紀伊國屋演劇賞の贈呈式、岡本圭人が涙ながらに“仲間”へ感謝「俳優の道を歩んでいけると信じてくれた」

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第59回紀伊國屋演劇賞の会が、昨日1月31日に東京・紀伊国屋ホールで開催された。

第59回紀伊國屋演劇賞の会より。

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第59回紀伊國屋演劇賞の会より。

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紀伊國屋演劇賞は、紀伊國屋書店が設定する賞。第59回紀伊國屋演劇賞では、団体賞を新宿梁山泊、個人賞を岩崎加根子緒方晋横山拓也岡本圭人那須凜が受賞した。会の初めに、紀伊國屋書店の高井昌史代表取締役会長が祝辞を述べ、審査委員代表の長谷部浩が審査経過の説明を行った。

金守珍

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贈呈式では各賞の受賞者があいさつ。「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」「ジャガーの眼」の舞台成果で受賞した新宿梁山泊からは、代表の金守珍が登壇した。金は「実は僕、『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』の本番中に骨を折りましたが……骨を折った甲斐がございました!」と晴れやかな表情で喜びを口にし、「本日、(審査員から)『広い世界に向けてもっとがんばれ!』という旨の力強いメッセージをいただきましたので、これからも世界に向けて、日本のアングラが文化として認められたということを証明していきたい」と意気込んだ。

岩崎加根子

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岩崎が評価されたのは、劇団俳優座の特別公演「戦争とは…」シリーズの「被爆樹巡礼」「犬やねこが消えた」、同じく劇団俳優座「慟哭のリア」のそれぞれの演技。岩崎は「戦争とは…」シリーズが、30年前に有志メンバーによる戦争の体験談を語る朗読会として始まり、3年前から演劇公演となったことを説明し、「私たちの長らくの思いを汲んでいただいたことに感謝しております」と一礼。続けて「俳優座入団後、(初代俳優座代表の)千田是也先生からはいつも『自分が役になったつもりでおやり』と言われて育ちましたが、『慟哭のリア』でも室重セイという女に“なったつもりで”演じました。思いがけなく賞をいただき、感謝感謝の思い」と言葉に力を込めた。

「緊張で脚が震える」と言い、演台に掴まる緒方晋。

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劇団チョコレートケーキの2連作「白き山」「つきかげ」の演技が認められた緒方は、「こういった場に立つ機会が滅多になく、過呼吸の一歩手前です」と緊張した様子で場を和ませながらも、2作への出演について「自分の未熟さを感じて逃げたかったですが、座組のみんながそばにいてくれたので『後ろを向いて倒れるのはやめよう、倒れるときは前を向いて倒れよう』と腹が決まりました」と力強く言葉を紡ぐ。自身の劇団The Stone Ageの面々をはじめ、これまで支えられた人々への感謝を述べた緒方は最後に、自身が受賞作で演じた歌人・斎藤茂吉に対し「この年齢、このタイミングであなたの役をできたことに感謝しかないです。表現者として負けないよう、一生懸命やっていきます」とメッセージを送った。

横山拓也

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緒方晋(一番左)との同時受賞を喜ぶ横山拓也(中央)。

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iaku「流れんな」の作・演出、PARCO PRODUCE「ワタシタチはモノガタリ」の作が評価された横山は、「自分の作品より先に、自分個人が紀伊國屋ホールに立てることに驚いています」と笑顔を見せ、「自分の戯曲は一見サーッと読めてしまうので、俳優や演出家の力がないと成立しないもの」とスタッフ・キャストへの謝意を示す。さらに横山は、緒方と同時受賞となったことに言及し「僕たちは2人とも大阪で同じようなタイミングでそれぞれの劇団を立ち上げて、同じようなタイミングで東京に出てきた。20年ほど苦楽を共にしてきた緒方さんと、ここに一緒に立てていることは感無量です」と語り、「関西演劇界を盛り上げたい」と思いを口にした。

那須凜

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劇団青年座「ケエツブロウよ -伊藤野枝ただいま帰省中」、KAAT × Vanishing Point「品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey」の演技で受賞した那須は、「私が高校生だった2012年、母・那須佐代子が(紀伊國屋演劇賞個人賞を)受賞する様子を客席から眺めていました」と振り返り、「当時まだ演劇をしていなかった私は『キラキラした遠い世界だな』と感じていましたが、そんな過去の自分に『こんな素敵な未来も待っているんだよ』と、そして未来の自分に『栄誉ある賞に恥じない俳優になってくれ』と伝えたい」と決意を語った。

涙を浮かべる岡本圭人。

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現在KERA CROSS「消失」に出演中の岡本は、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAでの公演後に紀伊国屋ホールに駆け付け、贈呈式の中盤から参加した。「La Mere 母」「Le Fils 息子」の演技が認められた岡本は「子供の頃から舞台と劇場が大好きで、いろいろな感情を演劇で教わってきました」「『Le Fils 息子』の初演は、自身の初舞台であり、父親との初共演となった作品。とっても思い入れのあるニコラ役で受賞できたこと、非常にうれしく思っています」と笑顔を見せる。周囲への感謝を述べ始めると、岡本は涙ぐみ「自分のことを産んでくれた母親。舞台の道を教えてくれた父親。自分が俳優の道を歩んでいけると信じてくれた、今でも仲間のHey!Say!JUMPのみんな。今まで演劇で出会った全てのキャストとスタッフの皆様。そして本当に何よりも、劇場にお越しいただいたお客さま1人ひとりのおかげで今ここに立てていると思っています」「これからも胸を張って、役者の人生を歩んでいきたい」と述べた。

第59回紀伊國屋演劇賞の会より。

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なお、贈呈式の様子は、紀伊國屋書店の公式YouTubeチャンネルにて後日アーカイブ配信される。

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劇団The Stone Age @the_stoneage

紀伊國屋演劇賞贈呈式のレポートです。緒方晋のコメントも掲載されています。ご一読いただければ幸いです。

#ストーンエイジ https://t.co/cBM6so72cM

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