Ki/oon Musicのレーベル設立20周年を記念し、東京・LIQUIDROOM ebisuにて20日間にわたって開催されるライブイベント「キューン20 イヤーズ&デイズ」の4日目公演が4月10日に実施された。
この日は
その宣言どおり、0.8秒と衝撃。は序盤から戦闘的な楽曲を披露。ライブの口火を切った「POSTMAN JOHN」ではオーディエンスからクラップが湧き、塔山は2本のマラカスを片手に持ちながら踊りまくる。「『町蔵・町子・破壊』」では、J.M.の暴力的なシャウトがフロアの興奮に火を点け、ダイバーが続出。これがバンドにとって初めてのLIQUIDROOMライブとは思えないほど、早くも会場の空気を掌握していた。
MCでは「今日はキューンの“20周年イヤーズ”ということで! おめでとうございます!」と塔山が挨拶。続いて、本日の対バンのPOLYSICSとのエピソードを明かしていく。その愛憎入り交じった内容に、オーディエンスは爆笑。最終的には、この日のバックステージでハヤシにNEW ORDERのアルバムタイトルが思い出せないという話をしたら、メールでかわいらしい返事をもらえた、という微笑ましい話が披露された。
4曲目「Brian Eno」は、野菜くん(B)が引く低音のベースラインが心地良い仕上がりに。「檸檬」は室伏“テレキャスター”雄太(G)とクッキー(G)の鳴らすフレーズが楽曲にミクスチャー感を加える。ライブアレンジを施すことで、楽曲の持つ攻撃的な側面がさらに引き出されていた。
「もうすぐ夏が来るぞ!」という塔山の絶叫に続き、有島コレスケ(Dr)がタムで盆踊り風のフレーズを叩き出すと、屈指のダンスチューン「東中野、トランス盆踊り」への合図だとわかりハチゲキッズが狂喜する。ヘビーなリズムの上で凶悪なギターが暴れるのにあわせ、フロアでは渦を巻くようにモッシュが起こる。アウトロでは塔山がTシャツを脱ぎ捨て、そのまま「02490850230...」へ。歌い出しにおけるJ.M.とオーディエンスによるコール&レスポンスも決まり、熱狂が加速していくと同時にバンドメンバーの演奏もより熱を帯び、会場全体がカオティックな雰囲気で満たされる。最後には塔山がボクサーショーツ1枚になり、フロアから喝采が起こった。
まるでこれでハチゲキの演奏曲はラストかのような盛り上がりを見せたが、塔山から「このセットで終わりと思っていたら違いました!」と衝撃の告白が。さらにパンツ1枚のままアコースティックギターを抱え「ここからは服を着ている体で観てください」と話す。また6月6日に新譜を出すことについて触れ、J.M.に告知するよう促すと彼女は「7月27日にここLIQUIDROOMでワンマンやるぞー!」とシャウト。新譜のアナウンスはなかったが、ハチゲキッズから大歓声を浴びていた。
続くブロックでは、「28日目の月」「この世で一番美しい病気」といったミドルテンポの曲を演奏。塔山の奏でるアコギの音色と甘い歌声が、汗まみれのオーディエンスをチルアウトに導く。さらに「みんなの大好きな優しい曲をやります」という言葉から、バラード「黒猫のコーラ」が鳴らされると、バンドの持つ多彩さを味わうかのように誰もがじっくりと聴き入っていた。そしてハチゲキのライブは「POGO DANCE」でフィナーレを迎える。塔山とJ.M.のツインボーカルによるハーモニーで、フロアは再沸騰。最後はJ.M.がグロウルのようなシャウトをぶちかまし、狂乱のステージに幕を下ろした。
転換を挟み「Heavy POLYSICK」が爆音で鳴ると同時に、後攻のPOLYSICSが袖から登場。観客の歓喜の声を聴きながらハヤシヒロユキ(G, Vo, Syn, Programming)がフロアの最前列に覆いかぶさるような姿勢で「トイス! トイス! キューン20周年おめでトイス!」と絶叫し、そのまま「go ahead now!」のイントロフレーズをかき鳴らす。
さらにバンドは「MS-17」「S.V.O」といった懐かしい曲を連続投下。気合の入った演奏で、汗が乾く暇がないほどオーディエンスを踊らせていく。「めでたい! めでてえよ! 祭りだ祭りだ! 今年はPOLYSICSも15周年!」とはしゃぐハヤシにフミ(B, Syn, Vo)が「お前がめでてえよ(笑)」と冷や水を浴びせるシーンもありつつ、所属レーベルのアニバーサリーイヤーを全力でお祝いしようとする気持ちをアピール。キューンとの縁が始まったメジャー1stアルバム「NEU」の収録曲を盛り込んだセットリストになると話し、ファンを喜ばせた。
もちろん近年リリースした作品からのナンバーも惜しみなく披露。Aメロ&Bメロとサビでリズムが変化する「1.2.ダー!」や、ヤノ(Dr, Vo)のリズムがフロントの2人をがっちり支える高速2ビートの「Bleeping Hedgehog」といった、3人の高いスキルが感じられる楽曲で会場を圧倒していく。また「Mach肝心」では、ハヤシが歌詞を「20周年キュンキュンキュン!」に変えて歌い、お祭りムードを煽る。
そしてMCで、LIQUIDROOM 2Fに掲示されているレーベル代表取締役・中山道彦のロングインタビューに触れたハヤシ。このインタビューでは、POLYSICSのほか、レーベル所属アーティストの作品を挙げつつ、中山が印象的なエピソードを明かしている。なお、POLYSICSがキューンに所属することになったのは、ギターウルフのセイジが中山に「みっちゃん、POLYSICSヤバいよ、観たほうがいいよ」と勧めたから、とハヤシが告白。意外な人が取り持った縁に、フロアからは拍手が湧いた。
後半戦は、ハッピーな雰囲気が漂う「Rocket」からスタート。続く「How are you?」の間奏では、ハヤシが歯でギターソロを奏でるトリッキーなプレイを見せる。さらに、ヤノの歌声にあわせて会場中が同じ振り付けで踊った「Young OH! OH!」、ハヤシとフミが激しいヘッドバンギングをしながらそれぞれの楽器を弾きまくった「シーラカンス イズ アンドロイド」と、POLYSICSのライブの定番曲が立て続けに披露される。本編ラストに演奏された「Shout Aloud!」ではフロアにモッシュピットができ、この日一番の盛り上がりとなった。
ファンから起こった「P・O・L・Y・S・I・C・S!」のコールに呼ばれ、バンドは再びステージに姿を見せる。ハヤシがフロアに向けお礼を述べた後、「0.8秒と衝撃。とやれて楽しかった。塔山君とは何か似てるものも感じるし」と対バン相手に向けエールを贈るも、「まさか裸でアコースティックギター弾くとは思わなかった(笑)」と驚いたことを明かす。また、改めて所属レーベルに向け「キューンは地球一、いや宇宙一カッコいいレーベルだと思います! これからもよろしく!」と愛情にあふれたお祝いの言葉を述べ、「キューン20周年への感謝の気持ちを込めてこの曲をやりたいと思います!」とトーク。続いて鳴らされたのは、ハヤシ&フミのボコーダーを通した歌声が絡み合う「ドモアリガトミスターロボット」だ。
そして最後は「Buggie Technica」を爆音で演奏。POLYSICSの3人もフロアを埋めた観客も汗だくになりながら楽しみ、イベント4日目のライブを最高の形で終わらせた。
「キューン20 イヤーズ&デイズ」は4月30日まで、休演日をはさみながら全20公演を開催。会場2Fには無料で入場することができ、ハヤシが触れた中山道彦のロングインタビューのほか、イベント出演アーティストによるお祝いコメント映像やサインの閲覧、カフェの利用が可能となっている。近くに立ち寄る機会があったら、ぜひ足を運んでみよう。
「キューン20 イヤーズ&デイズ」POLYSICS / 0.8秒と衝撃。
2012年4月10日 LIQUIDROOM ebisu セットリスト
0.8秒と衝撃。
01. POSTMAN JOHN
02. 「町蔵・町子・破壊」
03. ビートニクキラーズ
04. Brian Eno
05. 檸檬
06. 東中野、トランス盆踊り
07. 02490850230...
08. 28日目の月
09. この世で一番美しい病気
10. 黒猫のコーラ
11. POGO DANCE
POLYSICS
01. Heavy POLYSICK
02. go ahead now!
03. MS-17
04. XCT
05. S.V.O
06. 1.2.ダー!
07. Bleeping Hedgehog
08. Mach肝心
09. 明るい生活
10. Mix Juice
11. I'm a worker
12. Rocket
13. How are you?
14. Young OH! OH!
15. URGE ON!!
16. シーラカンス イズ アンドロイド
17. Let's ダバダバ
18. Shout Aloud!
<ENCORE>
19. ドモアリガトミスターロボット
20. Buggie Technica
リンク
- キューンミュージック20周年記念イベント『キューン20 イヤーズ&デイズ』
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音楽ナタリー @natalie_mu
POLYSICS×0.8秒と衝撃。「キューン20」で爆音対決 http://t.co/NNs2UezG