唐田えりか

俳優デビュー10周年記念インタビュー 第3回 [バックナンバー]

唐田えりかインタビュー |「人のために本気で生きてみよう」自分の心と向き合った役者が再び羽ばたくまで

濱口竜介との出会い、「もうクビにしてください」と伝えた休業期間、人生を懸けて臨んだ「極悪女王」

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人生を懸けて臨んだ「極悪女王」

──2021年9月に短編映画「something in the air」で俳優業に復帰し、その後は多数の映画・ドラマに出演しています。2024年9月に配信されたNetflixシリーズ「極悪女王」の長与千種役は大きな話題を呼びました。

オーディションにも強い思いで臨んだのを覚えています。受かったとしても、どのレスラーを演じられるかはわからなかったんですが、私は最初から長与千種役をやりたいと思っていたので、選んでいただいて本当にうれしかったです。

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──なぜ長与さんを演じたかったんですか?

長与さんのいろんなインタビューを読んで、壮絶な人生を歩んできたことを知ったのですが、生きるためには強くなるしかなかったんだろうなって。長与さんと私の人生はもちろん違うけれど、休業していたときのリアルな感情がこの役には全部生かせると思いました。体重を10kg増やして、坊主にする必要もあったので、会社からはオーディションを受けないほうがいいんじゃないかという意見も出たんですが、初めて社長に「このオーディションを受けさせてください」とお願いしました。この役には絶対に私の感情を生かすことができますと伝えたら、「行っておいで」と。

──会社の方針もあると思いますが、社長は唐田さんの意思を尊重したんですね。

今も感謝しています。本当に人生を懸けて臨んだ作品で、プロレスの技を受けて痛いこともあったんですが、そんなことはまったく気にならなかった。坊主にすることにも1mmも抵抗がなかったです。

唐田えりか

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今でも思い出す「ナミビアの砂漠」のセリフ

──2024年9月には山中瑶子監督の「ナミビアの砂漠」も公開されました。唐田さん演じる遠山ひかりの登場シーンは多くないですが、すごく印象に残っています。

不思議な役柄でしたね。私自身も「あの役ってなんだったんだろう」と思いますし、説明できないからこそ演じるのが楽しかったです。山中さんは私の1つ上で、スタッフも若い方々が多くて刺激的でした。

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──河合優実さん演じるカナに、ひかりが「1年後には忘れてるとは言わなくても、3年後にはほとんど思い出すこともなくなって、100年後には全員死んでるでしょ」と言うシーンもあります。

映画の公開後に山中さんから「このセリフを唐田さんが言っていることに意味を見出している人が多くて、変な気持ちにさせてしまっていたら申し訳ないです」と言われたんですが、私自身は全然意識していなくて、すごくいいセリフだなと思っていました。物事をフラットに考えさせてくれる言葉で、今でも思い出すことがあります。

──「100年後には全員死んでるでしょ」という言葉は、嫌な仕事が控えているときに効きそうです。

そうですよね(笑)。ちょっと笑っちゃうと言うか、そういうマインドでもいいんだと思わせてくれる。山中さんのユーモアと、いろんなことを俯瞰して見ている目線が感じられて好きです。

「Page30」で演じることが心から楽しくなった

──2025年の作品からは堤幸彦監督の「Page30」と、横浜聡子監督の「海辺へ行く道」を10大トピックに選んでいただきました。

堤さんの作品は子供の頃から観ていて、どういうふうに映画を撮るんだろうとワクワクしていたんですが、ものすごい量のセリフがある大変な役でした(笑)。でも自分の全力をぶつけてみたいというポジティブな感情があって、1つも苦労してないぞ、膨大なセリフを覚えるなんて当たり前だという“やってやる精神”で臨みました。林田麻里さん、広山詞葉さん、MAAKIIIさんとのお芝居合戦でもあって、それぞれが自分を全部さらけ出さないといけない作品だったので楽しかったです。お芝居で“真面目に遊べた”のは「Page30」が初めてで、演じることが心から楽しくなったのはこの映画からかもしれません。

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──「海辺へ行く道」にはどんな思い出がありますか?

街中を自転車で移動するヨーコを演じたんですが、自分が持っている要素をお芝居の中で大きくしたり、小さくしたりすることができた気がします。自分の表現で遊べたと言いますか。あとは中学生のときに「ソラニン」を観てから、高良健吾さんのお芝居が好きなんです。「海辺へ行く道」の台本で高良さんと私の名前が並んでいるのを見たときは、まさかこんな日が来るなんて思っていなかったので泣いちゃいました。よくも悪くもこの世界に慣れてしまった中で、自分にもまだこういう気持ちが残っていたんだとしみじみしましたね。

イベントレポート
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自分で自分を超えられる人であり続けたい

──放送時期はまだ未定ですが、「101回目のプロポーズ」の続編である「102回目のプロポーズ」に出演することも発表されています。「極悪女王」と同じく、鈴木おさむさんが企画したドラマです。

おさむさんとは2018年の映画「ラブ×ドック」で初めてご一緒しました。「極悪女王」のオーディションで「久しぶりだね」とお話ししてくださって、撮影が終わったときに「『極悪』とはまったく違う役柄でオファーをするから、そのときはよろしくお願いします」と言っていただきました。

──霜降り明星せいやさんとの共演はいかがですか?

芸人さんで言うと、「極悪女王」でゆりやん(レトリィバァ)さんやマリーマリーのえびちゃん、「死に損なった男」で空気階段の水川かたまりさんとご一緒したんですけど、芸人さんって本当にみんな素敵です。せいやさんを見ているとゆりやんさんを思い出すことがあって、人を笑わせるためにはこういう立ち居振る舞いをすればいいとか、求められているシーンを撮るためにはこういう動きが必要ということを瞬時に判断できるんです。韓国に行っていろいろ学んでいるときに感じたんですが、いいお芝居をするために大切なのはやっぱり人間性。純粋な心を持っているせいやさんだからこそ、お芝居がまっすぐ人に届くんだなと現場で実感しています。

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──どんなドラマになっているのか想像が付かないですが、すごく楽しみです。そして2026年1月には「恋愛裁判」が公開されます。

深田(晃司)監督の「淵に立つ」がすごく好きで、深田さんとご一緒するのは20歳のときに決めた目標の1つでした。念願の出演だったので、現場の私は多幸感にあふれていたと思います(笑)。

──芸能事務所のチーフマネージャー役で出演されています。

撮影では、齊藤京子ちゃん演じる山岡真衣を後ろから見ていることが多かったです。「恋愛裁判」に出演する前も、マネージャーさんという立場の気持ちをわかっているつもりだったんですが、わかっていなかったことに気付かされました。把握はしていたけど、理解はできていなかったんです。10代のときから一緒に歩んできたマネージャーさんがいて、厳しいことを言われたときは「なんでそんなこと言うの?」とショックを受けたこともあるんですが、言いたくて言ったわけじゃなかったんだなって。お仕事のパートナーとして、意地悪ではなく私のために言ってくれたということが今はわかります。

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──役者として、そして1人の人間としての成長が感じられる、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。この10年でもっとも影響を受けた人を1人挙げるとしたら誰ですか?

うーん……やっぱり濱口監督かな。あんなに真剣に人と向き合っている方とは会ったことがないですし、かっこいい生き方というものを教わった気がします。

──最後に、今後についても聞かせてください。

今はお仕事がすごく楽しいんですが、なぜこんなに楽しめているのかというと、たぶん苦手なことに挑戦できているからです。苦労なくできることの中から見出だせることって、そんなにない気がしていて。チャレンジだからこそ緊張するし、不安になるし、楽しいと思える。その感覚を大切に、自分で自分を超えられる人であり続けたいです。

唐田えりか

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唐田えりか(カラタエリカ)プロフィール

1997年9月19日生まれ、千葉県出身。2015年に俳優デビューを果たす。その後、ドラマ「こえ恋」「トドメの接吻」「覚悟はいいかそこの女子。」などに出演。オーディションでヒロインに抜擢された2018年公開作「寝ても覚めても」では、第42回山路ふみ子映画賞の新人女優賞、第40回ヨコハマ映画祭の新人賞に輝き大きな注目を集めた。そのほか出演作に映画「ナミビアの砂漠」「死に損なった男」「Page30」「海辺へ行く道」「アフター・ザ・クエイク」、Netflixシリーズ「極悪女王」「グラスハート」など。ドラマ「102回目のプロポーズ」(放送日未定)では霜降り明星のせいや、伊藤健太郎、武田鉄矢と共演。2026年1月23日公開の「恋愛裁判」には、芸能事務所のチーフマネージャー・矢吹早耶役で出演する。

<衣装協力>
・ベスト 6万9300円
・シャツ 6万9300円
・パンツ 4万8400円
BED j.w. FORD / ベッドフォード
問い合わせ先:BIRTHLY / バースリー(03-6432-9313)

・ブーツ 7万1500円
ASH / アッシュ
問い合わせ先:ASH JAPAN(03-3843-8845)

・イヤリング 1万5000円
AFEECT / アフェクト
問い合わせ先:ラッキーアンドカンパニー(055-237-7272)

・ネックレス 12万3200円
・リング(右手中指)2万9700円
・リング(左手人差し指)3万7400円
・リング(左手中指)4万1800円
e.m. / イー・エム
問い合わせ先:e.m.青山店 / イー・エム アオヤマ(03-6712-6797)

※すべて税込価格

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荒川直人 @nao_arakawa

良い記事だと思うけれど、押井守監督『血ぃともだち』(2022)のことはどうなのよ、と小一時間問い詰めたくもなる。コロナ禍やNiziU加入後のニナ(牧野仁菜)の影響も大きく、いわゆる映画の神様に見放されたような不運な一作だが、意外と可愛らしい小品に仕上がっており、個人的にもキライじゃない。 https://t.co/QvHmhFUptW https://t.co/rdV8KnRj27

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