これは、創立40周年を迎えた
小笠原、斉木のコメントは以下の通り。
小笠原くみこコメント
能力はあるけれど昇進できないイアーゴーが暗躍し、火のないところに煙を立てて、オセローを落としていく。まるでSNSやフェイクニュースに惑わされる現代人の姿と重なります。
ですが、この物語は、現代の私たちでも陥る心理状態以上のことが描かれているのではないかと思います。
罠にはめられオセローに殺された妻デズデモーナだけは、潔白のまま死んでいきます。一方、物語の最後までイアーゴーの「悪魔的な行動」の根源は明かされないことと対照的です。この両極端な「白と黒」の二人がいるからこそ、白から黒へ移り変わる様子が見えてきます。
今回の公演では、デズデモーナをより際立たせる演出にしてお届けします。いわば生を重んじる象徴の「白」と、人間の業の深さを象徴する「黒」。いつの時代もどちらも消え去ることはなく、世界の中に存在し続ける、ということなのだと思います。
斉木和洋コメント
世界は劇場であり、私たち人間は地球という舞台に引っ張りだされた哀れな俳優なのだ。精一杯生き、何かを伝えようと叫び、何者かになろうともがいてみたが、声は誰にも響かず、行為は何にも届かない。人生という出番が終われば、この世から消えていくほかなく、私たちの一生とは、ほんの短い時間だけ輝く蝋燭の炎のようなものなのだ。(「マクベス」より意訳)
物語の主人公マクベス将軍は、魔女の予言を真に受けて、王を暗殺し、玉座を奪うが、愛する妻を失い、城を包囲され、その命は風前の灯火である。
しかし、終幕に語られるこの寂しげなセリフから、演出家である私は明るい未来の希望をあえて読み取る。
だって、このセリフを書いたのは愚かな人間を全力で愛したシェイクスピアだ。
すべての役を7人の女優が演じるオールフィメールで上演します。
女は化ける。
化ける者、化物たちが野を越え、山越え、海を越え、時を越えて、闇を越えて舞台に現れ、私たちに悪夢を見せ続ける。
劇団山の手事情社 二本立て公演「オセロー」「マクベス」
2025年2月21日(金)〜25日(火)
東京都 シアター風姿花伝
スタッフ
「オセロー」
構成・演出:小笠原くみこ
「マクベス」
構成・演出:斉木和洋
原作:
監修:
出演
「オセロー」
山本芳郎 / 山口笑美 / 安部みはる / 谷洋介 / 高島領也 / 宮﨑圭祐 / 鍵山大和 / 藍葉悠気
「マクベス」
越谷真美 / 中川佐織 / 松永明子 / 渡辺可奈子 / 喜多京香 / 長谷川尚美 / 有村友花
※U25、高校生以下、リピート割あり。
ステージナタリー @stage_natalie
劇団山の手事情社 二本立て公演「オセロー」「マクベス」演出は小笠原くみこ・斉木和洋(コメントあり)
https://t.co/hM9TZNy0qH https://t.co/PZKJHwyYnZ