10月12日に東京・Spotify O-EASTでGANG PARADEと9mm Parabellum Bulletのツーマンライブ「ライブナタリー presents GANG PARADE SAY HELLO!2MAN'25」が開催される。
ギャンパレは2023年よりライブナタリーとのコラボイベント「GANG PARADE SAY HELLO!2MAN」にてさまざまなジャンルのアーティストとのツーマンライブを展開してきたが、今回はバンド編成で参加し、“真っ向勝負”での対バンに挑む。ゲストは百戦錬磨のライブバンド・9mm Parabellum Bullet。音楽ナタリーでは本公演の開催を記念して、ギャンパレのユメノユア、アイナスター、9mmの菅原卓郎(Vo, G)、中村和彦(B)という初対面の2組の対談を行った。アイドルとロックバンド、2010年代にクロスオーバーした2ジャンルのグループが、意外性こそあれど“異種格闘技戦”といった色モノ競演ではなく、ストレートにぶつかり合う一夜になることを予感させる、そんな意見交換の場となった。
取材・文 / 西澤裕郎(SW)撮影 / 佐野和樹
公演情報
「ライブナタリー presents GANG PARADE SAY HELLO!2MAN'25」
2025年10月12日(日)東京都 Spotify O-EAST
OPEN 17:15 / START 18:00
<出演者>
GANG PARADE with GANG BOYZ / 9mm Parabellum Bullet
<チケット>
先着先行(チケットぴあ / 先着):2025年9月13日(土)12:00~2025年9月23日(火・祝)23:59
マジ?驚きの初ツーマン
──ユメノユアさんは、9mm Parabellum Bulletとは今日が初対面だそうですが、彼らの音楽を学生時代からよく聴いていたそうですね。今回の対バンが決まったときの心境は?
ユメノユア(GANG PARADE) 学生時代から9mmさんの曲をよく聴いていたので、マネージャーから話があったとき、「マジ!?」って返信しました(笑)。それくらい驚いたし、すごくうれしかったです。特に好きなのは「命ノゼンマイ」とか「Black Market Blues」とか。2010年前後の曲が印象深くて。学生時代、兄に教えてもらって、iPodでよく聴いていました。最近の楽曲ももちろん素晴らしいんですけど、昔の曲を聴くと青春時代の記憶がよみがえるというか。通学で満員電車に乗るときに「強い心を持って学校に行こう!」と思えたのを今でも覚えています(笑)。学校へ行く道のりで、本当に支えてもらっていました。今回、9mmさんとの対バンを発表したとき、ファンのみんなも喜んでくれていて、うれしかったです。
菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet) 僕らの友達にもアイドル好きの人がいるんですけど、「マジか!」って連絡が来ました。9mmはこれまで異種格闘技戦みたいな対バンをたくさんやってきましたが、ギターの滝(善充)くんが腕の不調でなかなか対バンできなくなった時期があって。2019年に復帰してツアーに安定して出られるようになったと思ったら、そのままコロナ禍に突入してしまって、対バンの機会自体がどんどん減っていったんです。今回も一見、異種格闘技戦っぽく見えるかもしれないけど、僕らにとっては自然なことではあるんです。
ユア ちなみに、対バンごとに演奏スタイルなどは変わるものですか?
菅原 今はそんなに変わらないですけど、2008年頃は「無理やりでもフロアを全部ひっくり返すんだ!」っていう気持ちでやっていたから、必要以上に無茶していたと思います(笑)。初めて観る人が初めて聴く曲で盛り上がれないのは当然ですけど、それをねじ伏せにいくような感じ。でも今は、自分たちの演奏がよければ自然とリアクションが生まれるのがわかるから、大暴れしながらも「最後にお客さんの手が上がっていたら、それが正解なんだろうな」と思ってライブをしています。「音がすごく大きい!」とか「激しい!」とかでびっくりする人もいるんですけど、その驚きだけじゃなくて、曲のよさもちゃんと伝わってほしい。そこはいつも意識しています。
ユア 今回、ギャンパレはGANG BOYZ(ギャンパレがバンド編成でライブする際の演奏メンバーの呼称)の皆さんと一緒にバンド編成で挑むんですけど、バックバンドを従えての対バンは初めてなんです。
菅原 ステージ上に、めっちゃ人がいますよね。
ユア メンバー11人に、バンドメンバー5人が加わって、16人になると思います。
中村和彦(9mm Parabellum Bullet) 俺らが混ざっていてもバレないかもしれない(笑)。
一同 (笑)。
アイナスター(GANG PARADE) さっきの「対バンごとにスタイルが変わるか」という話でいうと、私たちは曲数が膨大にあるので、その中から「どれが相手のお客さんに一番刺さるか」を考えるんです。ただ、ライブにおけるマインド自体は変わらない。ギャンパレは「みんなの遊び場」というコンセプトでライブをしているので、その核となる気持ちは、いつでも同じです。
菅原 ギャンパレファンの呼び名は「遊び人」でしょ?
ユア そうです。「みんなの遊び場」というのは、来てくれた人たちが、それぞれのマインドでGANG PARADEの音楽を楽しんでくれたらいいな、という思いからきていて。私たちのライブは、写真撮影や動画撮影もOKなんです。それを楽しむのもありだし、振りコピして一緒に踊るのもいい。真似しやすい振りの曲も多いので。
ナス 一緒に歌ったりしてくれる遊び人も多いよね。
ユア 他人に迷惑をかけなければ、基本的に何をしてもいい。それぞれが、その場でギャンパレの音楽を楽しんで、最後にひとつになれたらいいなと思ってライブをしています。
菅原 それは僕らも同じですね。決まったリアクションやお決まりの盛り上がり方が自然と生まれることもあるけど、そうじゃなくても自由でいい。勝手に歌ったっていいと思うし。
中村 「歌って!」って煽ったときに歌ってくれたらもちろんうれしいですけど、そうじゃないところで歌ってくれても構わないですから。
菅原 本当に嫌なときは「嫌だ」って言うしね(笑)。
アイドルだから、バンドだからという話ではない
──2010年代のアイドル戦国時代と言われた時期以降、アイドルとバンドの距離がどんどん近くなっていきました。9mmのお二人は当時の盛り上がりを、どう感じていましたか?
菅原 僕らは、まさにその真っ只中にいたんですよね。初めて同じイベントに出たアイドルは、ももクロちゃん(ももいろクローバーZ)で。リリー・フランキーさん主催のライブイベント「ザンジバルナイト in 野音 2011」で一緒になったんです。ももクロちゃんのファンが、9mmの演奏でめちゃくちゃ踊っていて。「アイドル好き」と「バンド好き」でお互いに少し偏見があったんだろうなと思うけど、彼らが踊っている姿を見て、「この人たちはものすごく素直に音楽を受け止めてくれてるな」と感じて。だからこそ、そのあとにでんぱ組.incやBiSHのライブに呼んでもらったときも、まったく違和感なくやれた。いろんなスタイルがあるけど、ライブそのものの熱さが音楽を通して広がっていくのは自然なことだと思いました。当時は僕らも必死にやっていただけでわからなかったけど、振り返るとそんな感覚です。
中村 9mmは活動当初、アウェイのライブハウスで、「そもそも客がいない」なんて経験もたくさんあって。そういうときでも、自分たちはただ自信を持ってやるべきことをやるしかなかった。そこでビビらずやってこれた経験があったから、2010年代に入って「アイドルもバンドも好き」という人が増えてきたときに、すごく自然に受け入れられた。お客さんの層がだんだんグラデーションのようになって、アイドルと対バンしてもアウェイな感じがしない、むしろ一緒に楽しめている感覚がありました。それはここ10年ちょっと、ずっと感じています。僕らの音楽もすごく受け入れられやすくなったと思います。
ナス ここ数年で、アイドルのタイプもすごく増えましたよね。ロック寄りのアイドルが出てきたと思ったら、次はSNSでバズるようなキュルキュルかわいい系のアイドルが流行って。王道ってなんだろう?と思うくらいジャンルが広がっている。私がアイドルを知ったのはAKB48さんがブームの頃で、そこからBiSHさんが好きになってWACKに入ったんですけど、その頃と比べても今はアイドルの種類が増えている。「アイドルだから」「バンドだから」というよりも、どういうスタイルかが重要になっている気がします。その中でもギャンパレのファンである遊び人は、バンド好きな人が多いと思います。これまでの「SAY HELLO!2MAN」でも、対バン相手のライブを観ている遊び人の表情が本当によくて。特にイナ戦さん(THE イナズマ戦隊)との対バンに2回出させてもらったときも、遊び人の顔がイナ戦さんのライブ中、涙でぐしゃぐしゃになってたんですよ。そういう姿を見ると、ギャンパレとバンドとの相性のよさを感じます。ファンの好みも重なっているし、いろんな要素が相まって化学反応が起きているんじゃないかなと思います。
──遊び人は、9mmの音楽も好きそうですよね。
ナス そう思います! きっとすごく喜ぶし、予想できないくらいの盛り上がりになると思います。逆に9mmファンの皆さんはどう反応するんだろう……。
菅原 昔から、うちのファンは対バン相手が誰でも受け止めてくれるんです。対バン相手からはフロアの反応のよさから「自分たちのワンマンかと思った!」と言われるくらい(笑)。多分しっかり予習してきて、ライブでもすごく盛り上がると思います。一緒に楽しんでくれる人が多いから、今回もギャンパレの曲をちゃんと聴いてきてくれるはずです。
ユア うれしいです!
──気が早いですけど、9mmからの楽曲提供なども期待しちゃいます。
菅原 僕ら、喜んでやりますよ!
ユア マネージャー! すぐにでもお願いしましょう!
一同 (笑)。
菅原 曲ってお題があるほうが書きやすいんですよ。「こういう曲を」とか「誰々に向けて」とか、テーマでもなんでも言ってもらえると、クリエイティブが動きやすい。自分たちだけで曲や歌詞を書いていると、「あれ、毎回同じこと歌ってるな」と思うときがあるので。でも、誰かに向けて書くと、違う言葉が出てきて、同じことを言っているけど言い方が違うことに気付ける。それは、自分が本当に表現したいことの核がそうだからだと思うんですけど、新しい表現の仕方を見つけられるのが楽しいので、ぜひお願いします!
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コロナ禍の“修行期間”を経て変化はあったのか?