明日6月6日に開幕する「COCOON PRODUCTION 2022 NINAGAWA MEMORIAL『パンドラの鐘』」のプレスコールと取材会が本日5日に行われた。
「パンドラの鐘」は、1999年に
プレスコールでは、作品の見どころとなる数シーンが披露された。舞台機構が剥き出しで、4本の柱が据えられただけのシンプルな舞台空間に、ミズヲ(成田)がふらっと姿を現す。床に手を伸ばしたミズヲが、そのまま床に耳をつけると、鐘の音が鳴り響き舞台は紅白幕で覆われる。そして5つの穴が登場した。穴から顔を出したのはオズ(大鶴)とイマイチ(柄本)。また別の穴からはカナクギ教授(片岡)も顔を出し、3人はオズが見つけた釘をめぐって持論を展開するのだった。釘から古代の世界を想像し目を輝かせるオズと、オズとは対照的な態度のイマイチを、大鶴と柄本は息のあった掛け合いで表現。さらに小悪魔的な魅力を振りまくタマキ(前田)や、よく通る声で場をさらうピンカートン未亡人(南)も登場し、舞台は次々と装いを変えていく。
続けて披露されたのは古代王国のシーン。華やかな音楽と共にハンニバル(玉置)が先導されやって来たのは、船の形をした棺を中心とした国王の葬列だ。壇上にはヒメ女(葵)の左右にヒイバア(白石)とハンニバルが立ち、葬儀をハイスピードで進めていく。そして埋葬場所へと出発し始めたミズヲら葬式屋は、棺と共に埋葬されそうになるのだが、ミズヲはヒメ女にある賭けを提案するのだった。
成田は、生きるために葬式屋になったミズヲの逞しさや動じなさ、野生っぽさを瑞々しく表現。そんなミズヲになぜか心惹かれてしまうヒメ女を、葵は純真さと愛らしさのある存在として体現した。また白石演じるヒイバアはヒメ女を支えつつも抜け目のない様子をチラつかせ、玉置演じるハンニバルは融通が効かないほどの忠臣ぶりでミズヲたちに対峙した。そして、葬式屋たちの命をめぐるミズヲの賭けの行方はいかに……というところでプレスコールは終了した。
続けて行われた取材会には、演出の杉原をはじめ、成田、葵、前田、玉置、大鶴、柄本が登壇。今回が初舞台の成田は「何から何までわからない状況から皆さんにいろいろな手助けをしていただきながらようやく初日を迎えられます。今が一番、緊張していない状態です(笑)」と笑顔を見せる。葵は「この作品がお客様に届いたらどんなリアクションが返ってくるのか楽しみです」と話し、杉原は「一昨日から劇場に入ってリハーサルを進めてきて、稽古場で立ち上げたものが立ち上がってきて、メキメキと新しい『パンドラの鐘』ができあがってきているのを感じます。俳優の皆さんは本当に素晴らしい感性で野田さんの戯曲に挑んでくださって、現代ならではの作品になっていると思います」と自信をのぞかせた。
また作品の見どころを問われると、成田は「セットの転換ですね。シンプルなんですけど、最後にどうなるか、この作品の世界観をすごく表している、希望が見えるセットになっていると思うので、自分はすごく好きです」、葵は「登場人物が多いのですが、それぞれのキャラクターが立っていて、飽きずに最後までドキドキ面白く観ていただけると思います」と話す。また前田は「鐘ですね、びっくりしました、私。また現代のシーンと古代のシーンの違いは、楽しんでいただけるのではないでしょうか」、玉置は「23年前に初演された戯曲ですが、テーマや登場人物、セリフや関係性も今の時代に通じるものがあります。あまり難しいと思わず、手繰り寄せて楽しんでいただけたら」、大鶴は「人の愚かさという普遍性。その中でも恋をしたり、笑い合っている人がいて、今を生きる人たちがこの作品をどう感じるのかが気になります」、柄本は「古代と現代の振り幅の広さを楽しんで観てもらえるんじゃないかと思います」と、それぞれに作品の多彩な魅力を語った。そんな俳優たちに目を向けながら杉原は「俳優の皆さんが素晴らしいです。皆さん、僕が戯曲を読んだだけではわからなかったイメージをたくさん作品の中に吹き込んでくださっています」と作品の魅力を語り、さらに衣裳や音楽が作品の世界観を広げていると語った。
最後に観客へのメッセージを求められると、葵は「動きの華やかさや驚くような演出など、まずは目で観て楽しんでいただけると思いますし、さらにその奥にある野田さんが作品に込めた思いが、現代だからこそ響く部分があると思いますので一生懸命がんばります」、成田は「目でも心でも、すべての面で楽しんでいただけると思います。決して難しく捉えず、今の時代のものだと思って観ていただけたら。野田さん、蜷川さん演出版は僕も拝見してとても素晴らしかったのですが、今回、新しい『パンドラの鐘』を観ていただけると思いますので、作品を観たことがある方もない方にもぜひ楽しんでいただきたいと思います」と熱く語った。
公演は6月6日から28日まで東京・Bunkamura シアターコクーン、7月2日から5日まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて。なお6月22日18:00開演回では配信も行われる。
ステージナタリーでは「パンドラの鐘」の上演に向け、杉原と成田の対談と稽古場レポートを掲載している。COCOON PRODUCTION 2022 NINAGAWA MEMORIAL「パンドラの鐘」
2022年6月6日(月)~28日(火)
東京都 Bunkamura シアターコクーン
2022年7月2日(土)~5日(火)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
作:
演出:
出演:
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加藤学(Kitty-Guys) @kg_gaku
明日初日を迎えます
COCOON PRODUCTION 2022 NINAGAWA MEMORIAL『#パンドラの鐘 』
#アクション監督 を務めております。
稽古場も劇場入りしてからも
創っていく作業がとても楽しく、
明日の初日がとても楽しみです㊗️
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