GLAY、ファンに愛を伝えた「HOTEL GLAY」千秋楽でデビュー25周年を締めくくる

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GLAYがデビュー25周年を締めくくるワンマンライブ「GLAY DEMOCRACY 25TH "HOTEL GLAY GRAND FINALE" in SAITAMA SUPER ARENA」を、12月19日と20日に埼玉・さいたまスーパーアリーナにて開催した。

GLAYとは?

北海道函館市出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年に活動を開始し、1989年にHISASHI(G)、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に12枚目のシングル「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には千葉・幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブを開催し、当時有料の単独ライブとしては日本最多観客動員を記録する。2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」(現:LSG)を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年には宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行った。デビュー25周年を迎えた2019年より「GLAY DEMOCRACY」をテーマに精力的な活動を展開。10月にアルバム「NO DEMOCRACY」を、2020年3月にベストアルバム「REVIEW II -BEST OF GLAY-」をリリースした。デビュー30周年を迎える2024年は、周年のテーマとして「GLAY EXPO」を掲げて活動中。5月にシングル「whodunit-GLAY × JAY(ENHYPEN)- / シェア」を発表し、6月に埼玉・ベルーナドームで単独公演「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025」を行い、10月に4年ぶりとなるアルバム「Back To The Pops」をリリース。11月から全国アリーナツアーを開催する。

「GLAY DEMOCRACY 25TH "HOTEL GLAY GRAND FINALE" in SAITAMA SUPER ARENA」の様子。

「GLAY DEMOCRACY 25TH "HOTEL GLAY GRAND FINALE" in SAITAMA SUPER ARENA」の様子。

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本来であればGLAYは北海道・札幌ドームでデビュー25周年のフィナーレを迎えるはずだったが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で予定されていたライブは中止を余儀なくされる事態に。来場者やスタッフの健康と安全を優先するため、会場をさいたまスーパーアリーナに移してアニバーサリーイヤーを締めくくることを決断した。2日間の公演は感染症防止対策を講じたうえで行われ、ライブ中は歓声だけでなく飛沫対策のためヘッドバンギングも禁止に。来場が叶わない人のために2日目の模様はWOWOWプライムのほか各配信プラットフォームにて終演直後に放送および配信され、国内外のファンを楽しませた。この記事では初日公演の模様を中心にレポートする。

TERU(Vo)

TERU(Vo)[拡大]

暗転と同時にLEDスクリーンに浮かび上がったのは、アリーナツアー「GLAY ARENA TOUR 2019-2020 DEMOCRACY 25TH HOTEL GLAY THE SUITE ROOM」で上映されたミステリードラマ「HOTEL GLAY殺人事件」のダイジェスト。GLAYのメンバーが、自らが演じる容疑者や刑事をマシンガンで射殺するという衝撃的なラストを経てスポットライトがセンターステージに落ちる。するとそこには、映像の中と同じ衣装でソファーに並んで座るTERU(Vo)、TAKURO(G)、HISASHI(G)、JIRO(B)の姿が。4人がオープニングナンバーとして届けたのは、TERUとHISASHIがツインボーカルで歌う「ROCK ACADEMIA」。これまでのGLAYのライブではあまり見られなかったパフォーマンスを前に、観客は驚きつつ力強くハンドクラップをする。曲が終わると同時にTERUは「今日は全部手拍子でいくぞ!」と高らかに叫んだ。

TAKURO(G)

TAKURO(G)[拡大]

HISASHI(G)

HISASHI(G)[拡大]

「スター・ウォーズ」を想起させるオープニングロールがスクリーンに流れ、GLAYがコロナ禍の中であっても活動を止めず、エンタテインメントの火を絶やさぬように奮闘していた日々がコミカルな言葉で紹介されていく。「GLAYと共にあらんことを」という文字が観客の目に飛び込んだところで、JIROがメロディアスなベースを奏で「ALL STANDARD IS YOU」へ。TERUはファン1人ひとりに語りかけるように歌い、オーディエンスはその歌詞の意味を噛みしめるようにしながらじっとその姿を見つめた。TAKUROが流麗なギターを奏でた「MIRROR」の余韻が残る中、TERUは「特別な夜になることは間違いないです。GLAYの25年の中で初めて歓声を出してはいけないので、GLAYの歴史に深く刻まれる1日になるでしょう。そんな1日にようこそ!」と挨拶。飛沫感染防止対策を喚起しつつ、「最高のコミュニケーションをするためにこんな曲を用意しました!」とToshi Nagai(Dr)のパワフルなドラムが冴える「HIGHCOMMUNICATIONS」につなげた。シンガロングはできないものの、観客は腕を力強く交差させ会場に一体感を作り出す。それに呼応するようにステージ上のメンバーも熱のこもったプレイを繰り広げた。

TAKUROとHISASHIが哀切たっぷりのフレーズを奏でた「天使のわけまえ」に続いたのは「流星のHowl」。サポートのハジメタル(Key)が弾く躍動的なシンセサイザーの調べに、TERUはアコースティックギターをかき鳴らしながら切々としたボーカルを重ねていく。その後、穏やかなアンサンブルが会場を包み込んだ「May Fair」を皮切りに、4人は「春を愛する人」や「カ-テンコ-ル」などミディアムチューンやバラードをじっくり聴かせた。「カ-テンコ-ル」ではTERUの儚げな歌声とハジメタルの弾く旋律が溶け合い、会場中に広がる。ラストではTAKUROがジャジーなアレンジのアウトロを奏で、24年前に発表された楽曲をアップデートしてみせた。

深淵なサウンドが大自然の映像とともに届けられた「Into the Wild」や、メンバーがステージの端まで足を伸ばし、観客とコミュニケーションをするようにパフォーマンスした「月に祈る」を経て、ライブは後半戦に。HISASHIらしいエッジーなギターリフや、遊び心たっぷりの歌詞が印象的な新曲「SHINNING MAN」を披露したあと、4人は「everKrack」や「VIVA VIVA VIVA」などアッパーチューンを連投。なお「everKrack」の演奏中には、2015年のデビュー20周年ライブで流れた歴代作品のジャケットやアーティスト写真を使ったコミカルな映像が2020年度バージョンにアップデートして使用された。笑い声は上げられないものの、観客はユーモアあふれる演出を存分に楽しんでいた。

JIRO(B)

JIRO(B)[拡大]

「みんなの幸せを願って届けます!」。そんなTERUの言葉から観客にプレゼントされたのは、JIROがファンを思い歌詞を書いた「lifetime」だった。JIROは思いを込めるように丁寧にベースを弾き、TERUは「また必ず会えるぜ!」と大きな声でファンとの再会を誓う。TERUは「みんなと一緒にこの曲を歌える日を願いながら」と叫び、今度は「SOUL LOVE」を歌い出す。普段のライブであれば大きなシンガロングが巻き起こる楽曲だが、観客はGLAYチョップをステージに向けて送り会場を熱気で満たした。メンバーがそれぞれの音をぶつけ合う豪快なロックチューン「DOPE」、開放感のある「XYZ」をプレイしたのち4人はステージをあとにした。

ファンの熱烈な拍手に呼ばれる形で再びステージに戻ってきたメンバーたち。TERUは「エンタテインメントが皆さんの心を少しでも癒せるものとしてこれからも僕らができる限りのことをできたらなと思います」「これからも僕らはあきらめることなく、がんばって(GLAYを)続けていけたらと思います。次こそはみんなが大声で歌える瞬間がくると思うので、それを信じて生活していきましょう」とバンドを代表して挨拶する。「この曲こそ言葉はいらない……みんなの熱い思いだけで十分な曲です」と口にすると、シャウト交じりに「彼女の“Modern…”」とタイトルコールした。4人はセンターステージに歩みを進めると、ファンと対峙するようにデビュー年である1994年に発表されたナンバーをプレイ。さらにTERUの「この曲はここにいる1万人の人たち、1人ひとりにプレゼントします」という宣言から「Bible」を披露した。そしてライブのラストを飾ったのは「ずっとずっと自分を信じて行けよ!」という一節が胸に響く「HEROES」。GLAYにとって実に11カ月ぶりとなる有観客ライブは、ファンの背中を押すような1曲で大団円となった。

「GLAY DEMOCRACY 25TH "HOTEL GLAY GRAND FINALE" in SAITAMA SUPER ARENA」の様子。

「GLAY DEMOCRACY 25TH "HOTEL GLAY GRAND FINALE" in SAITAMA SUPER ARENA」の様子。[拡大]

本日行われた2日目の公演は、演出やセットリストは初日と同じものだったが、TERUが「もう慣れました!」と宣言していた通り、全体のパフォーマンスが伸びやかなものに。TAKUROとJIROが柔らかな表情で向かい合ってプレイしたり、HISASHIがカメラ目線で観客にアピールしたり余裕を見せる一幕もあった。MCでTERUは、コロナ禍の中でデビュー25周年を締めくくるステージをともに作り上げたスタッフや、不安の中で会場に集まってくれたファンに感謝の思いを伝える。「声は出せないけど、一緒にいる時間がこんなに尊いということを改めて感じました。ステージがあることが当たり前だと感じていた25年でしたが、その当たり前というものはないんだなと」「これからもこのステージを大切にしたいし、みんなを大切に思いながら活動していきたいなと思います」と観客に語りかけた。ファンへの思いはほかのメンバーも同じようで、JIROは「最高! マスクで1/3くらいしか顔が見えないけど、目は輝いてるよ。いつになく幸せです」と笑い、客席の様子を自身のカメラに収めた。2時間半におよぶライブを終えたあと、TERUは「大変な状況は続きますが音楽があって、僕らがいて……みんなの側には僕らがいることをしっかり感じて、強くたくましく生きてほしいと思います」とファンに呼びかける。最後にJIROが音頭を取る形でソーシャルディスタンスを保ったままライブで恒例の一斉ジャンプが行われ、温かな空気の中でGLAYのデビュー25周年は幕を閉じた。

過去の大型ライブのように意表を突くような演出や特効などはなかったものの、曲ごとに作り込まれた映像やサウンドとリンクしたライティングなどが観客を魅了した2日間のライブ。4人はサポートメンバーの2人を交えての演奏をしっかり聴かせることや、新旧の楽曲に込められたメッセージを伝えることに重点を置き、全力でファンに愛を伝え、その心に寄り添うような時間を作り出していた。

なお、本日のライブのアーカイブ映像は、各プラットフォームにて1月3日まで視聴可能。ZAIKOのみ見逃し配信は12月23日23:59まで。

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GLAY「GLAY DEMOCRACY 25TH "HOTEL GLAY GRAND FINALE" in SAITAMA SUPER ARENA」2020年12月19日&20日 さいたまスーパーアリーナ公演 セットリスト

01. ROCK ACADEMIA
02. ALL STANDARD IS YOU
03. MIRROR
04. HIGHCOMMUNICATIONS
05. 天使のわけまえ
06. 流星のHowl
07. May Fair
08. 春を愛する人
09. カ-テンコ-ル
10. Into the Wild
11. 月に祈る
12. SHINNING MAN
13. everKrack
14. VIVA VIVA VIVA
15. Friend of mine
16. lifetime
17. SOUL LOVE
18. ピーク果てしなく ソウル限りなく
19. DOPE
20. XYZ
<アンコール>
21. 彼女の“Modern…”
22. Bible
23. HEROES

撮影:岡田裕介 / 田辺佳子

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【ライブレポート】

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千秋楽でデビュー25周年を締めくくる

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