困ったり悩んだりしている人が増えてきて。20代後半になると家族や友人が亡くなるという経験も増えてきたんですよね。何が言いたいかというと、みんないなくならんとってほしい」と絞り出すような声で語りかける。そして「ヤバイTシャツ屋さんは普段ライブハウスでばっかりライブをやっていて、一度に大勢の前で演奏することはあまりないんですけど、今日はせっかくの機会なので、いろんな人に届いたらいいなと思って作った曲を聴いてもらいたいと思います」と語ると、3人で「寿命で死ぬまで」を気迫に満ちたパフォーマンスで届けた。クライマックスでは「Give me the Tank-top」「ヤバみ」「かわE」「NO MONEY DANCE」とライブ定番曲を畳みかけ、口々に「楽しすぎるー！」と満足気に叫んでステージをあとにした。

鳴りやまない拍手に応えて再びステージに現れたヤバTだったが、しばたが「拍手されたから出てきたけど、声出し禁止で『アンコール』って言われてないから、アンコールじゃない可能性がある」と疑念を投げかける。「（アンコールじゃなかったら）恥ずかしい！」と同調したこやまが「アンコールということでよろしいでしょうか？」と顧客に確認を取り、安堵した3人は勢いづいて「ぶち上げアンコールいくで！」と「無線LANばり便利」をハイテンションで熱演。また、自主制作盤をリリースしていた頃からの目標である「紅白出場」のチャンスをことごとく逃してきたというヤバTは「まだ全然あきらめてないんですけどー！」と「案外わるないNHK」を熱唱し、「NHKの人、観てくれてますかー？ 口コミだけで武道館まで来ましたー！」と熱烈にアピールした。そして31曲目にキラーチューン「ハッピーウェディング前ソング」を届けた彼らは「もう31曲やって限界がきているんですが、限界を超えてみませんか？」と、昨年11月に初の大阪城ホール公演で披露した31曲を超える32曲目に「喜志駅周辺なんもない」を“コール＆レスポンスなしver.”でパフォーマンスした。限界突破の32曲を完遂したヤバTは集まった顧客に改めて感謝を述べ、「ヤバイTシャツ屋さんは来年結成10周年です！ もういろいろ準備しています」と告知。大きな節目の挑戦として、今年末の「紅白歌合戦」への出場が叶わなかった場合、これまで自主的に禁止していたテレビ番組での歌唱を解禁するとサプライズで発表し、大きな拍手に包まれながらライブの幕を下ろした。

なおこのライブの模様は10月30日（日）にWOWOWプラスでテレビ初放送される。WOWOWプラスの視聴方法についてはオフィシャルサイト（https://www.wowowplus.jp/howto/）にて確認を。