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田中あいみ NAZO with 木梨憲武・所ジョージ
細部までハイクオリティな“本気の悪ふざけ”
文 / ナカニシキュウ
頼まれていないタイアップ曲を勝手に作る──そんな聞くだけでワクワクしてしまうコンセプトのもと、所ジョージが書き下ろした田中あいみの新曲「NAZO with 木梨憲武・所ジョージ」。これはもともと人気探偵アニメの主題歌をイメージして所が“勝手に”作っていたものだそうで、試しに田中に歌わせてみたところ単一の楽曲として独立した魅力を放ち始めたため、木梨憲武プロデュースで本格的に“田中あいみの新曲”として制作されることになったのだという。
取っかかりとなったアイデアこそ“思いつきの悪ふざけ”そのものだが、そこを出発点にハイクオリティなエンタテインメントに結実させてしまうのが彼ら流。「大人が本気で悪ふざけをしたら、これだけのものができるんだよ」と言わんばかりの、極上のポップソングに仕上がっている。
軽快なクラビネットと武田真治によるフリーキーなサックスで幕を開ける本楽曲は、ホーンセクションをフィーチャーしたゴージャスなイントロへとなだれ込む。ご機嫌なソウルミュージックを基調としつつ、歌謡テイスト満点のブリッジパートや、ヒーローソングのごとく血湧き肉躍らせるサビの展開など、さまざまな趣向が凝らされておりリスナーを飽きさせない。細部にまでプロの仕事が光る、基礎体力の高い1曲だ。
そして極め付きは、なんと言っても田中のパワフルな歌声。一切の迷いを感じさせずに「真実はいつも いつも ひとつ ひとつだけ」と圧倒的な発声でまっすぐに歌い上げるさまは、楽曲テイストとも相まって偉大なソウルレジェンドのような風格さえ感じさせる。それに加え、演歌歌手としての本分を存分に感じ取ることができる終盤の8分の6拍子セクションも見逃せないポイントだ。並のシンガーであれば“疑似ブルース的”になってもおかしくなさそうなこのセクションを、これだけ説得力をもって演歌・歌謡テイストに寄せられるのは“本職”ならではだろう。
田中あいみ「NAZO with 木梨憲武・所ジョージ」MUSIC VIDEO
- 田中あいみ「NAZO with 木梨憲武・所ジョージ」
- 2025年6月14日(土)配信開始 / 日本クラウン
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作詞・作曲:所ジョージ
編曲:矢吹俊郎
プロデュース:木梨憲武
田中あいみ(タナカアイミ)

2000年7月26日生まれ、京都府出身の歌手。両親の影響で幼少期より演歌や歌謡曲に興味を持ち始める。小学3年生から地元の歌謡サークルに所属。数々の大会に出場し、2019年に「日本クラウン 新人歌手オーディション」でグランプリを獲得。2021年11月にシングル「孤独の歌姫(シンガー)」でメジャーデビューを果たす。2022年の「第64回日本レコード大賞」において最優秀新人賞を受賞した。
田中あいみ__official (@AimitanakaO) | X