東京・歌舞伎座の12月公演で「俵星玄蕃」、来年1月公演で「荒川十太夫」と、いずれも
来年1月に上演される「荒川十太夫」は、人間国宝の講談師・神田松鯉が得意とする講談をもとにした歌舞伎作品。脚本を竹柴潤一、演出を
実際に赤穂浪士の討ち入りがあった12月に上演されるのは、浪士たちの討ち入り前夜から当日の物語を描いた「俵星玄蕃」。本作も講談をもとにした新作歌舞伎で、松鯉が脚本協力で参加する。また「荒川十太夫」と同様に、松緑が主演、西森が演出、竹柴が脚本を手がける。
2作について、松緑は「話は続いておりますので二夜連続ドラマとして観て頂ければ幸いと思っております」と述べつつ、「二作品共、脚本竹柴潤一さん、演出西森英行さんと、何でも言い合える仲間と再び手を組める事も心強く存じています」「御好評頂ければ、今後も年一本位のペースで古典歌舞伎に準じた新作歌舞伎を発表出来ればいいなとも胸の内に願っております」と語る。また西森は「尾上松緑さんは、若かりし頃から一意専心、歌舞伎への、伝統への深い思いを青い炎のように胸の内にたぎらせ続けてきました。俵星玄蕃、荒川十太夫、二人の人物を通して、松緑さんの達人の居合の如き魂の一閃を、目撃して頂きたいと思っています」と来場を呼びかけた。
さらに松鯉は「嬉しいニュースが二ツ届いた。第一は、講談『俵星玄蕃』の歌舞伎化である。飲兵衛(のんべえ)で槍の名人俵星と赤穂義士杉野十平次の物語は、かつて歌にまでなった名作。第二は、昨年秋に初演された『荒川十太夫』が、早くも来年の正月歌舞伎座で再演されるという。快挙である。こうして講談を次々と歌舞伎化して下さる尾上松緑丈には只々感謝をするばかりだ。真ッ直でいて懐が深く、豪放と細心を併せもつ松緑丈の舞台に今から胸を躍らせている」とコメントを寄せた。
尾上松緑コメント
御機嫌宜しゅう御座居ます、尾上松緑です
この度、東京歌舞伎座に於きまして、今年の十二月に「俵星玄蕃」、来年一月に「荒川十太夫」と、講談から起こしました新作歌舞伎を二ヶ月連続で上演します事が決定致しました
昨年、初演致しました「荒川十太夫」は賞を頂いたりと、お客さんもとても喜んで下さっていた手応えは有りましたが再演が叶い、友人であり尊敬している神田伯山先生との約束が一つ果たせた事、嬉しく思います
また、伯山先生から御縁を繋いで頂き台本協力等、様々なお教え、御力添えを賜っている神田松鯉先生には言葉では言い尽くせ無い感謝の念で一杯です
今年十二月に初演予定の書き下ろし「俵星玄蕃」は忠臣蔵事件の討ち入り前夜から当日
そして、来年一月再演予定の「荒川十太夫」は討ち入り後の顛末を物語った作品となります
「俵星」は原作をベースにしながら、より歌舞伎味を強く
「荒川」は前回の台本を手直ししながらも、講談ベースをより色濃く
二作品の毛色の違いを出して行けたらと計画中です
話は続いておりますので二夜連続ドラマとして観て頂ければ幸いと思っております
二作品共、脚本竹柴潤一さん、演出西森英行さんと、何でも言い合える仲間と再び手を組める事も心強く存じています
御好評頂ければ、今後も年一本位のペースで古典歌舞伎に準じた新作歌舞伎を発表出来ればいいなとも胸の内に願っております
また、個人的には私は再来月の歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」にて、片岡仁左衛門の兄さんが松浦鎮信公を演じられます「松浦の太鼓」で赤穂浪士の一人である大高源吾を勤めさせて頂きます
この芝居もまた討ち入り当夜を描いた作品で御座居まして、続けて観ても話に矛盾は御座居ません
或る意味、忠臣蔵三夜連続ドラマを観る様な感覚でお楽しみ下さると私もより嬉しいです
共演者、スタッフ、松竹株式会社と共に、また新たにお客さんに喜んで貰え、再演を望まれる作品となる様に努力致します
どうか応援の程を宜しくお願い致します
神田松鯉コメント
嬉しいニュースが二ツ届いた。
第一は、講談「俵星玄蕃」の歌舞伎化である。飲兵衛(のんべえ)で槍の名人俵星と赤穂義士杉野十平次の物語は、かつて歌にまでなった名作。
第二は、昨年秋に初演された「荒川十太夫」が、早くも来年の正月歌舞伎座で再演されるという。快挙である。
こうして講談を次々と歌舞伎化して下さる尾上松緑丈には只々感謝をするばかりだ。真ッ直でいて懐が深く、豪放と細心を併せもつ松緑丈の舞台に今から胸を躍らせている。
西森英行コメント
「俵星玄蕃」・「荒川十太夫」、歌舞伎座二ヶ月連続上演。この挑戦的かつ意欲的な興行に、演出として参加させて頂けることを、心より光栄に思います。
「荒川十太夫」は、緻密な心理劇の構造を俳優の皆さんと共有し、古典劇現代劇の技法を融合させ、あたかも古くから上演を重ねてきたかのような歌舞伎作品として昇華させることを考え続けて作り上げました。
「俵星玄蕃」では、人として生きる誇りとは何か、根源的な問いを抱える俵星玄蕃の心模様を縦糸に、重層的な対話劇と活劇を織り合わせ、新たな人間ドラマを描く歌舞伎作品として、醸成していきたいと考えています。
赤穂事件により、その人生が色濃く浮き彫りになった俵星玄蕃と荒川十太夫。二人の男、二つの物語から浮かび上がるのは、時代が変われど、現代を生きる私たちにも受け継がれている「日本人のこころ」。
講談の世界で、声とことばで聴くものの心を震わせ続けてきた物語、古から受け継がれる「こころ」を、優れた歌舞伎俳優さんの肉体を通して、現代に甦らせたいと思っています。
尾上松緑さんは、若かりし頃から一意専心、歌舞伎への、伝統への深い思いを青い炎のように胸の内にたぎらせ続けてきました。俵星玄蕃、荒川十太夫、二人の人物を通して、松緑さんの達人の居合の如き魂の一閃を、目撃して頂きたいと思っています。
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