ライブハウスへの助成金求めるSaveOurSpaceに30万筆「もう一度人が集まれる場所に」

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新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う文化施設閉鎖に向け、国に助成金交付を求める署名運動「SaveOurSpace」が3月27日にスタート。本日3月31日に篠田ミル(yahyel)、スガナミユウ(LIVE HAUS)、Mars89、Licaxxxによる記者会見が行われた。

「SaveOurSpace」記者会見の様子。

「SaveOurSpace」記者会見の様子。

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新型コロナウイルスの影響により、現在ライブハウス、ナイトクラブ、劇場などの文化施設は公演の中止を余儀なくされ、経営の危機に。政府から公演開催の自粛を要請されているが、損失補償が提示されていないために営業を続けざるを得ない店もあり、関係者に大きな被害が発生しているという。そんな中、感染拡大防止に向けて店の営業を停止するため、自粛要請が始まった2月26日から政府が終息を宣言するまでの期間、国に助成金の交付を求める「SaveOurSpace」が始動した。発起人はDJ NOBU、スガナミユウ(LIVE HAUS)、篠田ミル、Lark Chillout、Mars89の5名。坂本龍一倖田來未水原希子ら多くの著名人が賛同を表明している。

篠田ミル(yahyel)

篠田ミル(yahyel)[拡大]

篠田、スガナミ、Mars89、LicaxxxはDOMMUNEでの配信という形で記者会見を開き、マスクを着用して登壇。本日3月31日の時点で30万2千536筆の署名が集まっていることを発表した。篠田は「私たちが求めるのは安心してお店を閉めて自宅で待機するための政府の支援であり、助成金です。我々は主に音楽に関わる職に就く者から構成されています。従って我々に関係の深いスペースに対して補償を求める流れなっていますが、この問題はあらゆるスペースに携わる仕事に関係するものだと考えております」と「SaveOurSpace」の趣旨を説明。続けて「一見すると文化は生活するうえで不可欠でないように思えますが、我々が人間であることを下支えする、人間が人間であるために必要不可欠であるものです。また皆様がご自宅で待機されている期間中も、さまざまな媒体を通してささやかな喜びや束の間の安息をお届けできるのも文化の力だと思っています」と文化の価値を訴えた。

Licaxxx

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東京・下北沢にライブハウス・LIVE HAUSをオープン予定のスガナミは「店を閉じることで職を失ってしまうということがもうすでに起きています。なぜ貯蓄をしてこなかったんだという声もあると思います。それはおっしゃる通りの部分もあると思います。ただイベントの事業は1回コケてしまいますと大きな損害が出てしまいます」と業界内の危機的な状況を告白。またLicaxxxは「ジャンルや規模の大小に関わらず、全アーティストが延期や中止を余儀なくされている状況です。この先、現場で活動する人が困窮する可能性も大いにありますし、私が何より恐れているのはライブハウス自体の経営が立ち行かなくなってしまうことです。この状況が終息したとしても、そういった施設がなくなってしまうことは音楽を愛する者として危機的状況だと感じています」とプロジェクトに賛同した思いを語り、Mars89は「日本では文化や芸術、エンタテインメントは人命に直接関係ないから補償は後回しだろうという声をよく聞きます。でも海外のアーティスト、友人は家にこもる生活の中で映画や音楽、いろんな芸術にすごく救われていると話しています」と芸術の必要性を強調した。

「SaveOurSpace」記者会見の様子。

「SaveOurSpace」記者会見の様子。[拡大]

「SaveOurSpace」の発起人の1人で、先日国会議員に嘆願書を提出したDJ NOBUは千葉の自宅から現場まで移動するリスクを考慮し、会見を欠席してコメントを寄せることに。「私は人生の長い時間をクラブやライブハウスで過ごしてきました。これらの場所が私にとって人生の学び舎でした。こうした場所が存在したからこそ、今の自分があります。極めて厳しい状況に置かれ、苦渋の判断を迫られているたくさんの友人の顔が思い浮かびます。絶望的な気持ちにもなりました。でも自分が行動を起こさなければならないと思い立ち、議員会館に足を運びました」と自身の思いを明かした。さらにマヒトゥ・ザ・ピーポーGEZAN)、SKY-HI、ELLI ARAKAWA、Saori(SEKAI NO OWARI)、AAAMYYYTempalay)、大宮エリー、GEN(04 Limited Sazabys)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)らがインターネット上で発表した賛同の意も会見の中で読み上げられた。

スガナミユウ(LIVE HAUS)

スガナミユウ(LIVE HAUS)[拡大]

会見では事前に寄せられた質問に答える時間も設けられ、「具体的に政府にどのような補償を要求するのか」という問いにはスガナミが「たくさんの声が上がってきたものをまとめて、さまざまなところでさまざまな人が困っているということをまず届けたいと思っています。まず協議してもらう段階に乗せることが大事だと考えています」と回答。篠田は署名を持って政府や行政を訪ねる予定であることを説明し、「国会議員や行政の方々に知見をいただきながら、実行的なパッケージにするにはどうすればいいかということを一緒に相談していければと思っています」と続けた。

Mars89

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また「すでに政府や自治体が行っている支援制度は積極的に共有しないのか」という疑問に対して、スガナミは「我々に当てはまるものがあればどんどんシェアしていきたいと思っているのですが、基本的には貸付という部分が大きく、いつ終息するのか見えない中で、いつまで借りればいいのかわからないという状況があります。そして関わっているすべての人に貸付のお金を行き渡らせるのは困難だと考えています」と返答。署名をした人からの「どういったことを次のアクションとして起こせばいいか」という声には、Mars89が「感染拡大を防ぐために何ができるかを考えていただいて、それと同時に文化を大切にし続けていただければと思っています」と答えた。

そしてスガナミは最後に「みんなで手を取り合えるような方法を模索してただければなと思っています。どの施設に関しても人が集まることで商売ができます。人が集まることでたくさんの芸術が生まれます。その価値をもう1回取り戻したいんです。もう一度人が戻ってこれるようにしたいんです」と胸の内を吐露。「何も努力せずに助成だけ受けたいと思っているわけではありません。来ていただける方や出演していただける方の健康のこと、従業員や自分たちのことを考えて変わっていきたいと思っております。もう一度人が集まれる場所にさせてください。助成をご検討お願いいたします」と呼びかけ、約1時間におよんだ会見を締めくくった。

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