昨日12月19日、東京・新木場STUDIO COASTにてライブイベント「[NOiD] FESTIVAL 2018」が開催された。
現在はmurffin discs内のレーベル名として広く知られているが、レーベル設立前の2011年に東京・shibuya eggmanでスタートしたのがライブイベント「[NOiD]」。[NOiD]レーベルのプロデューサーであり、当時はshibuya eggmanのライブハウススタッフであったYUMAが立ち上げた。その拡大版であり新木場STUDIO COASTでの開催は2014年以来、約4年ぶりとなる今回の「[NOiD] FESTIVAL」には、YUMAと親交のある
INSIDE STAGEのトップバッターを務めたENTHは2ビートの「Will」でイベントの幕を開けると、「飛ばしていくぜ! ついてこいよ!」というdaipon(Vo, B)の言葉通り、「ムーンレイカー」「"TH"」といった高速チューンを続けていった。MCでdaiponは過去の「[NOiD]」で怒られたエピソードをユーモアたっぷりに明かし、「この景色を一番見たかったのはYUMAくんだと思う」としみじみと語る。その言葉のあとには、YUMAとの出会いのきっかけになった1stアルバム「Get Started Together」の表題曲がエモーショナルに届けられるなど、3人は「[NOiD]」とのつながりの深さを感じさせるステージを展開した。
TENT STAGEの一番手は[NOiD]レーベルの所属バンド・Amelie。mick(Vo, G, Piano)の「ついに来たぞ[NOiD]フェスー! 今日がやってくることを心の底から楽しみにしてました」という言葉から「朝は来る」で力強くライブを開始した4人は、エッジィな「メグリメグル」や「ゼロじゃない」、ポップで温かな「step!」「honey」という二面性のある楽曲群で観客を惹き付けた。2014年にイベント「[NOiD]」に初めて出演し、そこでレーベルのボスでもあるYUMAに「[NOiD]フェスに出たい」と直談判したという彼女は「4年かかっちまったけど、ずっとずっと夢だったことを叶えることができた。本当にありがとう!」と感謝の思いを表した。
SIX LOUNGEのライブは「くだらない」で幕を開け、リズム隊が織りなすミドルテンポのリズムでじっくりと観客のテンションを引き上げていく。ヤマグチユウモリ(G, Vo)の「沸々と俺の内側の炎が燃えております。全部外側に発散してもいいでしょうか?」という問いかけに、観客は拳を突き上げて応える。その様子を満足げに見渡した彼らは、「僕を撃て」で言葉通りエネルギッシュなパフォーマンスを披露した。またMCでヤマグチは「初めて[NOiD]フェスに呼んでもらいました。今年は[NOiD]にもYUMAさんにもお世話になって。お世話になりっぱなしだったのにまたこんなすごいステージに立たせていただきました……ありがとうございます!」と感謝。終盤、激情的に「トラッシュ」が届けられたのち、彼は「ラストシーン」で伸びやかな歌声を力強く届け、オーディエンスの心を揺さぶって出番を終えた。
リハーサルからパーティムードを漂わせて会場を盛り上げていたのはPOT。よっぴー(Vo, B)が「[NOiD]っしょー!」とイベントの合言葉で改めて気合いを入れ直すと、バンドは「EPIC」や「Hustle Carnival」を続けて観客のテンションを引き上げていった。中盤にはよっぴーが、オープニングアクトとして初めて「[NOiD]」に出演したときのことや、YUMAと少しでも一緒にいたいという一心で毎回朝まで打ち上げに参加していたことなど、[NOiD]やYUMAとの思い出を回想。「どこのバンドよりも楽しむつもりで、このステージ噛み締めてます」と感慨深く語ると、バンドはその後「Sunrise」や「Supra」をエモーショナルに届けた。
Dizzy Sunfistがあやぺた(Vo, G)の「[NOiD]っしょー! かかってこーい!」との叫びから「SHOOTING STAR」を演奏すると、会場全体は一気に沸き立ちダイバーが続出。さらにヘビーかつスリリングな「No Answer」「Life Is A Suspense」を続けた3人は、快活なスカパンクナンバー「SULLEY」でオーディエンスを踊らせた。MCで「ソーラン節」のメロディに乗せた自作の“[NOiD]っしょの歌”を披露したあやぺたは、YUMAを「デモ時代からずっと見ててくれて、全国デビューが決まったときに飲みに連れてってくれました! (レーベルの)[NOiD]からしたら他社のはずなのに、めちゃくちゃうちらを育ててくれて愛してくれてます!」と紹介。「でもうちらもめちゃくちゃYUMAさんと『[NOiD]』を愛してます!」と言葉を重ねると、「The Dream Is Not Dead」を「[NOiD]」に捧げ、観客とのシンガロングによって会場にハッピーな空気を広げた。
先日マツシタジュンジ(B)を正式メンバーに迎え新体制になったばかりのNUBOは、勇ましい「インソムニア」や、メンバー自ら「カッコよくない?」と胸を張った新曲(タイトル未定)などを盤石なアンサンブルで届けていく。「Shadow and wall」ではアウトロでtommy(Vo)が「[NOiD]、YUMA、みんな、これからも強く生きよう」とラップで語りかけ、フロアに大きなサークルができた「Circle」では一成(Vo)がステージ後方に掲げられた「[NOiD]」のバックドロップを指差しながら歌唱するなど、5人は隅々まで「[NOiD]」への思いをにじませ、場内を温かなムードで満たした。
YUMAのリクエスト曲だという「Buster call」でライブを始めた04 Limited Sazabysは、ヘビーな「fiction」「Alien」で冒頭から激しいパフォーマンスを見せて観客の熱狂を誘う。「やっぱ[NOiD]っしょー!」というRYU-TA(G, Cho)の叫びに続き、GEN(B, Vo)は「YUMAと、[NOiD]と、出会って何年経ったかわからないけど、[NOiD]とは縁もゆかりもたっぷりありまして」と説明し、「今の04 Limited Sazabysの強さ、たくましさ、潔さを感じてください」と古くから付き合いのある先輩や仲間も多く出演しているこのイベントで、今のフォーリミのモードを見せていくことを宣言する。その言葉通り4人は最新アルバムより「Kitchen」「Galapagos」「Squall」と個性豊かな楽曲群を畳みかけていった。そしてこの日最後のナンバー「message」を終えるも、GENの「あと2分残ってるんで!」との言葉から、かつての「[NOiD]」で演奏していたファストチューン「Remember」をドロップするという粋な計らいで出番を締めくくった。
TENT STAGEのトリを飾ったHOTSQUALLは序盤から「Yuriah」「Won't let you down」といった人気曲をエネルギッシュにプレイ。アカマトシノリ(Vo, B)が「俺たちが鳴らしてきたパンクロックでお前らを肯定してやる! 俺たちに会いに来い!」と焚き付けるとオーディエンスはひっきりなしにクラウドサーフを繰り返し、テントの中はさながらライブハウスのような熱気を帯びた。「Darlin' Darlin'」の演奏前にはアカマが「[NOiD]フェスは好きかー?」と観客に問いかけ、フロアから同意の声が上がる。すると彼は「その気持ちでこのテントを包み込みましょう」と優しい表情を見せて演奏へ。観客は手でハートマークを作り、バンドと共に盛大なシンガロングを響かせた。
イベントの最後にINSIDE STAGEに登場したのは、[NOiD]レーベル所属のSUPER BEAVER。彼らは[NOiD]の第1弾作品として2014年にリリースされたアルバムより、インスト「→」から表題曲の「361°」へとつなげ、開放的なサウンドに乗せて渋谷龍太(Vo)の歌を届けていく。渋谷は[NOiD]レーベルに所属する自分たちと、イベント「[NOiD]」のつながりについて「俺たちがポッと出させてもらって、なぜか一番最初のバンドになりました。“永井優馬”はその頃ただのライブハウスのブッキング、俺たちはメジャーから落っこちたバンド。そんな同い年が手を組んで何ができるんだって言われた日もあった。でも、悔しい、負けたくないって日々がこの景色を作ってるんだと思うと、俺はめちゃくちゃうれしいです」と述べ、「[NOiD]レーベルの看板背負って、このあとやらせていただきます!」と胸を張る。4人は柳沢亮太(G)の鋭いギターリフがループする「正攻法」、渋谷がマイクスタンドを握り熱く歌い上げた「閃光」でフロアを揺らし、「秘密」では観客と何度も何度も声をそろえて会場に一体感を作り上げていく。「今日じゃなきゃできない歌があるんだ。知らないかもしれないけど、受け止めて帰ってくれ」との渋谷の言葉から届けられたのは、メジャー時代の楽曲「home」。温かなサウンドに寄り添いながらじっくりと歌い上げた彼は「この歌を作った8年ぐらい前、こんな景色が待ってるなんて思ってなかったんだ。目の前にあなたがいてとってもうれしいです。[NOiD]からやってきました、SUPER BEAVERでした。ありがとうございました」とオーディエンスに感謝した。
アンコールで渋谷は「『楽しかった』っていう感想が最初に出てくるこの日は、素晴らしいなと思います」と自身も客席側で見届けたこの日のイベントを振り返ったのち、肉声で「またライブハウスで会いましょう!」と観客に呼びかける。SUPER BEAVERは最後に「ありがとう」で客席に大きなシンガロングを起こし、「[NOiD] FESTIVAL 2018」を大団円へと導いた。
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