予定の開演時刻を少し過ぎた19時2分、ステージを隠す黒い幕にカウントダウンの数字が映し出される。数字が0になる瞬間を迎えると幕が開き、バンドメンバーに続いて岸が勢いよくオーディエンスの前へ。大きな歓声の中「スナイパー」でエネルギッシュにライブをスタートさせた。
1曲目から思い切り観客を煽り、場内の熱を一気に高めた岸は、サビで大合唱を誘った「Friends!!!」を終えると最初のMCへ。この日のために特注で仕立ててもらったというピンク色の華やかな衣装に触れつつ「そんな感じで私26歳になりました!」と告げると、フロアからは「おめでとう!」と大きな声が飛ぶ。続けて披露された「Door」は、岸が会社員時代に作ったという楽曲。岸はギターを手に、この前向きなメッセージソングを晴れやかな声と表情で歌い上げた。
ファンを楽しませるべく半年前からライブの準備を進めてきたという岸が次に用意したのは、アコースティックライブのコーナー。「僕、楽器を持たずに歌うことがあまりないでしょう? シンガーに徹してみようと思います!」と、岸はアコースティックセットのバンドメンバーをバックに「海辺のコンパス」「笑って」を柔らかな歌声で届けた。また2018年発売のアルバム「for you」収録のバースデーソング「Happy Birthday」を演奏する前には「自分に『Happy Birthday』と歌うという、変な感じになりますけども……」と照れくさそうに語ったが、サビで起こった「Happy Birthday」の大合唱には思わず笑顔を浮かべる。アコースティックパートの3曲を終えるなり「アコギが恋しくなっちゃった!」と言った彼は、そののちに弾き語りで「クレセチア」も歌い、ファンを大いに楽しませていた。
ここで岸は突然「真面目にふざけるとはどういうことか、皆さんに見てもらい、最後まで楽しんでもらいたいと思います!」と意味深に言い残してステージを去る。するとステージ奥のスクリーンには牛丼チェーン「吉野家」を舞台にしたカラオケのイメージ映像風の群像劇が。観客が映像に注目していると、岸は吉野家の制服に衣装替えをして姿を見せ、カラオケのモニタを前に「牛丼の歌」を歌い出した。イメージ映像には武田航平、濱正悟、大久保桜子、そして岐洲匠と、岸の仲間たちが続々と登場してファンを沸かせる。しかし、カラオケの採点結果はいまいちふるわず、岸は「一応本人なんだけどな……」と首をかしげながら舞台袖へと消えていった。
白いロングシャツに衣装替えした岸がステージに戻るとライブもクライマックス。岸はバンドメンバーと共に「シズク」「Everybody!!!」で再度盛り上がりを加速させていく。MCでは「牛丼の歌」について「家で作ったんですよ。名古屋のライブで歌ってみたらウケて、『これは本気でやろう』と取り組んだ結果があれでした(笑)」と制作秘話を明かす場面も。そして、本編ラストの曲を前に岸は「最後はタオル回して終わるよ!」とファンに呼びかける。岸の声に応えた観客がフロアにタオル回しの波を発生させてこの日一番の熱気が渦巻く中、岸は「女神サマー」をパワフルに歌い上げてステージをあとにした。
アンコールの前には、場内に映し出されたムービーで岸がミニアルバム「THE ONEMEN'S」を9月25日にリリースすること、収録曲「ごめんね」の作詞をつんく♂(シャ乱Q)、作曲をマシコタツロウが手がけたことなどがアナウンスされた。ファンの前に戻った岸は、ここで師と仰ぐマシコを呼び込み「ごめんね」を初披露。「いい曲でしょう? 今までの岸洋佑っぽくないよね」と観客に語りかけた。そして、アンコールではバンドメンバーが大きなバースデーケーキを岸のもとへ運び、会場全体が「Happy Birthday」の大合唱で誕生日を祝うサプライズも。「ホントにありがとう」と感慨深げな表情で感謝を伝えた岸は「皆さんの想像のはるか上に行けるようにがんばります」と誓い、「僕への挑戦状」でバースデーライブを締めくくった。