plenty、深秋の野音に響かせた贅沢なアンサンブル

plentyが10月31日に東京・日比谷野外大音楽堂にて2015年唯一の単独公演を行った。

事前にアナウンスされていた通り、この日のライブにはsebuhiroko（Piano）、山本拓夫（Sax）、村田陽一（Trombone）、西村浩二（Trumpet）というゲストミュージシャンが参加した。すっかり日も暮れ、ひやりとした空気が漂う中でライブの幕が上がる。スモークに覆われたステージに現れたメンバーは一度向かい合うと、オープニングナンバーとして「プレイヤー」を届けた。どこかあどけない雰囲気の江沼郁弥（Vo, G）の歌声がオーディエンスを魅了していく。その後も3人は、お互いの音を確かめるように丁寧に音を重ねた。

序盤のハイライトとなったのは、sebuhirokoとのセッションを繰り広げたブロック。中村一太（Dr）が刻む複雑なリズムの上に、江沼が朗らかな歌声が重ねた「心には風が吹き 新しい朝をみたんだ」を皮切りに、江沼のハイトーンボイスとsebuhirokoが奏でるピアノが絡んだ「よい朝を、いとしいひと」、柔らかな音色が響いた「人との距離のはかりかた」が続けてプレイされた。

「あいという」「ドーナツの真ん中」を届けたあとは、ホーン隊の3人を迎えてのコーナーへ。黒いスーツで決めた山本、村田、西村が現れるとステージの空気が変わる。江沼は「ホントにすごいんですよ。一緒にやれるのが不思議なくらいなんで」と3人を紹介すると、「体温」から5人でのセッションを始めた。低く艶のある管楽器の音色とバンドサウンドが溶け合い、オーディエンスを惹きつけていく。一転して、赤く禍々しい照明がステージを染める中で始まった「或る話」では、骨太でダイナミックなアンサンブルが夜空に響きわたった。

ホーン隊を送り出したあとは「先生のススメ」「待ち合わせの途中」といった新旧のナンバーが、3人のストイックなプレイとともに披露されていく。その後のMCで江沼は「気持ちいいです。ありがとうございます」と感情を爆発させるように叫び、新田紀彰（B）は「ありがとうございます。天気がよくてよかったですね」と穏やかに口にする。中村は「今年はずっと制作してて。plentyのためにこれだけ人が来てくれてうれしいです」とはにかんだ。そして再びsebuhirokoが呼び込まれ、ライブは終盤戦へ。「さよならより、優しいことば」ではリバーブがかかった江沼の歌声が幻想的な空気を紡ぎ出し、「よろこびの吟」や「愛のかたち」では高揚感のあるアンサンブルが響いた。

アンコールの声に応えて再びステージに現れたメンバーはsebuhirokoを交え、「somewhere」を披露する。そして江沼の「今度は全員攻撃でいきたいと思います」という言葉からホーン隊の3人が合流し、豪華な編成で「ETERNAL」「傾いた空」をパフォーマンスした。そして、ゲストミュージシャンとの余韻を残したまま、ラストナンバーとして披露されたのは3人だけによる「蒼き日々」。メンバーは勢いに満ちたバンドサウンドを全力で奏で、2時間にわたったライブに幕を下ろした。

plenty 「plenty 2015年 秋 ワンマンライブ」
2015年10月31日 日比谷野外大音楽堂 セットリスト

01. プレイヤー
02. ボクのために歌う吟
03. 子どものように
04. above
05. 心には風が吹き 新しい朝をみたんだ
06. よい朝を、いとしいひと
07. 人との距離のはかりかた
08. あいという
09. ドーナツの真ん中
10. 体温
11. 或る話
12. 先生のススメ
13. 待ち合わせの途中
14. 枠
15. 最近どうなの?
16. さよならより、優しいことば
17. よろこびの吟
18. 愛のかたち
＜アンコール＞
19. somewhere
20. ETERNAL
21. 傾いた空
22. 蒼き日々