スカート×ミツメ×トリプルファイヤー、三者三様のスキルアップ見せつけた「月光密造の夜」

5月2日に東京・東京キネマ倶楽部でスカート、ミツメ、トリプルファイヤーによるライブイベント「第六回 月光密造の夜」が行われた。

東京での開催はおよそ2年ぶりとなった「月光密造の夜」。“東京インディー三銃士”として知られる3組が久々に会するイベントということもあり、会場には大勢のファンが集まった。

イベントのトップバッターを務めたのはトリプルファイヤー。ゆらゆらと階段を降りてメインステージに降り立った吉田靖直（Vo）は、「えー、『月光密造の夜』にようこそ」と短く挨拶し「SEXはダサい」でライブを開始する。タイトな演奏に乗った吉田のボーカルが不可思議なムードを醸し出す「次やったら殴る」や、絶妙なアンサンブルで観客を揺らした「Jimi Hendrix Experience」を経て、彼らはミツメの「三角定規△」をカバー。伸びやかな歌声を届けた吉田は「ミツメの曲、いいよね。歌ってるときは頭蓋骨に響くのですごくうまく聴こえるんですよ。録音したやつ聴くと毎回びっくりする」と話し観客を笑わせた。ライブ後半、彼らは「スキルアップ」「野球選手になるために」を畳みかけて場内の熱気を一気に高める。その勢いのまま披露した「カモン」で吉田は「斜に構えるとかそういうのは置いといて、声出せ！ みんなー！」とゆるい手振りで執拗に観客を煽り続け、不思議な高揚感を生み出していた。

2組目のミツメは「Disco」を皮切りに、川辺素（Vo, G）のまっすぐな歌声と盤石なバンドアンサンブルで観客を魅了していく。グルーヴィなベースラインが心地よい「Alaska」や一体感ある演奏を見せつけた「忘れる」に加え、この日ミツメは新曲もプレイ。観客はメンバーのコーラスワークが映えるミディアムナンバーに聴き入っていた。またライブ中盤、彼らはスカート「どうしてこんなに晴れているのに」、トリプルファイヤー「次やったら殴る」のカバーも披露する。「次やったら殴る」ではnakayaan（B）がボーカルを取り、殺気迫るパフォーマンスで観客を圧倒した。「今日はありがとうございました。今後もやっていきたいと思ってるんで、よろしくお願いします」と川辺が挨拶したあと、彼らは最後に「三角定規△」で深い余韻を残してステージをあとにした。

トリを飾るスカートのサウンドが場内に響きわたると、会場は一気に色めき立つ。「返信」「いい夜」とアッパーな楽曲を続けたあと、澤部渡は「『月光密造の夜』はスカートの企画として始めて、2008年頃に江古田のプログレ喫茶でやったのが最初かな。それで5年くらい前にこの3組でやったら、すごくうまくハマって」と振り返る。また彼は現在アルバム制作の真っ只中であることを明かすと、新曲を次々と披露。軽やかなパーカッションのリズムが心地よい開放感あふれるナンバーや、目まぐるしい展開のロックナンバーを一糸乱れぬ演奏で披露していく。演奏を終えた彼は「なんかけっこういい曲できたなー。5つ星なら星4.5くらい」と自画自賛してみせ観客を和ませた。ライブ後半、彼は「僕のギターヒーローです」と鳥居真道（G / トリプルファイヤー）をステージに呼び込み「CALL」をプレイ。切ないメロディで空気を一変させたあと、「静かな夜がいい」で本編を締めくくった。

アンコールを受けてスカートは再びステージへ。彼は川辺素と共にミツメの楽曲「Disco」を歌唱し、観客を大いに喜ばせる。川辺が去ると、続いてステージには吉田靖直が登場。彼らがラストナンバーとして届けたのはトリプルファイヤーの「スキルアップ」。2人はパーカッションやキーボードも加わったダイナミックなサウンドに乗せて「ありがとうございます！」と連呼し、大盛り上がりの中「月光密造の夜」の幕を閉じた。