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ハナレグミ、スカパラサウンドに歌声で応えた熱狂のワンマン「THE MOMENT」

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ハナレグミと東京スカパラダイスオーケストラ。(撮影:田中聖太郎)

ハナレグミと東京スカパラダイスオーケストラ。(撮影:田中聖太郎)

ハナレグミが2月7、8日に東京・NHKホールでワンマンライブ「THE MOMENT」を開催した。

「THE MOMENT」は2月7、8日にNHKホール、23日に大阪・オリックス劇場で行われる公演。永積崇がこれまでに積み重ねてきたキャリアの中で“音楽からもらった感動の瞬間”を思い起こし、このツアーで“オーディエンスと音楽を通じた感動の瞬間を共有”すべく、このタイトルが付けられた。これまでの彼のワンマンライブとは趣向を変えた今回の公演は「HORN NIGHT」と称した7日公演に東京スカパラダイスオーケストラを、「STRINGS NIGHT」と称した8、23日公演に鈴木正人率いるバンドと美央ストリングスを迎えた編成で楽曲が披露され、永積は楽曲のアレンジをバンドに任せることでシンガーに徹するというもの。客席を埋め尽くすオーディエンスが永積のボーカリストとしての真価を目の当たりにした熱狂の2日間のうち、この記事では7日の「HORN NIGHT」の模様をレポートする。

「HORN NIGHT」は、この日永積の脇を固めるスカパラによるオープニング演奏で幕を開けた。バンドは「最初から飛ばしていくぜ!」というGAMO(Tenor Sax)の声を合図に「Paradise Has No Border」をプレイして初っ端から観客を総立ち状態にさせる。そしてGAMOによる「このファンキービートに身を委ねたならみんな“フリーダムライダー”だ! 魂を揺さぶる“Primal Dancer”、ハナレグミ永積崇!」という粋な口上に誘われ永積が舞台上に姿を見せると客席からは大きな歓声が。熱狂に迎えられた永積は右手に着けたマイケル・ジャクソンさながらのスパンコール手袋を掲げ、「朝まで楽しんでいこうぜ!」と「Jamaica Song」を披露した。

スカパラが紡ぐ軽やかな裏打ちのリズムに身を委ね、楽しげに歌声を響かせる永積の姿に呼応するように、観客もご機嫌なシンガロングで演奏に参加する。続けてスカパラメンバーがレコーディングに参加した「愛にメロディ」が届けられた際には沖祐市(Key)、加藤隆志(G)、北原雅彦(Tb)といった面々の個性豊かなソロが楽曲を彩り、永積は「この強靭な男たちをバックにしたら、どこまででもいけるぜ……」と笑顔で充実感をにじませた。西田恭蔵「プカプカ」のカバー、ハナレグミがゲストボーカルを務めたスカパラの「太陽と心臓」、ohanaの名曲「オハナレゲエ」と、永積とバンドは序盤から多彩な楽曲の数々でオーディエンスを楽しませ、豊かな表現力で曲の持つ世界を描いていく。永積のまっすぐに響くアカペラから始まった「オハナレゲエ」では、加藤によるエモーショナルなギタープレイがステージを歩きながら訴えかけるように歌う永積の声と絡み合う。優しいながらも熱のこもったセッションに、客席からは大きな喝采が送られた。

スカパラのサウンドが持つ陽のパワーと、永積の包容力豊かな歌声の魅力が存分に発揮されたセクションを駆け抜けると、中盤には永積による弾き語りや少人数編成での演奏がじっくりと披露された。自身の音楽的なルーツを幼少期の思い出話に乗せて聴衆に伝える永積。飾らない言葉で話す数々のエピソードが重なり笑い声が上がるごとに、ステージと客席との距離感は縮まっていく。井上陽水に傾倒していた永積少年が「陽水さんのすぐあとに大好きになった」というマイケル・ジャクソンの「Human Nature」は永積、加藤、茂木欣一(Dr)、大森はじめ(Per)という編成で届けられ、永積と加藤は「年代違いだけど色もおそろい」というビンテージのストラトキャスターを手に、繊細な演奏を聞かせていた。

濃密なセッションの連続にぐっと深まったムードが艷やかに花開いたのは、ORIGINAL LOVE「接吻」のカバーが披露されたとき。この選曲はスカパラいちのロマンチスト・谷中敦(Baritone Sax)発案によるものだといい、スカパラの9人の重ねるスイートなサウンドの上で、永積は妖しくも儚い曲のストーリーを雄弁に描き出した。そして、こののちに初披露という形で届けられたのはハナレグミの新曲「独自のLIFE」。エネルギッシュに弾けるメロディと日々の暮らしを歌う歌詞がダイレクトに聞き手に響くこの曲の間奏では永積のパワフルなラップも展開され、オーディエンスは心地よさそうに体を揺らしながら永積のまた新たな一面を受け止めていた。

ボブ・マーリー「Waiting In Vain」で永積が椅子を相手役に求愛の即興ラップを歌い上げ「“美魔女”な君の気持ちを聞かせて!」と遊び心を思い切り爆発させるとライブも佳境。彼が初めてゲストボーカルとしてスカパラの楽曲に参加した「追憶のライラック」では冒頭のホーンズのテーマで観客が沸き立ち、永積はひと言ひと言を大切に紡ぐように言葉に思いを乗せる。続くフィッシュマンズ「いかれたBaby」では、永積の「フィッシュマンズ、茂木欣一!」という声に応じて茂木も歌声を聞かせた。本編のラストを飾ったのは杏里「オリビアを聴きながら」のカバー。スカアレンジで装いを変えたこの曲の華やかなバンドアンサンブルに場内が高揚感で満たされる中、永積と観客は気持ちよさそうに歌声を響かせる。会場が1つになった大合唱でこの日のライブは締めくくられ、永積とバンドは止まない喝采を弾けるような笑顔で受け止めていた。

なお、NHKホールで行われた「HORN NIGHT」と「STRINGS NIGHT」の模様が、4月にWOWOWでオンエアされることが決定した。日時などの詳細は追って発表となるので、ファンは楽しみにしておこう。

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