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10月16日に公開される「みをつくし料理帖」は高田郁の時代小説シリーズを原作とする映画。主人公・澪が料理人として成長していく姿や、吉原で花魁として生きる“あさひ太夫”こと幼なじみ・野江との不変の友情が描かれる。これまでに数々の名作、大ヒット作を世に送り出してきた78歳の巨匠・角川がこの映画を“生涯最後”の監督作として選び、松本穂香が澪、奈緒が野江を演じた。
イベントに登壇した角川は「73本作ってきて、『今回の映画だけ』ということがいくつもある」と口火を切り、「クランクアップするとあまりあとを引きずらないんですが、今回2カ月引きずったんですよね。夢の中で、撮影現場や編集フィルムを観る場面が出てきた」と告白。製作打ち上げの際に撮影した写真を部屋に飾っていることを明かした。また「リラックスして、淡々と楽しんで撮っていたんですよ。だから映画に余計な力が入ってなくて、肩の力を抜いて誰よりも自分が楽しんでいた」と撮影を振り返った角川は、今回メガホンを取ったきっかけは京都の伏見稲荷にあると述べ、「2年前に妻と子と、伏見稲荷の3カ所で不思議な人物に会った。人間じゃない人物。この映画は作らされたという気持ちがあるね」としみじみと語った。
続いて和服に身を包んだユーミンも壇上へ上がり、角川が“最後の監督作”と公言する本作の主題歌のオファーを受けた心境を「『来たー!』って思いました」と表現。「散りてなお」を歌唱した手嶌葵について「彼女の歌唱に前々から興味があった」と言及し、「手嶌さんの質感に寄り添うように作りました。彼女にとてもインスパイアされて……いいキャスティングをありがとうございます」と角川へ感謝の気持ちを伝えた。
主題歌「守ってあげたい」を歌唱した「ねらわれた学園」で角川作品に初めて参加したユーミン。彼女は今回のイベントで角川とのさまざまなエピソードを挙げつつ、「角川さんは少女性をお持ちなんです」「少女同士の友情物語で、角川さんらしいなと思いました」と「みをつくし料理帖」の感想を述べた。これを受け、角川は自身を知るほとんどの人から「こういう映画を作るとはまったく思わなかった」と言われる中、テリー伊藤と読売テレビの大橋善光社長のみが「これが角川さんの本質なんだな」とコメントしたというエピソードを披露した。
また今回、角川から「『春よ、来い』を超える曲を作ってほしい」というオファーを受けたという松任谷は「曲は出会いなので、それには勝てない」と微笑みつつ、「大変難しいお題だったけどそれができたと思います」「5分間のドラマとして、映画の世界観をギュッと凝縮して表す、ふさわしいものであったらいいなと思っています」と「散りてなお」について改めて語る。イベントの最後にはサプライズゲストとして手嶌がリモートで出演し、「散りてなお」を披露する一幕も。角川は「打ちのめされた感覚。魂を引っ張り出されて、洗濯されて戻された感じがしますね」と彼女の歌声に感じ入っていた。
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【イベントレポート】松任谷由実「みをつくし料理帖」公開記念して角川春樹とトーク、手嶌葵による主題歌リモート歌唱も https://t.co/snFGi9mvmu