「僕は僕を全うしていく」錦戸亮、ライブ三昧の2021年を幕張で締めくくる

錦戸亮のアリーナライブ「RYO NISHIKIDO LIVE 2021 "SHABBY"」のファイナル公演が、昨日12月18日に千葉・幕張メッセ 幕張イベントホールにて行われた。

今年1月に2ndアルバム「Note」をリリースし、その後は1年を通じてライブを精力的に行ってきた錦戸。2021年を締めくくる今回のアリーナライブは大阪・大阪城ホールと幕張イベントホールにてそれぞれ2公演ずつ行われ、圧巻のパフォーマンスで各地のファンを楽しませた。

ステージ上には“SHABBY”というツアータイトルそのままに、古びたバラックを思わせるセットが立ち並ぶ。開演時刻を迎え場内が徐々に暗くなり、風の吹きすさぶ音と空き缶が転がる音が鳴る中、錦戸とサポートメンバーの藤原佑介（Dr）が姿を現した。錦戸がギターをかき鳴らして歌い始めたのは「コノ世界ニサヨウナラ」。途中から田口慎二（G）、山口寛雄（B）、松本ジュン（Key）も加わり、続く「狛犬」へとミディアムチューンを連投して観客を独自の世界に引き込んでいった。

「ラストノート」では錦戸がマイクを握り、若干照れたような表情でステージを行き来して客席に手を振る。曲中にはセンターステージに進み出て場内の興奮を高め、そのまま「Tokyoholic」へとつなげた。鮮烈なレーザー光線に照らされながら熱唱した錦戸は、今回のライブのコンセプトを「大人な雰囲気、くたびれてもカッコいいという雰囲気を味わってほしい」と説明。サポートメンバーとここから加わったストリングスカルテットのメンバーを紹介し、「最初のツアーに比べるとどんどん人が増えて音も分厚くなりました。五感でこの音を浴びていってください」とファンに呼びかけた。

重厚なストリングスのハーモニーが会場を包み込んだ「Silence」のあとは、トランペッターの斎藤幹雄を迎え「ヤキモチ」を披露。いぶし銀の音色と藤原が鳴らすカホンのリズムが楽曲に新たな魅力を与えるひとときとなった。その後、錦戸は自身が主演と音楽を担当した短編映画「No Return」について話す。劇中でサックスの演奏を披露している錦戸は「今ここでお見せするのは到底不可能なので……（笑）」と前置きし、自身の“サックスの師匠”という佐藤公彦を呼び込んだ。ここで披露されたのは「No Return」の主題歌「ジンクス」。佐藤のエモーショナルな演奏と錦戸のボーカルが絡み合い、場内に熱気をもたらした。

その後は11名のフルメンバーで「キッチン」「ツキノハナシ」をにぎにぎしく披露。中盤のMCでは錦戸が、11月3日の誕生日に同じ会場で行ったファンクラブイベントを振り返りつつ「37歳になると1年が経つのも早いです。特にここ1、2年は時間の感覚が違う気もしますし」と、コロナ禍での日々へ思いを馳せた。そして「僕は今日で仕事納め、皆さんにとっては“錦戸納め”になります。“錦戸初め”はいつになるんでしょうね？ でも、皆さんとお会いすることを念頭に置いているので」と、来年のファンとの再会へ期待を持たせた。

再びセンターステージへ移動した錦戸は、今回のライブのために制作したという新曲をパフォーマンス。届かない思い、叶わない夢を歌ったバラードナンバーでオーディエンスを魅了すると、「ホンキートンクラプソディ」でパワフルなシャウトを響かせた。メインステージに戻った錦戸はステージ後方のリフターに乗り「Secret agent man」を圧巻のバンドアンサンブルに乗せて熱唱し、そのキャリアで培ったパフォーマンス力を改めて印象づける。アコースティックギターのカッティングに合わせるようにステージ前方に炎が吹き上がった「Traffic」のあとは、「ノマド」が高らかに奏でられた。

最後のMCで錦戸は「皆さんが後押ししてくれているから僕はここに立てています。これからも僕に会いに来れば元気になれる、そんなモヤッとした存在でいられれば（笑）」とファンへの感謝を述べた。ラストナンバー「ヒトメボレ」を歌い上げたあと、錦戸は「来年も会える機会をたくさん作りたいと思います！」と改めて2022年の活躍を誓った。

アンコールの拍手に応え、ステージに再び現れた錦戸は2021年最後の曲として「オモイデドロボー」を熱唱。「これからも自分らしく、僕は僕を全うしていきます。興味を持たれるような僕でい続けたい」と表現者としての意思を明かし、合計45公演のライブを繰り広げた今年のラストステージを締めくくった。