本作は、映画監督の
開幕に際し、中井は出演をオファーされた当初は断ったことを明かしつつ、「行定監督の、映画人としてそういうものを残していきたいという熱意に絆されたと同時に、天国へ行った時に小津先生に怒られるのならば僕がいいだろうと思いお受けすることにしました(笑)」と述べ、「この劇場に来たお客様の一人でも、二人でも、家に帰って小津安二郎の映画を観てみようと思ってくださったら、(小津先生に)名前をいただいた恩返しができるんじゃないかなと思っています。そうなるように、みんなで努力をしながらやっていきたいと思っています」とコメント。
行定は「撮影現場はやはり緊張感が半端なく、その緊張感が舞台上にどう出るのか(中井さんが小田監督としてそこにいるだけである種の緊張は生まれますが)今日まで少し不安もありました。ただ、今日しか観れない、生ものだと感じるシーンが先ほどもあり、アクシデントが起きてもフォローをしたり、舞台上の転換をしたりスタッフが支える場面が見える。それに僕は演出家として、ものすごく心が動いて感動する場面が多々あります。お芝居ももちろんですが、そういう場面も含めてこの空気を味わっていただき、豊かな時代の作り手たちの昭和の映画界というものが少しでも皆さんに伝われば嬉しいです」と語った。
上演時間は休憩含む約2時間35分。東京公演は6月29日まで。本作はその後、7月5日から7日まで大阪・森ノ宮ピロティホール、11・12日に福岡・J:COM北九州芸術劇場 大ホール、15日に熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール、19・20日に愛知・東海市芸術劇場 大ホールにて上演される。
中井貴一コメント
最後の一本の映画を撮る時に、自分の人生と今の映画と葛藤をしながら歩んでいく映画監督を演じます。小津安二郎監督がモデルですが、今回はフィクションなので、小田昌二郎という名前でやらせていただいています。
最初にこのお話をいただいた時は断りました(笑)。最初に行定さんからお話を聞いた時はもう少し小規模で、母の実家が大船の撮影場の前で月ヶ瀬という食堂をやっていたのですが、「舞台のタイトルは月ヶ瀬食堂です、中井さんが生まれるまでをやりたいんです」と言われて。自分の出自に関わる話に自分が出るのは気恥ずかしく思い、お断りをしました。
「小津イズムや小津語録はお伝えしますので、どうか他の方でおやりになってください」と申し上げたのですが、行定監督の、映画人としてそういうものを残していきたいという熱意に絆されたと同時に、天国へ行った時に小津先生に怒られるのならば僕がいいだろうと思いお受けすることにしました(笑)。
この劇場に来たお客様の一人でも、二人でも、家に帰って小津安二郎の映画を観てみようと思ってくださったら、(小津先生に)名前をいただいた恩返しができるんじゃないかなと思っています。そうなるように、みんなで努力をしながらやっていきたいと思っています。
芳根京子コメント
小田先生が娘のように可愛がっている食堂の看板娘・幸子を演じさせていただきます。中井さんのお母様がモデルになっている役なので、より緊張しているのですが、中井さんからお母様のお話をたくさん聞かせていただいたりと、すごく貴重な機会を嬉しく思っています。私自身、6年ぶりの舞台出演にとてもワクワクしていますし、皆さんの優しさに支えていただいてここに立つことができています。
すごく優しくて温かくて、不思議な世界観を楽しんでいただけると思います。一つ一つの公演をしっかり噛みしめながら楽しんで頑張ります。
柚希礼音コメント
大女優、原節子さんをモデルにした、女優の谷葉子を演じます。
この作品を通して、様々なメッセージをいつも受け取っていて、お稽古場でも何度も感動する日々でした。様々なところに心に刺さるセリフがたくさんあり、昭和っていいな、家族に連絡したいな、周りの人を大切にしたいなと思うようなことが散りばめられている作品です。自分自身は原節子さんをモデルとした役ということで、本当に大きなプレッシャーを感じていますが、小津監督が亡くなり、それ以降はご出演されなかった原節子さんの潔さは、本当に小津監督に人生を捧げたような女優さんなのかなと思いますので、今回、私も中井さん演じる小田監督に全てを捧げながら潔く、格好よく、そして女性らしく、色々な面を表現したいと思います。
土居志央梨コメント
戦争で旦那を亡くした未亡人である和美を演じます。
舞台は生物で、貴一さんをはじめとした素晴らしいキャストの方々と、生の瞬間、日々変わっていくものを楽しみながら共有し、それをお客様とも一緒に作っていけるのがすごく楽しみです。地方公演もたくさんあるので、その土地の空気を感じながら演じていきたいです。ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
藤谷理子コメント
銀座のホステスの千代を演じます。
中井さん演じる小田先生の頭の中を覗き見するような作品ですので、ぜひ、小田先生と一緒にお客様も悲しんだり楽しんだり、翻弄されたりしてほしいです。身をゆだねてお楽しみください。
升毅コメント
小田先生とは苦楽を共にし、盟友であり共同執筆者でもある脚本家の野崎を演じます。
本番を控えた今、一刻も早く本番を迎えたい、早くお客様の感想を聞きたいという思いです。小津監督の作品のファンの方もいらっしゃるでしょうし、そうじゃない方もいらっしゃるでしょう。小津監督の存在を知らない若い方もいらっしゃると思います。そういう方たちがみんな、小津さんという監督はこういう時代に、こういう映画を撮っていた人なんだ、やっぱり昭和はいいな、と感じ取っていただけたら嬉しいです。
キムラ緑子コメント
元芸者で、小田監督の古女房的存在の花江を演じます。
今までに観たこともなく、出演もしたこともないような作品だとつくづく感じています。なので、すごい高揚感とすごい緊張感で幕を開けることになると思います。そして、観に来てくださるみなさんも、新しいお芝居を体験することになるのではなかろうかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
行定勲コメント
中井さんから聞いた日本映画界の全盛期と呼ばれる時代の話、神格化された巨匠・小津安二郎ではなくもっと身近な日常の、いち人間としての話がとても面白く、ひとつの作品を観たような充実感に映画人としてすごく感動し、この企画を考えました。
時代が進む中で日本映画の全盛期と呼ばれる時代を知る人たちが減っていくので、せめて物語にしたり演劇にしたりして、古き良き日本の空気感を次の世代に伝えていきたいという思いがあり、主役として小津安二郎を演じるのは中井さんの他にいない、一緒にやっていただけないか、と口説きました(笑)。
撮影現場はやはり緊張感が半端なく、その緊張感が舞台上にどう出るのか(中井さんが小田監督としてそこにいるだけである種の緊張は生まれますが)今日まで少し不安もありました。ただ、今日しか観れない、生ものだと感じるシーンが先ほどもあり、アクシデントが起きてもフォローをしたり、舞台上の転換をしたりスタッフが支える場面が見える。それに僕は演出家として、ものすごく心が動いて感動する場面が多々あります。お芝居ももちろんですが、そういう場面も含めてこの空気を味わっていただき、豊かな時代の作り手たちの昭和の映画界というものが少しでも皆さんに伝われば嬉しいです。
パルコ・プロデュース2025「先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~」
2025年6月8日(日)〜29日(日)
東京都 PARCO劇場
2025年7月5日(土)〜7日(月)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
2025年7月11日(金)・12日(土)
福岡県 J:COM北九州芸術劇場 大ホール
2025年7月15日(火)
熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール
2025年7月19日(土)・20日(日)
愛知県 東海市芸術劇場 大ホール
スタッフ
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髙橋たかし @najtst
小津安二郎をモデルにした舞台「先生の背中」開幕、中井貴一「恩返しができるんじゃないかな」 - ステージナタリー
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