DEZERTが“あなた”と音楽を分かち合った10カ月、47都道府県ツアー終着地でたどりついた答え

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DEZERTが3月20日に千葉・幕張メッセ 幕張イベントホールにて単独公演「DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL『僕らの音楽について』」を行い、昨年6月から開催していた47都道府県ツアーに終止符を打った。

「DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL『僕らの音楽について』」幕張メッセ 幕張イベントホール公演の様子。(撮影:西槇太一)

「DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL『僕らの音楽について』」幕張メッセ 幕張イベントホール公演の様子。(撮影:西槇太一)

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千葉LOOK→幕張メッセ

DEZERTは2024年12月27日にバンドにとって目標の1つであった東京・日本武道館単独公演を行い、その舞台で「あなたに会いに行くツアー」と銘打った47都道府県ツアーに挑むことを発表。2025年6月から今年2月にかけて全国津々浦々のライブハウスを巡ったのち、“GRAND FINAL”として初の幕張イベントホール単独公演に臨んだ。

DEZERTにとって大舞台ではあるものの、幕張イベントホール公演はあくまでもツアーの一環。どこかライブハウスを想起させるあえて足場をむき出しにした武骨なメインステージに加え、会場のアリーナエリアにはツアー初日公演の会場であった千葉LOOKのステージと同じサイズのステージが設けられるなど、千葉で始まり同地で完結する長旅が具現化された。

オープニングナンバーは、47都道府県ツアーの各公演と同様にMiyako(G)が弾く流麗なアルペジオで始まる「真宵のメロディー」。武道館ライブを経たメンバーが「さらに“その先”へ向かおう」という意志を込めて作ったナンバーが、壮大な景色を描き出しオーディエンスの心を揺さぶる。千秋(Vo)はマイクに柔らかく手を添えると、歌詞の1つひとつを噛み締めながら歌い、何かに思いを馳せるように天を仰ぎ見た。

千秋(Vo)(撮影:西槇太一)

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Miyako(G)(撮影:西槇太一)

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“あなた”の近くへ

感動的なムードが漂ったのも束の間、「本日はご来場ありがとうございます。野暮なことを聞きますが、わざわざ幕張まで会いに来てくれたということは、もう楽しむ準備ができてるんですよね? DEZERT始めさせていただきます」という千秋の宣言を引き金に、4人は強烈な爆発音とともに「『変身』」になだれ込み、目まぐるしい展開でさっそくオーディエンスを翻弄。さらに、10年以上前にリリースした「胃潰瘍とルソーの錯覚」から、ツアー中に制作したという「『無修正。』」「My Unhappy Life」まで、新旧の楽曲を約10カ月におよぶライブ三昧の日々の中で磨き上げたバンドサウンドで表現していく。

Sacchan(B)(撮影:西槇太一)

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SORA(Dr)(撮影:西槇太一)

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本編の折り返しのタイミングで、千秋に不測の事態が発生し、急きょMiyako、Sacchan(B)、SORA(Dr)がトークで場をつなぐ場面も。SORAは息を切らし「いい顔してるねえ……」と目を細めながら客席を見渡し、「今日、俺はお前らの声を聞きにここに来てるんだ」とオーディエンスに呼びかけ、さらなる熱気と盛り上がりを求めた。そんな言葉が呼び水になったのか「はい!少女」で突入した後半戦から、会場の空気はますます熱を帯びていく。それを加速させるように、千秋の歌声、メンバーの楽器を弾く手にも力がこもる。千秋、Miyako、Sacchanはワンマンでは初めてであろう花道に、慣れないながらも足を伸ばし、観客である“あなた”の近くでパフォーマンスを試みる。定位置を離れられないSORAは時折椅子から立ち上がり、力強くビートを刻んだ。

「DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL『僕らの音楽について』」幕張メッセ 幕張イベントホール公演の様子。(撮影:西槇太一)

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「ラスト、DEZERT始めます」

「僕等の夜について」で起きた美しいシンガロングの余韻の中、千秋は口を開き「この14年間、この手で夢というものを握って、このメンバーにも強要して、ときには来てくれた誰かを傷付けて。でも、夢があるんだってずっと言ってきた」と切り出す。しかし、いつしかこれまでのすべてが“夢”だったんじゃないかと気付いた瞬間があったと吐露。「そんな中、俺は今何がしたいか、何を目指したいか……答えは簡単でした」と力強い眼差しをたたえた彼が、「夢から覚めても、俺はバンドがしたいです。あなたと見たい景色があるから、このバンドで……ラスト、DEZERT始めます」と決意表明をすると「『火花』」がスタート。「火花散るステージで」という歌詞と呼応するようにファイヤーボールが吹き上がる中、4人は全身全霊のパフォーマンスを展開する。「照らすは僕らの未来だ」というフレーズを千秋が歌い上げた瞬間に、ステージと客席が光に包まれ会場にカタルシスをもたらした。

左から千秋(Vo)、Miyako(G)。(撮影:西槇太一)

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左から千秋(Vo)、Sacchan(B)。(撮影:西槇太一)

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その後、ツアーTシャツに着替えアンコールに臨んだ4人は、包容力に満ちた「Stranger」の直後に、客席にヘッドバンギングとシンガロングの嵐を巻き起こす「『遺書。』」を披露するなど、本編と変わらぬ天邪鬼なステージで“DEZERTらしさ”を発揮。ライブの定番曲である「『君の子宮を触る』」でオーディエンスを巻き込みひと暴れしたのち、充実した表情でステージを去った。

「DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL『僕らの音楽について』」幕張メッセ 幕張イベントホール公演の様子。(撮影:西槇太一)

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「音楽やります。バンドやります」

普段のDEZERTのワンマンライブであればここで終演となるところだが、この日は「まだ終われない」と言わんばかりに観客がダブルアンコールを求め続ける。それもそのはず、「僕らの音楽について」というライブタイトルを象徴する最新曲「『音楽』」がまだ披露されていないのだ。粘り強くオーディエンスが拍手を打ち鳴らし続けていると、本編と同じブラックスーツをまとったメンバーが姿を見せた。

アコースティックギターを抱えた千秋は、初めてのダブルアンコールに少しはにかみつつ、47都道府県ツアーで感じた悲喜こもごもをこぼし始める。「音楽を通してつながって、仲間になったり、友達になったり、疎遠になったり、裏切られたり、脱退したり、バンドが解散したり……いろいろ。ホントうまくいかない」「本当の意味で、1つに交わることっていうのはもう絶対ないと思うんです、僕は。みんな同じ気持ちで、っていうのもちょっと難しい時代になってきたと思います」。そんな言葉で、決して順風満帆ではないDEZERTの歩み、時にはハレーションが起きてしまうメンバー間の関係性を表現する。

千秋(Vo)(撮影:西槇太一)

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ここで、グッと前を見据えた千秋は「それなのに、なんでこんなバンドマンがいることが許されるかというと、音楽がカッコいいからです。それ以外ないです。顔がカッコいいとか関係ないです。ヴィジュアル系だろうが何系だろうが関係ないです。音楽です」と断言。「毎日いいライブしてもみんなのハッピーな顔見ても、不安のほうが勝つ」と素直な感情も織り交ぜつつ、自分にとってバンドが何よりも大切なものであることを明かす。

リスナーにとってDEZERTの音楽がいくばくかでもポジティブな存在になることを切望した彼は、「音楽やります。バンドやります。これからもDEZERTをよろしくお願いします。ホントに今日あなたに出会えてよかったです。皆さん聴いてください……『音楽』」と目の前の1人ひとりに向かって、語りかけるように歌い出した。Miyakoが弾くエモーショナルなギターと、Sacchanの穏やかなベースが千秋の歌声に寄り添い、SORAの刻む力強いリズムが3人の音を支え、DEZERTの“音楽”が観客の目の前で形作られていく。時にはぶつかり合い、時には一致団結し、約15年にわたって止まることなく音楽を紡いできたDEZERT。10カ月に及んだツアーは千秋、Miyako、Sacchan、SORA、そしてオーディエンスが、これからも音楽でつながり続けることを証明する1曲をもって締めくくられた。

「DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL『僕らの音楽について』」幕張メッセ 幕張イベントホール公演の様子。(撮影:西槇太一)

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※本文中の「『変身』「『無修正。』」「『火花』」「『遺書。』」「『秘密』」「『君の子宮を触る』」「『音楽』」の『』は一重カッコが正式表記。

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セットリスト

「DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL『僕らの音楽について』」2026年3月20日 幕張メッセ 幕張イベントホール

01. 真宵のメロディー
02. 「変身」
03. 胃潰瘍とルソーの錯覚
04. 「無修正。」
05. 明日暗い月が出たなら
06. あの風の向こうへ
07. 神経と重力
08. My Unhappy Life
09. 遮光事実
10. はい!少女
11. 肋骨少女
12. Hopeless
13. Call Of Rescue
14. 君の脊髄が踊る頃に
15. 僕等の夜について
16. 「火花」
<アンコール>
17. Stranger
18. 「遺書。」
19. 「秘密」
20. The Heart Tree
21. 「君の子宮を触る」
<ダブルアンコール>
22. 「音楽」

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読者の反応

たりぶろ @XEMCZT

幕張マジで盛大なファンミーティングみたいなライブだったなぁ https://t.co/gnfWod4zo8

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