毎年9月9日を“9mmの日”と称し、ライブを行ってきた彼ら。今年は日本武道館が会場として選ばれ、2009年9月9日と9並びであることから「999(アット ブドウカン)」と冠したライブが敢行された。
現在の彼らの人気の高さを証明するように、チケットは即日完売。2階最上段席までみっちりと埋め尽くされた会場は、開演前から約1万1000人の観客の熱気で充満した。また、特別なライブということで、ステージセットもいつもより凝った形に。ステージ後方の幕とステージの床には「999」の数字が描かれ、ドラムセットの両脇には複数のアンプを連ねたアンプの壁を配置。さながら要塞のような雰囲気を醸し出していた。
そして、19時9分過ぎに突然客電が落ちライブがスタート。いつものようにATARI TEENAGE RIOTの「Digital Hardcore」が爆音でスピーカーから流れ出すと、地鳴りのような歓声と悲鳴が会場に響きわたる。その声に応えるように、両手を挙げながらメンバーがステージに登場。菅原卓郎(Vo,G)は定位置に付くと、オーディエンスに向かってうやうやしくお辞儀をした。
すでに狂騒状態の観客のために、4人が1曲目として鳴らしたのは「(teenage)Disaster」。曲の始まりを告げるドラをかみじょうちひろ(Dr)が全力で鳴らすと、爆発音とともに「999」の幕が落ちバンド名が描かれた巨大なフラッグが姿を現す。1曲目を終えると菅原は「武道館!!」と咆哮し会場を挑発。続いて「Mr.Suicide」「Termination」「Trigger」と激しいナンバーを連発した。「Termination」で滝善充(G)はステージで寝っ転がりながらギターをかき鳴らし、中村和彦(B)は会場を煽るようなアクションを見せる。「Trigger」では、赤い照明が楽曲の持つ危険な匂いに拍車をかけ、菅原の艶気のあるボーカルを引き立てた。
1回目のMCで「今日は長いからのんびり楽しんでください」と語った菅原。しかし、その言葉を裏切るように演奏されたのは「We are Innocent」「Psychopolis」「Hide & Seek」といった超高速ナンバーたち。「Hide & Seek」ではかみじょうの重厚なリズムをバックに、中村のデス声が会場を震わせる。矢継ぎ早に繰り出される音は熱狂を加速させ、場内はライブ序盤にして観客の熱気と汗で霧状の空気に包まれた。
「みんな慣れてきた? ライブハウス武道館に」と氷室京介の名言を引用した挨拶から始まった2度目のMC。菅原は終演後に配られるシークレットシングルのことをユーモアを交えながら紹介すると「今日は出し惜しみしないようにやるから」と語り新曲「Cold Edge」を初披露した。青い照明がステージを覆う中で演奏されたこの曲は、9mmらしい爆音の中に美しい旋律が光るナンバー。滝はドライブ感あるギターリフを奏で、中村とかみじょうは屈強なリズムを叩きつけドラマチックなメロディを彩っていった。
中村のうねるようなベースと菅原の切なげな歌声が会場をクールダウンさせた「atmosphere」の後は、再びMCコーナーに。エレキギターからアコギに持ち替えた菅原は、昨年10月に行われた日比谷野外大音楽堂でのライブでアコギを弾いていた曲でまったく音が出ていなかったことを告白。「でも、滝のお父さんに聴こえてたらしいです。親の愛だね。俺のギターだけどさ(笑)」と呟き笑わせた。そして再び「のんびりした感じで行こうか?」と語りかけると、軽やかにギターをかき鳴らし「悪いクスリ」を演奏し始める。ダンサブルなリズムにあわせ滝はターンをしたり踊ったりと自由そのもの。どんな会場であろうと、ステージがどれだけ大きかろうと臆することのない躍動的な動きで魅せた。
リズム隊の繰り出す爆音とメランコリックなギターが絶妙に絡み合う「interceptor」、バンドの持ち曲の中でも比較的スローテンポな「Heart-Shaped Gear」を演奏し終えると、再び菅原が口を開く。「9月30日にさっきの曲(「Cold Edge」)がCDになって発売されます」と新作のリリースが発表されると、会場からは喜びの声が上がった。
その後披露されたのは、不穏な音色が始まりを告げる新曲(タイトル未定)。9mm Parabellum Bulletの持つドープな世界観の中に美しいメロディが差し込まれたり、ノイジーなギターと中村のデス声が轟いたりと激しい展開を見せるこの曲。彼らのライブパフォーマンスをサウンドに落とし込んだような1曲を、観客は全身で受け止めた。
後半戦はライブの定番「Supernova」「Vampiregirl」からスタート。そして「武道館だからスペシャル企画をしないと」という菅原の言葉に続いたのは、来月リリースされるくるりのトリビュート盤「くるり鶏びゅ~と」に収録される「青い空」のカバーだった。「好き勝手に改造したんで、僕らのくるりを堪能してください」という言葉どおり、9mmらしい爆音&メタルエッセンスが随所に挟みこまれた痛快アレンジには多くの人がニヤリとさせられたことだろう。
さらにかみじょうの圧巻のドラムソロを挟み、スペシャル企画第2弾として演奏されたのはMETALLICAの「Motorbreath」。4人はよっぽどこの曲を弾き込んでいると見えて、楽しげな表情を浮かべながら熱演を繰り広げる。途中で菅原と滝が向かい合ってギターバトルを展開し、その奔放なパフォーマンスに拍車をかけた。
「2009年9月9日という日付がなかったら武道館なんてやらなかっただろうし、こんな“9”じみた人生は送らなかったと思うし。9mmを組まなかったらライブもしなかったし」「いろんな人のお力添えがあって『999』ができて感謝してます」と武道館に立っている感慨を語った菅原。その言葉に賛同するようにかみじょうはバスドラを踏み、中村もベースの音を鳴らす。そして「90年後にまた会おうぜ!」「行けるか武道館?」という絶叫で、ライブはクライマックスに突入した。
中村がドラムセットに乱入しドラを打ち鳴らした「marvelous」、菅原の「踊れ!!」というシャウトが武道館を揺らした「Talking Machine」など激しいナンバーが連射された後、本編の最後を飾ったのは「Punishment」。4人は破壊衝動たっぷりの爆音で、それぞれの楽器をかき鳴らす。興奮状態の滝は途中でギターを放り出してステージを走り回り、ラストナンバーを盛り上げる。それに共鳴するように、他の3人も負けじと渾身のパフォーマンスで応えた。最後の1音を鳴らした後、菅原は残響がこだまする中あらん限りの声で「ありがとう!」と叫び、ステージを降りていった。
当然のことながら本編が終わっても会場の熱狂は冷めることなく、瞬時にアンコールを求める拍手とoiコールが沸き起こる。熱烈なコールと拍手に迎えられて再びステージに現れた4人は、本編で25曲も演奏したとは思えないほどの勢いで4曲を披露。鬼気迫るパフォーマンスで、オーディエンスを圧倒していった。ラストナンバーを終えても、ドラムを乱打したり、絶叫を繰り返したりと、武道館に自分たちの音を刻みつけるかのような行為を続けるメンバーたち。その音が会場に飽和したとき、4人はステージを力強く踏みしめながら武道館の地下に消えた。
アンコール含め全29曲、2時間以上にわたった「999」。初の武道館公演とは思えない堂々としたステージングや壮絶かつスケール感あふれる内容は、9mm Parabellum Bulletの底力を証明するとともに、彼らがネクストレベルに到達したことを確信させるものだった。
9mm Parabellum Bullet「999」セットリスト
01. (teenage)Disaster
02. Mr.Suicide
03. Termination
04. Trigger
05. We are Innocent
06. Psychopolis
07. Hide & Seek
08. Cold Edge
09. Wanderland
10. Sundome
11. atmosphere
12. 悪いクスリ
13. interceptor
14. Heart-Shaped Gear
15. (新曲)
16. Supernova
17. Vampiregirl
18. 青い空
19. Motorbreath
20. 次の駅まで
21. The World
22. marvelous
23. Talking Machine
24. Black Market Blues
25. Punishment
※アンコール4曲
リンク
- 9mm Parabellum Bullet
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音楽ナタリー @natalie_mu
9mm Parabellum Bullet、武道館激震の壮絶ライブ http://natalie.mu/news/show/id/21037