「初音ミクシンフォニー2017」東京公演終幕、ピックアップコーナーはナユタン星人

Vocaloid楽曲をオーケストラで奏でるコンサート「初音ミクシンフォニー2017」の東京公演が昨日11月29日に東京・東京国際フォーラム ホールAで開催された。

満員のホールにまず初めに響いたのは、Mitchie Mが作詞作曲した「未来序曲」。もともと昨年開催された「初音ミクシンフォニー」のテーマソングとして制作された曲を今年フルバージョンとして進化させたもので、名曲のタイトルを歌詞に散りばめた、ボカロシーンへのリスペクトにあふれる楽曲だ。ステージ上のスクリーンでは、KEIがメインビジュアルとして描き下ろしたドレス姿のミクがバイオリンを片手に歌い、オープニングに華を添えた。

興奮が冷めやらない中で続いて演奏されたのは、壮大なオーケストラサウンドにアレンジされた黒うさPの「千本桜」。曲が終わるとスクリーンに初音ミクが登場し、今年で10周年を迎えたことに対する感謝を伝えると共に、楽団と指揮者の栗田博文を紹介した。今年は主役であるミクが進行を務めたこともあり、観客のコンサートへの没入感は昨年を上回った。cosMo@暴走Pの「初音ミクの消失」「初音ミクの激唱」を続けて演奏したのち楽団は、初音ミクと同じく今年で10周年を迎える鏡音リン・レンの楽曲をメドレーで披露。iroha「炉心融解」、トラボルタ「ココロ」、mothy_悪ノP「悪ノ娘」「悪ノ召使」、Neru「ロストワンの号哭」を次々につなぎ、大阪公演での演奏をMitchie Mも絶賛していたひとしずく×やま△「四季折の羽」、会場を一気に夏の夜に変えるhalyosyの「Fire◎Flower」でアニバーサーリーイヤーを祝った。

昨年に引き続き設けられた「SEGA Project DIVAコーナー」ではryo（supercell）の人気曲「ODDS & ENDS」「メルト」が取り上げられた。そして休憩前のラストを飾ったのは、DECO*27のヒット曲「ゴーストルール」。原曲のとがった魅力を生かしつつ、心地いいハーモニーで観衆の心を揺さぶった。スクリーンにクリエイターからのアニバーサリーメッセージが流れた休憩時間を経て、初音ミク、鏡音リン・レンのそれぞれのキャラクターボイスを担当した藤田咲と下田麻美のビデオメッセージが流れたあと、コンサートは後半戦に突入。小編成でかわいらしくアレンジされたikaの「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」やdaniwellPの「Ievan Polkka」「Nyan Cat」、ワンカップPの「子猫のパヤパヤ」がメドレーで披露され、曲に合わせてペンライトが揺れた。

その後、「初音ミク and Future Stars Project mirai」の公式キャラクターであるミクダヨーがサプライズで登場。「ナユタン星人です。今日はミクダヨーの体を乗っ取って来ました」と言って会場を盛り上げた。その流れから楽団は、事前にアナウンスされていなかった「ボカロPピックアップコーナー」でナユタン星人の「アンドロメダアンドロメダ」「ダンスロボットダンス」「リバースユニバース」「エイリアンエイリアン」の4曲を演奏。司会の初音ミクがスクリーンに登場し、改めて10周年の感謝の思いを伝えたのち、dorikoの「歌に形はないけれど」が披露された。そして本編最後にコーラス隊も交えてhalyosy「Connecting」が演奏され、観客はじっと聴き入っていた。

鳴り止まない拍手に応えてアンコールが始まると、デッドボールPがスクリーンに登場。彼は初音ミクと野球拳を繰り広げて観客を笑わせた。ここからデッドボールP「脱げばいいってモンじゃない！」、ラマーズP「ぽっぴっぽー」、samfree「ルカルカ☆ナイトフィーバー」といった盛り上がり必至の楽曲をメドレーでつなぎ、楽団はミク目線のメッセージソングであるmalo「ハジメテノオト」をしっとりと聴かせる。アンコールのラストを飾ったのはhalyosyの「桜ノ雨」。卒業ソングの定番として吹奏楽譜もリリースされている名曲を、日本最高峰のオーケストラで聴くという贅沢な体験に、客席ではスタンディングオベーションが起こった。

なお「初音ミクシンフォニー2017」のメインビジュアルが、グッドスマイルカンパニーよりスケールフィギュア化されることが決定した。この詳細は後日発表される。

※記事初出時、セットリストの一部表記に誤りがありました。訂正してお詫びします。