挫・人間、怒濤のプレイと“魔王”と“除霊”で魅せたLOFTワンマン

11月25日、挫・人間が「テレポート・ミュージック リリース記念単独公演」を東京・新宿LOFTで開催した。

今回の公演はタイトル通り、挫・人間の2ndアルバム「テレポート・ミュージック」が8月に発表されたことを記念して行われたもので、会場・新宿LOFTは下川リオ（Vo, G）が敬愛するナゴムレコード周辺のアーティストが頻繁にライブを行っていた場所。その“聖地”で下川、夏目創太（G）、アベマコト（B）の3人はサポートメンバーのタイチサンダー（Dr / 爆弾ジョニー）とともに、満員のフロアを前に文字通りの熱演を繰り広げた。

映画「スターウォーズ」のテーマソングとともに緞帳代わりの巨大スクリーンが上がると、ステージには蛇腹のホースを頭上で回転させて異音を鳴らす4人の姿が。彼らはホースをフロアに投げ込むと、夏目の「待たせたな！」、下川の「よろしくお願いしまーす！」の声を合図に「オー！チャイナ！」「タマミちゃん」「土曜日の俺はちょっと違う」をハイテンションで連射。続けて曲の途中、夏目がギタープレイそっちのけでキレのあるダンスを披露し、うろ覚えのままシューベルトの歌曲「魔王」を歌い上げる「何故だ!!!」や、アップテンポな原曲をさらに高速化した「ピカデリーナ受精」などを畳みかけた。

下川に「ドラムが輝いてる！ ダイヤモンド！」「タイチがもしも四肢欠損しても好きなんだけど、ドラムをもっと聴きたい」と煽られたタイチがテクニカルなソロを披露して歓声を集めると、続けて下川は「念力が欲しい!!!!!」と絶叫。アベが高速スラップベースを繰り出すと同時に、バンドはその「念力が欲しい!!!!!～念力家族のテーマ～」を叩き込み、ロマンチック☆安田（Key / 爆弾ジョニー）をゲストプレイヤーに迎えた「セルアウト禅問答」では、下川がメロイックサインを掲げ、両脇を固める夏目とアベがヘッドバンギングを繰り返すエモーショナルなパフォーマンスを見せつけた。

夏目の奇声をきっかけにキャッチーなラブソング「天使と人工衛星」をプレイした面々は、アベがiPadでシーケンストラックをコントロールし、タイチがエレクトリックパーカッションを叩く「十月の月」でライブ後半戦をスタート。改めてそれぞれが楽器を手にすると、下川言うところの“オレなりのラブソング”「お兄ちゃんだぁいすき」や、King Crimson「21st Century Schizoid Man」のリフと下川＆夏目のキスシーンがインサートされる「ちんちん大臣」、下川がフロア最前列の男性客の頭を抱きながら歌う「今までお世話になりました」とバラエティ豊かな3曲を連投する。そして「わざわざ死ななくても、この世には小規模な天国がございます」「オレにとっての小規模な天国は今日の新宿LOFTでございます」「まあ、あくまで小規模。（1ドリンクを含む入場料）3000円ですしね」と語る下川の笑顔とともにドラマチックなバラード「天国」を続けてステージをあとにした。

アンコールの声に応えてステージに姿を見せた下川、夏目、アベ、タイチは、「セルアウト禅問答」のミュージックビデオに出演する女優・佐藤玲とともに、5MCスタイルのヒップホップチューン「下川 VS 世間」でフロアを踊らせる。そして夏目とアベによるグダグダの物販アイテム紹介に下川が苦笑交じりにツッコミを入れ、そのアイテムの1つ、光るリストバンドを右手に装着したところでライブは最終盤に。「これから演奏する『下川最強伝説』のサビで拳を振り上げたら、一緒に振り上げてほしい！」「これはロックバンドにありがちな予定調和ではなく除霊です！」とリストバンドを振り上げた彼は、小学生時代の初恋の女性と、その女性の現在の彼氏の存在が自身の心に亡霊のように巣くっている、と2人の実名を明かしながら強弁。フロアとともに“除霊”する下川と、夏目、アベ、タイチはこの日一番の轟音で「下川最強伝説」をパフォーマンスして“憧れの地”でのワンマンライブを締めくくった。