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℃-ute解散から9カ月を経て、ソロで再スタートを切った鈴木。3月26日から4月1日にかけて東京・COTTON CLUBで行われたソロライブ第1弾「鈴木愛理 1st LIVE ~Do me a favor @ COTTON CLUB~」では映像とリンクしたキレのあるダンスパフォーマンスで観客を魅了した彼女だが、ライブハウスを舞台にした公演ではバックバンドの生演奏に乗せて遊び心あふれるステージを展開した。鈴木はソロ活動を始めるにあたり「アイドルとして活動してきた自分を肯定しながら新しいことにチャレンジする」というテーマを掲げており、今回の趣の異なる2公演では、℃-uteで培ったダンスパフォーマンスと、Buono!で体験したバンドとの融合を、それぞれ発展させた形で表現したかったという。
Zepp Tokyo公演は、6月6日にリリースされる1stソロアルバム「Do me a favor」に収録されるロックナンバー「未完成ガール」で幕を開けた。オープニングムービーが流れたあと、紗幕の向こうにはギターを抱えた鈴木のシルエットが。鈴木はギターをかき鳴らしながら熱唱し、同じく1stソロアルバムからの楽曲「Candy Box」ではリズムに乗せたハンドクラップで観客を煽る。「Do me a favor」収録曲は今回のライブが初披露ながら、観客はすぐに対応してコールや掛け声を合わせた。Buono!時代の楽曲「キライスキダイキライ」まで3曲を連続で披露したところで、鈴木は改めて会場のファンに挨拶。「愛理ー!」という声援に「愛理でーす」とフランクに応えるなど、観客との距離が近いライブハウスならではのアットホームな雰囲気を楽しみながら、鈴木は「今日は帰る力のみを残して、完全燃焼して帰ってください!」と呼びかけた。
続いて披露されたのは、仕事をがんばるサラリーマンを応援する歌謡曲テイストのロックナンバー「いいんじゃない」。さらに℃-ute時代のソロ曲「嗚呼 恋」、Buono!の「うらはら」と、鈴木はマイナーコードの楽曲を3曲並べて艶やかに歌い上げた。次のブロックではバンドメンバーのイッフィーこと伊平友樹(G)、アミ様こと亜美(Cho)、エミチョロリンことにしのえみ(Key)、サッシこと加藤聡(Dr)、バンマスのマー君こと宮本將行(B)が担当楽器を持ち替えてのアコースティックコーナーへ。5人は大太鼓、小太鼓、ピアニカ、カズーなどを使って楽しく演奏し、鈴木もトイピアノを弾いたりバケツを叩いたりと大忙し。「アルプス一万尺」では観客にも手遊びを要求し、フリーダムな空気を作り上げた。さらに鈴木は「遊び心のある曲を」と、左利きの弟と焼肉を食べた際に利き腕のせいでヒジがぶつかったことから「これが好きな人だったら……」と妄想を膨らませ歌詞にしたという未発表曲「私の右側」を披露。ステージには焼肉屋のセットが組まれ、カメラ目線で歌う鈴木の姿がステージ背面のスクリーンに大写しになると、あたかも鈴木とデートしているかのような映像に大きな歓声が上がった。
歌い終えた鈴木が歌詞について話していると、焼肉屋の店員に扮していた亜美が突然「お客様、今日は特別にデザートをご用意しております」と告げ、ステージにイチゴをたっぷりと乗せたケーキが運び込まれた。ライブ2日後の4月12日に24歳の誕生日を迎える鈴木へのサプライズ演出だ。バンドメンバーと観客から盛大な祝福を受けた鈴木は「そう、今日は23歳最後のライブなんです。23歳は今までやってきたことに1つずつ終止符を打ってきて、後半は水面下でいろいろ勉強してきたので……今年はそれを全面的に開花させる年にしたいです」と24歳の抱負を語った。
サプライズを挟んでのライブ後半戦は、先の「私の右側」を作曲したシンガーソングライター山崎あおいがアルバムのために書き下ろした優しいラブソング「君の好きなひと」からスタート。次の「#DMAF」は鈴木がソロの準備を水面下で進めている際に感じたファンへの感謝の思いを自ら歌詞にした楽曲で、タイトルはアルバム「Do me a favor」の頭文字を取ったものだが、鈴木の中では「どうもありがとう、ファンのみんな」という意味も含まれているという。「No Live, No Life」は今回のバンド編成ライブに合わせて作られたアルバム未収録曲で、鈴木はライブを盛り上げるため事前にYouTubeで“YouTuberあいり”として教則動画を公開していた。予習の甲斐もあり、コール&レスポンスの息はぴったり。一体感を作り上げた鈴木は、赤い公園とのコラボ曲「光の方へ」、Buono!楽曲「ソラシド~ねえねえ~」「ロッタラ ロッタラ」「Independent Girl~独立女子であるために」、℃-ute楽曲「As ONE」と続け、最後はSCANDALとのコラボ曲「STORY」で締めくくられた。
盛大な「愛理!」コールを受けた鈴木は再びステージに上がり、アカペラで歌い始めると大歓声が上がる。さまざまなアイドルがカバーするBuono!のキラーチューン「初恋サイダー」だ。熱狂的なコールを受けた鈴木は、ライブ本編で歌った「No Live, No Life」に改めて触れ「私はアイドル側として15年間やってきたけど、℃-uteが解散したあと、自分でチケットを買ったり、真夏にグッズ列に並んだり、ペンライトの点灯確認とかを体験したうえで、ファンのみんなの気持ちに立って歌詞を書きたいと思ったんです。『初恋サイダー』はいろんなアイドルがカバーしてくれているけど、『No Live, No Life』もそういう曲になってほしいなと思ってるんです」と思いを語った。鈴木はさらにもう2曲、℃-ute時代のソロナンバー「Yes! all my family」「通学ベクトル」を披露。充実の表情を浮かべながら、鈴木は「やっぱり私の人生には音楽がないとダメだと実感しましたし、その音楽をこうやって大好きな皆さんと同じ空間で楽しみたいと改めて思いました。これかも皆さん、鈴木愛理と共に歴史を作っていこうじゃないか!」と笑顔でステージをあとにした。
6月6日にリリースされる鈴木の1stソロアルバム「Do me a favor」には、ダンススタイルとバンドスタイル、2種類の1stライブで披露された15曲を収録。鈴木はこのあと4月24日から4月29日まで、再びCOTTON CLUBでダンススタイルの公演に挑み、7月9日には東京・日本武道館でワンマンライブ「鈴木愛理 1st LIVE ~Do me a favor @ 日本武道館~」を行う。