ゆりかごから墓石まで!THE BACK HORN、最後のコーストワンマンで希望を鳴らす

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THE BACK HORNの年末恒例イベント「マニアックヘブンツアーVol.14」のファイナル公演が昨日12月5日に東京・USEN STUDIO COASTにて開催された。

THE BACK HORN(Photo by Rui Hashimoto)

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2005年の開始以来、タイトル通り普段のライブではやらないマニアックな選曲でファンの心をつかんでいる「マニアックヘブン」。今年はツアー形式で10月2日の北海道・札幌PENNY LANE24を皮切りに全9公演が行われ、ファイナルは「マニヘブ」にとってのホームとも言えるUSEN STUDIO COASTが舞台となった。

岡峰光舟(B)(Photo by Rui Hashimoto)

岡峰光舟(B)(Photo by Rui Hashimoto)[拡大]

ライブは2ndアルバム「心臓オーケストラ」のオープニングを飾る「ワタボウシ」で静かな立ち上がりに。曲が後半になるにつれ演奏は徐々に熱を帯びていき、そのままインディーズ時代の1stアルバム「何処へ行く」の収録曲「魚雷」に突入。原曲の持つ初期衝動に満ちた荒々しさを現在のTHE BACK HORNが大人の貫禄たっぷりに演奏してみせる。続いて岡峰光舟(B)のベースが躍動する「孤独な戦場」が届けられると、フロア一面に拳が上がった。

山田将司(Vo)(Photo by Rui Hashimoto)

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菅波栄純(G)(Photo by Rui Hashimoto)

菅波栄純(G)(Photo by Rui Hashimoto)[拡大]

MCでは松田晋二(Dr)が「僕らにとって、隠れた大事な曲を一気に披露する企画です。イントロが鳴った瞬間に思い出せる人、『あれ、なんだっけ』となる人、それぞれだと思いますが、『マニアックヘブン』ならではの濃密で深い夜にしましょう」と挨拶。その言葉通り、次曲には23rdシングル「悪人 / その先へ」のカップリング「路地裏のメビウスリング」というディープな曲がセレクトされた。「さざめくハイウェイ」に続く「情景泥棒~時空オデッセイ~」では山田将司(Vo)もエレキギターで演奏に参加し、シューゲイザーバンドのような轟音の波がフロアを飲み込む。この曲をきっかけにバンドのディープな世界観を投影した楽曲が次々と投下されていった。「墓石フィーバー」では岡峰がステージに設置されたお立ち台に乗ってLED仕様のMoon“6号機”のネックを光らせ、山田はしゃがみながらマイクスタンドで菅波栄純(G)のギターを弾くなど自由なステージングを展開。さらに「アカイヤミ」で菅波は髪を振り乱してギターを弾いたり、ギターを弾かずに踊り狂ったりと、冒頭の大人な演奏とは打って変わってタガが外れたようなパフォーマンスを繰り広げた。

松田晋二(Dr)(Photo by Rui Hashimoto)

松田晋二(Dr)(Photo by Rui Hashimoto)[拡大]

「最高ですね」と松田が話し始めると、それに同意するようにフロアからは長い拍手が。ツアーのグッズとして木刀はありかなしかといった話題でひとしきり盛り上がったあと、続くブロックでは「ゆりかご」「君を守る」「ホログラフ」といったマニアックな楽曲が届けられた。それぞれ5thアルバム「太陽の中の生活」、11thアルバム「運命開花」、10thアルバム「暁のファンファーレ」の収録曲で、もちろんライブで披露されることは稀だ。いずれの曲も山田の聴き手に寄りそうな優しい歌声が印象的で、場内には先ほどと打って変わって穏やかな空気が広がる。また隠れた名曲として名高い6thアルバム「THE BACK HORN」収録の「ハロー」が届けられると、観客は体を揺らして楽曲を楽しんだ。

THE BACK HORN(Photo by Rui Hashimoto)

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山田は「ちょうど1年前にコーストでやった『マニヘブ』ではお客さんを500人しか入れられなかったけど、今日は2倍以上の人たちが来てくれて。少しずつたくさんの人たちの顔が見れるようになってうれしいし、胸が熱くなりますね」と、新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを遵守して参加しているファンとの再会を喜ぶ。そして「初めてやる曲をやっていいですか?」と言って始まったのは、この日リリースされた新曲「希望を鳴らせ」のカップリング「疾風怒濤」。松田の繰り出す性急なビートに乗せて目まぐるしく展開する曲で、山田の「踊ろうぜ」という歌声に呼応してフロアからはいくつもの拳が上がった。続いて「浮世の波」のイントロのギターフレーズが鳴った瞬間にオーディエンスにもスイッチが入り、ライブはラストスパートに突入する。「反撃の世代」でさらに勢いをつけたメンバーは、「赤い靴」で高速かつテクニカルなプレイを繰り出し観客を圧倒。最後に山田が「スタジオコーストでのワンマンは今日が最後です。どうもありがとうございました」と“ホーム”に感謝の言葉を述べ、「パレード」で本編を終えた。

THE BACK HORN(Photo by Rui Hashimoto)

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アンコール1曲目は、もちろんマニヘブでの定番曲「天気予報」だ。山田がドラム、菅波がベース、岡峰がギターを鳴らし、遅れて登場した松田が熱のこもったポエトリーリーディングでフロアを沸かせる。曲が終わりそれぞれの定位置に戻ったあと、山田が「雨が降ろうと、風が吹こうと、地震が起ころうと、コロナみたいな謎のウイルスが流行ろうと、希望を鳴らしたいよね。生きていれば楽しいことがまだあるはず。こんなところでくじけていられないよね」と言って始まったのは、力強いストレートなロックナンバー「希望を鳴らせ」。観客と、声を出せない観客の分までサビでコーラスするメンバーの思いが重なり、会場は一体感に包まれる。そして山田が「また生きて会いましょう」と約束して、ラストは「さらば、あの日」でフィニッシュ。USEN STUDIO COASTでの最後の「マニアックヘブン」、そしてTHE BACK HORNにとって2021年最後のライブは大団円を迎えた。

なお、この日彼らはインディーズ1stアルバム「何処へ行く」から11thアルバム「運命開花」まで、今年リリースツアーの振替公演を実施した12thアルバム「カルペ・ディエム」を除くすべてのオリジナルアルバムからの楽曲をプレイ。「ゆりかご」から「墓石フィーバー」まで披露し、バンドの歴史を凝縮したようなディープな公演となった。このライブの模様はStreamPassおよびFanStreamにて12月12日(日)23:59までアーカイブ配信が行われている。チケットの販売期間は12月12日21:00まで。

THE BACK HORN「マニアックヘブン Vol.14」2021年12月5日 USEN STUDIO COAST セットリスト(カッコ内は収録作品)

01. ワタボウシ(2ndアルバム「心臓オーケストラ」)
02. 魚雷(インディーズ1stアルバム「何処へ行く」)
03. 孤独な戦場(3rdアルバム「イキルサイノウ」)
04. 路地裏のメビウスリング(23rdシングル「悪人 / その先へ」)
05. さざめくハイウェイ(7thアルバム「パルス」)
06. 情景泥棒~時空オデッセイ~(1stミニアルバム「情景泥棒」)
07. 墓石フィーバー(4thアルバム「ヘッドフォンチルドレン」)
08. アカイヤミ(1stアルバム「人間プログラム」)
09. ゆりかご(5thアルバム「太陽の中の生活」)
10. 君を守る(11thアルバム「運命開花」)
11. ホログラフ(10thアルバム「暁のファンファーレ」)
12. ハロー(6thアルバム「THE BACK HORN」)
13. 疾風怒濤(27thシングル「希望を鳴らせ」)
14. 浮世の波(5thアルバム「太陽の中の生活」)
15. 反撃の世代(9thアルバム「リヴスコール」)
16. 赤い靴(17thシングル「覚醒」)
17. パレード(8thアルバム「アサイラム」)
<アンコール>
18. 天気予報(5thアルバム「太陽の中の生活」)
19. 希望を鳴らせ(27thシングル「希望を鳴らせ」)
20. さらば、あの日(インディーズ2ndアルバム「甦る陽」)

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