ミドリカワ恒例ライブは「おまえのうた（注意）」満載

ミドリカワ書房の恒例ワンマンライブ「リキッド de ドッキリ 4"ever"」が、10月22日にLIQUIDROOM ebisuにて行われた。

タイトルどおり、今回で4回目を迎えるミドリカワのリキッドワンマン公演。初のベストアルバム「みんなのうたベスト」のリリース直後に行われたこの日のライブには、彼の集大成的ステージを見届けようと多数のファンが集結した。

開演時刻、暗転したステージに登場したのはミドリカワと「出入りの業者以上、友達未満」の仲だと語る、おなじみ茂木淳一。「携帯の電源は切ったような雰囲気で」「ライブのお楽しみと言えば物販です。悔いを残さぬよう、帰りの電車賃以外は残さぬようお買い上げをお願いします」といった前説でフロアを盛り上げた。

そしてグリーンの照明に照らされたステージに、いよいよ主役のミドリカワ書房が登場。いつもどおり“プロレスLOVEポーズ”をキメた後、バンドメンバーとともにスローテンポなイントロセッションを繰り広げる。そこから始まった1曲目は「顔」。間奏では西澤寿実（Sax, Per）、田中志門（G）がエモーショナルなソロを展開する。さらに右田泰孝（B）が奏でるグループサウンズ風のベースラインから「Rock'n'Roll 保健室の先生」、「必殺仕事人」のテーマを取り入れたイントロで始まる「OH! Gメン」と、定番曲のアレンジを大きく変えて次々と披露していく。

ミドリカワはバンドメンバーを振り返りながら「この人たちはわかんないけどね、私は誠心誠意、心をこめて演奏しますからね」と毒舌を吐きつつ、次のパートへ。「誰よりもあなたを」「リンゴガール」では越智祥子（Key）の可憐なコーラスが曲に新たな彩りを加える。「ベスト買いました？ あれはいい選曲でねえ、贈り物に最適ですよ（笑）」とミドリカワが「みんなのうたベスト」を宣伝した後は「ベストに入れなかった曲をムーディな気分で聴いてください」と、アコースティックスタイルでのパフォーマンスに突入。右田がアップライトベースを、田中がアコースティックギターを奏で、「私の恋愛」「大丈夫」「ミドシンを聴きながら」の3曲を演奏した。

「今日のライブが終わると当分予定がないんでね、目に焼き付けておいてくださいよ。冥土の土産に（笑）」という煽るミドリカワ。「この後はバラードが続きますよ」と、「それぞれに真実がある」「危険な二人」を披露するが、バラードとは言い難いグルーヴィなバンドアレンジで場内の空気を変えていく。さらに「おめえだよ」でこの日一番のダークな雰囲気に導くが、直後の「馬鹿兄弟」でようやくフロアにもほっとしたようなムードが漂った。

「『馬鹿兄弟』は長い曲でねー、あんまりやりたくないの（笑）。ごめんなさいね、しんみりさせちゃって。脚疲れたでしょ？」とミドリカワのMCが行われる中、場内にチャイムの音が響く。ミドリカワの戸惑いもかまわずステージに現れたのは茂木淳一。「俺は疲れてねえよ！ 出番が少なくてさ！」と毒づきながらも「ベスト盤の初回限定盤に『没曲たち』ってCDつけたでしょ？ あの中からやんなさいよ」とミドリカワに強要。フロアから起こる大きな拍手にもかまわずミドリカワは「やれないわよ、歌詞覚えてないし」と拒否するが、すかさずスタッフが譜面台と楽譜を用意。「コードも入ってるから」と茂木が押し切り、仕方なくミドリカワは「没曲たち」の中から「コスモス」を弾き語りで披露する。歌い終えると「……そういうことは言っておいてほしいんだけど……」と、恒例のドッキリ企画に疲弊した表情を見せた。

ライブもいよいよ終盤戦に。ミドリカワが「私のテーマソング」と語る「だまって俺がついて行きます」、ハンドマイクで熱唱する「続・それぞれに真実がある」に続き、ジャジーなベースラインと前田仁（Dr）の熱の入ったドラミングが歌詞と乖離しすぎた世界を作る「元祖！鯖」。さらに「I am a mother」ではオーディエンスが拳を上げてミドリカワの煽りに応える。ラストチューンは「実は私はサンタクロースだったんです」というミドリカワの言葉で始まる「みんなのうた」。ちょっと早いクリスマスソングの披露で、本編はしっとりと終了した。

アンコールの声に応えてステージに再び登場したミドリカワは、グッズの「べっちゃんTシャツ」姿。「まだバンドメンバーがグズグズTシャツに着替えてるんで（笑）」と言いながらメンバーを迎え入れるが、全員マスクをしたりくしゃみをしたりと鼻や喉の不調をわざとらしくアピール。「なんなのこれ、あら？ ぶわくしょい！」というミドリカワのくしゃみから始まった曲は「没曲たち」の収録曲「くたばれ！花粉」。バンドサウンドで非常にゴージャスに生まれ変わった曲に、場内も熱狂する。そして「本当に最後の曲です」と始まったのは、フィナーレの楽曲としておなじみ「さらばグッバイ」。前向きな歌詞をリキッドのフロアに響かせて、4回目の「リキッド de ドッキリ」は大団円を迎えた。

満足げな顔でミドリカワがステージを去ろうとすると「それではここで、恒例のお楽しみ撮影会に移らせていただきます」といういつものアナウンスが流れる。茂木もステージに登場し、携帯電話やデジタルカメラを向けるファンに向かってポーズを決める。「これもうやんなくていいんじゃないんですか？」と若干うんざりした顔を見せるミドリカワだが、茂木は「みなさん慣れたもんですねー」とうれしそう。バンドメンバーもステージに現れ、撮影されまくる2人をカメラに収めていた。

さらにこの後、ミドリカワ書房所属レーベル・桜桃社とナタリーのコラボ企画「没曲 OF 没曲たち」のパスワードが茂木から発表された。これはこの記事下部の関連リンクからアクセスできる特設サイトにパスワードを入力すると、「没曲たち」にも入らなかった未発表曲2曲が無料でダウンロードできるというもの。企画とパスワードの発表に、フロアからは大きな歓声が沸き起こった。

なお、この日オーディエンスが撮影した写真はそれぞれのブログやTwitterなどで「おまえのうた（注意）」というタイトルで公開されることに。このタイトルは「今日披露された『みんなのうた』はすべてあなたたちの歌、『おまえのうた』なわけですよ」と茂木が決めたもの。当日の様子が気になる人は、ぜひ検索してアクセスしてみよう。

リキッド de ドッキリ 4"ever"
2010年10月23日 LIQUIDROOM ebisu セットリスト

01. 顔
02. Rock'n'Roll 保健室の先生
03. OH! Gメン
04. 誰よりもあなたを
05. リンゴガール
06. 雄と雌の日々
07. 私の恋愛
08. 大丈夫
09. ミドシンを聴きながら
10. それぞれに真実がある
11. 危険な二人
12. おめえだよ
13. 馬鹿兄弟
14. コスモス
15. だまって俺がついて行きます
16. 続・それぞれに真実がある
17. 元祖！鯖
18. I am a mother
19. みんなのうた

EN-01. くたばれ！花粉
EN-02. さらばグッバイ